友達のドッペルゲンガーに出会った話【大学時代の夏のちょっと不思議な体験談】
ナマステ!ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅を終え、現在は東京で音楽活動中。
好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ!
暑いなーー・・・最近は真夏日が続いていますね。
怪談…ってほど怖い話じゃないし、たいしたオチも無いけれど、
ふと思い出した昔話があったので、書いてみようと思う。
友達のドッペルゲンガーに出会ったお話である。
それは何年も前、大学2年の夏休みのこと。
僕は当時、地元の香川県を出て、大学がある岡山の田舎町で一人暮らしをしていた。
その日も今日みたいに、セミたちが大合唱する夏真っ盛りの暑い日。たしかお盆休みの時期だった。
バイトをしていた僕は、 お盆とは言え、地元には帰れずに下宿先で過ごしてた。
その日も昼からシフトが入ってて、真昼間のカンカン照りの太陽に嫌気がさしながら、家を出た時た時の事。
アパートの駐輪場に止めた原付にまたがる。
熱々に熱されたヘルメットを憂鬱になりながらかぶって、
(暑ィ…さて行くか…)
と原付のエンジンをかけようとした瞬間、手が止まった。
(あれ?Tくん?…)
僕がいる駐輪場は、アパートから道を挟んだ向かい側にあるので、アパート全体が見渡せるんだけれど。
ふと僕の部屋の方を見ると、2つとなりの部屋の扉の前で、男の子がこちらに背を向けて立ってた。
T君が住んでいる部屋の前だ。
高校時代の同級生で、偶然にも同じ大学に進学・アパートまで同じだったことで仲良くなった友人である。
いつものフットサル部のジャージズボンにTシャツ。ちょっとパーマをかけたぼさっとした髪型。
その後ろ姿はT君で間違いなかった。
ちょっと買い物にでも出てたのだろう、部屋に入るために、扉の前で鍵を探してるって感じだ。
しかし、どこか違和感があった。
今帰ってきたところなら、さっき駐輪場に向かってた時にすれ違っていたはずだ。
それに、T君は普段から「盗られるものなんてないから」とあまり部屋に鍵をかけないタイプだった。
いつもの彼なら、部屋の前で立ち止まることなく、すぐに扉を開けて部屋に入るのだけれど。
今日は珍しく鍵をかけてたのか?まぁそんな日もあるか…
…いや、違和感はもっと別の何か…
なんかひっかかるものを感じながら、ほんの数秒間だが、ドアの前につっ立ってる彼の後ろ姿をぼーっと眺めていた。
暑い。ヘルメットから滴り落ちる額の汗。それをぬぐった。
次の瞬間、彼の姿は消えてた。
あれ?部屋入るの早っ!
その時はそれくらいにしか思わず、さて行くか…と原付のエンジンをかけた。
その日の夜。
まじでしんどかった。
お盆休みど真ん中のバイト先は、異次元の混雑ぶりだった。
閉店時間まで残業させられて、夜、ふらふらになりながら原付にまたがる。
「明日もシフト入ってんのか…だりー…」
うんざりしながら家路につく途中、
「はぁ…どいつもこいつもお盆休みだって浮かれやがって…」
などと考えていて、あぁそうだ思い出した。
昼間、T君の後ろ姿を見た時に感じた、違和感の正体を。
そういや彼と夏休み前、最後に会った時に、こんなことを話していたのだ。
「今年のお盆に高校のメンバーで集まろうと思うんだけど、来る?」
「いや、おれは今年はバイトで香川帰れないわ~」
「まじか~残念。じゃお土産買って帰ったるわ!」
そうそう、そうなのだ。
T君はバイトもしていなかったので、夏休みはまるまる香川に帰るって言ってなかったっけ。
え…?じゃあ昼間の後ろ姿は…?
ふと、急に怖くなった。
よくあるじゃん。
ここにいるはずがない友人に不自然に出会って、おかしいな~なんて思ってたら、
後で「その時彼はすでに事故で他界していた」と知る、みたいな怖い話。
え?まさかね。大丈夫だよね。やっぱり用事が出来て地元帰れなかったとかそういうやつだよね。
あるはずもない最悪の事態をおおげさに妄想しながらも、
「ちゃんと生きてる…?」
なんてメールするのもおかしな話だし、本人に直接連絡するようなことはしなかった。(当時はLINEの普及前だったので、気軽にチャット出来るような時代ではなかったし)
今思えば馬鹿な妄想だったなって思う。
当時ハマってた怪談のYoutube動画の影響だ。そんなこと現実に起こるはずないじゃないか。(笑)
1週間後、8月の終わり。
部屋のチャイムが鳴ってドアを開けてみると、そこにはT君が立っていた。
よかった…彼はちゃんと生きていた…(笑)
当たり前の事ではあるが、すごいホッとしたのを覚えている(笑)
真っ黒に日焼けした彼は、地元のスーパーの袋を差し出してこう言った。
「久々~!今帰ってきたとこ!お土産のうどん買ってきたで~!」
「ちゃんと生きてた…よかった…」
「え、気持ち悪りぃよ!彼女か!たった1カ月地元帰ってただけやん!笑」
●「…え?お盆のあの日、一回帰ってきてなかった?」と聞くも、「本当に一ヵ月間ずっと地元にいた。後輩が同じジャージ着て訪ねてきてたとかじゃね?」というTくん。服装と言い、髪型と言い、その後ろ姿は明らかに彼だったのだが…真相は闇の中である。
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