【ローマ/イタリア】最悪の盗難事件と、おれの情がオカモト製な話
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くそが!!
くそ!!くそがっ!!!!!!
高校の時に、19の岩瀬敬吾に憧れて、中古で買ったオベーションのギター。
木の葉柄がめっちゃ渋くて、小さくて鳴らないけれど、はしゃぎ回るおれのライブスタイルにサイズ感がピッタリで、お気に入りだったギター。
初めての海外旅行で、一人タイに行った時も、レコーディングもライブでもずっと使ってきた…
もちろんこの旅でもずっと一緒だった。
指板はすり減りまくってて、暴れてぶつけたヘッドはカケてボロボロ。
でも、思い出の詰まったギター。体の一部みたいだった、ギター。
うそだろ。
もう無いのかよ。
盗られちまったよ!!
最低だよ!!!!
ちくしょう!!ちくしょう!!!
犯人を探して歩きまくった午前5時のローマターミニステーション。
見つけられなかった。
徐々にいつもの1日を始めようと動き出す街の中で、おれだけが置き去りにされた様に、悲痛な面持ちで、異物感たっぷりの高ぶった感情で、立ち尽くしていた。
いろんな事が頭をよぎった。
あの時こうしていれば。
昨日ヒッチハイクが成功していれば。
あの場所で寝なければ。
あと5秒目が覚めるのが早ければ。
時間が戻るなら。
昨日最後に木陰で弾いてた時に、曲作ろうとして、結局できなくて…
せめて、最後に一曲、歌わせて欲しかった…
なんだよ…
所詮"モノ"なのに、失ってこんなに悲しくなるとはおれ自身思ってもなかった…。
巡る思いは、どれもこれもありもしない空想ばかり。
もしこうしてれば…なんて希望ばかりが脳内のバケツに次々と注がれて一瞬気持ちが満たされて、すぐに現実に振られて溢れ出して辛くなる。
今更、遅いんだよ…
とりあえず、なんとかせねば。
犯人が去ってから、もうすでに30分は経過してしまった。アホみたいにまだこのあたりをうろうろ歩いてるとは考えられない。
駅の構内に交番があった。
とりあえず警察に届けねば!
「エクスキューズミ!朝、ギターを盗られたんだ!」
「$&@$)(;::&@@?」
「(もー、外国人だらけの中央駅の交番ぐらい、英語しゃべれてくれよ!)マイギター!ワズ!ストーレン!」
いかん、すぐイライラしてしまう。身振り手振りで事情を説明。
「ルパーン?ルパーン?」
おれは殺気立っていた。
あ!?此の期に及んでルパンルパーンと歌いだすとはこいつぶん殴ってやろうか!!?そしてその腰の木刀で返り討ちにされてボコボコにされてやろうか!!!??あぁぁん!!!?
…ん?
「ルパーンって、ティーフのこと!?」
「イエス!ティーフ!」
なるほど、ルパーンって、イタリア語でドロボーって意味やったんや!
と、此の期に及んで変に感動したが。
「ノーヒア。ポリスステーション!ゼア!ゼア!」
なんかここじゃ対応できないから向こうの警察署に行け、みたいなことを言ってるんだが、まるで野良犬でも追い払うかのような仕草で冷たくあしらってくる。
おいおい、たった今大事なもの無くした外国人になんなんだよその態度は!とか、ものすごいイライラしてしまう。
その彼が言うには「まっすぐだ!」とか言うてたんだが、道はすぐ突き当たって警察署なんて見つけられず、近くの人に聞いてやっとたどり着く!
しかしここでも!
「ルパーン?あぁ、ちょっと担当いないからそこ座って待ってて。へらへら」
朝から気が動転しまくってて、胸に大きく穴が空いてて、とにかくものすごくつらいんだ。
警察官の、「大変だったね。」の一言で、少しは心休められたかもしれないのだけど。
受付に立っていた3人ほどの警察官は、同じくめんどくせぇなぁ、という態度で「とりあえず待て」と指示した。
おれ以外誰も先客はいない署内、座った座椅子の背中から、彼らがケータイの動画を見て大笑いし合う声が聞こえている。
おいおい!そんな時間あるならさっさと聴取済ませてくれよ!
なんなんだよ!!?
と、思ってしまう。
今冷静に考えれば、わかる。
ここは海外だ。
日本の、お客様絶対のサービス精神は、異常だ。
その感覚は海外では通用しないし、というかまずおれはお客ですらない、ただのひったくり被害者。
金を払うわけでも無いおれが、お客様気分で、彼らに丁寧に仕事しろ!人の心を考えろ!とか言うのは間違っているのはわかる。
でも、期待しちゃうんだよな…。
なんとかしてくれるって、希望を込めて警察に頼るんだ。
もし日本で観光客が同じような目にあっていたとして、日本の警察官には、誠意を持って対応してあげて欲しいって思う。
外国人を迎えるその国の国民として、こんなであってほしくないと思う。
30分が過ぎ、1時間が過ぎた。
相変わらず担当が来るという気配はない。
「どれくらい待てばいい?はやく済ませて、中古の楽器屋なんか当たりたいんだけれど。」
「へらへら…
あー、ちょっとビッグプロブレムが発生したんだ。今は対応する時間がない。10時以降にまた来てくれ。」
ほんとくそだなここは?
荷物をまとめ、署を後にした。
去っていく背中からまたキャハハと陽気な笑い声が聞こえる。
もう警察には頼れんな、と察したおれ。
ドロボーがギターを盗んだらどうする?
まず中古屋に売るはずだ!おれは市内の楽器屋をネットで調べ、一個一個、当たっていくことにした!ギターの買取をしているところを見つけたら、おれのギターの写真みせて連絡先を配ろう!
時刻は午前7時。
まだ空いてる楽器屋なんて無いので、最初に目をつけた楽器屋の周りでぶらぶら。
盗られた直後は、ショックで、正直もう日本に帰ろうと、なんとなく思った。
もうだめだ、ギターを盗られたらもう終わった、と。
でも、一呼吸置いて、冷静にあれこれ考えてみた。
これから楽器屋をまわったところで、もう盗られてしまったギターが帰ってくる可能性は限りなくゼロに近い。
ドロボーも、おれがあたりの楽器屋に話を回すことぐらい予想してるだろう。
諦めたくはないけど、粘っても時間の無駄になるかもしれん。
無駄な時間とお金を使うよりは、新たなスタートって気持ちでギター買って、
路上で取り返す!!!
それしかねぇんじゃねぇのか!!!??
自分の中でも、ストンと胸に落ちてくる確信があった。
なんだか、先が見えると心がどんどんポジティブに、アクティブになっていく!
さっきまであんなに落ち込んでたのに、切り替え早!と、盗られたギターを思ってちょっと後ろめたくなったりもしたけど、、アフリカでの盗難や詐欺で、だいぶ心の切り替えが早くなったんだろうか?
財布の中には、非常時の日本への飛行機用にって残してある、500アメリカドル、
そして、イスラエルシュケル。
イスラエルで、1ヶ月間死に物狂いで歌いまくって、5万円分、貯金できたんだ。
イタリアに入って、少し両替してもう使っちゃったけど、まだ四万円分くらいは残ってる。
これだけあれば、安いギターなら、ケースにハーモニカ、カポなど、盗られた一式買い直せそうな額。
イスラエルの1ヶ月間が無駄になる、なんて考えるとすごい無力感を感じそうだけれど、不思議とそうマイナスには思えなかった。
イスラエルで、笑顔でコインを入れてくれた人たちの顔が思い浮かんだ。
こうなるおれの運命を見据えて、手を差し伸べてくれてたような、最初からこのために使うお金だったような気もしてきた。
そんなことを思うと、なんか、目頭があつくなる。
ありがてぇ。
10時を過ぎて、楽器屋が開いた。
一軒一軒、ここはギターの買取などやってる?と聞くんだけれど、どこも扱っていない様子。
その中の一軒に案内された、検索でも出てこなかった楽器屋が唯一、ギターの買取りもやってると言う!
一応、おれのギターの写真を見せて、特徴やおれの連絡先を書いた紙を預けた。
これを売りに来たやつがいたらすぐ通報してくれ、と。
んで、その店内を覗いている時。
ずらりと並んだギターの中に、一際輝いて見えるやつがあった!
グ、グレッチのアコギだ!!!!!!
ギター弾く人しか興味ないと思うけど、グレッチっつったら、椎名林檎が丸の内サディスティックで、「そしたらベンジー私をグレッチでぶって~」って歌うあれだ!ミッシェルガンエレファントのチバさんが引き倒してる、あれだ!!!
やべぇぇかっこぇぇぇぇ!!!
なんか、一目で、ビビビッときて、弾かせてもらった!!
わ、ワイルドで力強い音…!!!!
路上ライブで使ってくださいー!と言わんばかりの鳴り!!!!
えぇー…ついさっき大好きなオベーションを盗られてあんなに悲しんでたのに、すぐに気持ち持っていかれるなんて…最低!この裏切りもの!
と女性読者の皆さんは幻滅月面着陸かもしれませんが!!
うるせぇ!ギターは女の子とは違うんだよ!!かっこいいものはかっこいいんだ!一夫多ギター賛成ー!!!!人生はサバイバル、立ち止まってる暇なんてねぇんだおれには!!!!!
そして、
なんと気になるお値段、えええええ!!!??
290ユーロ!!????
日本円で35000円いかないくらい!!えぇぇ!!?イタリアはグレッチってこんなに安いの!!??
さっきまでのシリアス空気は何処へやら、おれの心はウキウキピクニックであった。
調べると、この型は日本では販売してないやつで、アメリカのネット販売の、最安価格と変わらないくらい…
やばい!!やばい!!
イタリアで、こいつに出会うために、こんなことが起こったのかもしれないっっ!!!!
グレッチよ!!全ては段階でしかなったというのか!!運命の歯車が今、噛み合いたどり着いたというのかぁぁぁ!!!!
おれは大興奮していた。
いや、まて!餅つけおれ!!!ペタンペタン!!もしかしたら、もしかしてもしかしたら、今日この後、犯人がここに売りに来るかもしれないし、警察署にギターが届けられてるかもしれん!!
とりあえず、警察に届け出も出していないのだ!早まってはいかん!早まってはいかんぞ!!!
と、鼻息を整え、グレッチと一時の別れを惜しんで深いディープキスでべとべとにした後、おれはまた警察署へ向かう。
ちくしぉぉぉお!!!!!ローマの警察はやっぱりだめだ!!!!
さっき10時以降に来てくれ!と言っていたのに、
「やっぱり後一時間後に来てくれ!」
と言われ、数時間後にもう一度行くも、
「まだだ。また一時間後に来てくれ!」
は!?
もうほんまのほんまにおかしいんちゃうかここ??
もう知るか!!!
舐め腐っていやがる!!!
と怒り狂ったおれは、記入した被害届だけデスクに叩きつけて…いやごめんちょっと盛った、怒られると怖かったから本当はちょっと不機嫌そうな顔でサッと提出して、警察署を出た!!
知るか!!受理されたところで、あんな奴らに任せていても返ってくるはずねぇわ!!!
その足で路面電車に乗り、さっきの楽器屋へ!
時刻は午後5時。
今日夜には、昨日取ったチケット、ボローニャ行きが出発する。
ほぼゼロパーセントに近い可能性にかけてローマに残るくらいなら、もう今すぐにギターを買って、明日からでも歌い始めて、盗られた分取り返してやるんだ!!
「朝来たものだけど、売りに来たりしてない?」
「いや、今日は誰もギターを売りには来てないよ。残念だが。」
「ちくしぉぉぉお!!!!!そうかー!!!もう仕方ないなぁぁ、仕方ない!!!このギターとストラップにハーモニカにバッグにカポに!!!!!くれっ!!!!!」
「ありがとうございました~」
買っちまった!!!!買っちまったよ!!!
スタッフさんが一式を、気の毒だからと、50ユーロ近く割引して売ってくれた。
ちょうど、イスラエルでの貯金全部使ってぴったりくらいで、事足りた!
ほんとに、イスラエルで歌えててよかった。
ここで貯金ができてなかったなら、おれの旅はマジで終了してたもん。
ありがとう、イスラエル!ほんとのほんとに愛してる!
とかしみじみ感じながら、一応、もしギターを売りに来たやつがいたら連絡をくれと伝えて、店を出た。
よし!!一刻も早く取り返してやるんだ!!振り返ってる暇なんてねぇんだ!!!
と、新しい相棒、グレッチを担いで、おれはすぐさまいつもの橋の上へ向かった。
人通りは少ないけれど、路上ライブへの規制が厳しいローマで、警察に止められない唯一のスポットだ。
時刻は6時を回ろうとしていた!
まだ、人通りはゼロじゃねぇ!!いける!
この、このローマから少しでも取りかえさねぇと気がすまねぇ!!!!
ちくしぉぉぉお!!!!!負けるかこのやろぉぉぉ!!!!
日が暮れるまで、一時間ほどしか歌えなかったけれど、結果は8.5ユーロ、約1000円。
道行く人だけじゃなく、帰宅ラッシュの渋滞の車の窓を開けて聞いてくれて、そこからコインを投げてくれたりして、嬉しい。
うん、チップは少ないが、ローマではいつもの倍入ったことになる!
ありがとう!!!!
失ったものはでかい。後悔はやっぱり胸の奥に残ってる。
でもそれ以上に、そうなったら取り返すまでだって、あほみたいに前しか見ていないおれもいる。
これまでのおれだったら、本気で悲しむだけ悲しんで、もう無理だって諦めて終わってた。
きっと、成長させてくれたんだよな。
旅が、そして、盗られたギターが。
どんな出来事も、無駄なことなんて一ミリたりとも存在しないんだ。
最後まで、食らいついてやろう。
それでどうにもできなくなった時、それがおれの限界だ。
振り返るのはそれからだ。
まだやれる。
限界なんてこんなもんじゃない。
ここは途中なんだって信じたい。
暑苦しく高鳴る気持ちを抱いて、急いで片付けて、ボローニャ行きのバス停へ向かう。
昨日もほとんど寝れてないので、足が疲れでふらついて、転けそうになる。
このじとりとまとわりつく疲労感も、最高に生きてるって感じだぜ。
なんて強がる夜。
不安とギリギリで隣り合わせの野望が、ぎらぎらに脳内を支配し続けていたんだ。
そんなところです。
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