クリスティアーノ・ロナウドなおじいちゃんの話

2016年9月1日2019年8月1日

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ファロ2日目！

今日も路上に出た！

この辺りの灼熱の気候は難しい…

午前中にまず路上に出るんだけれど。

通りに人が多くなる11時を過ぎたころから、日が高くなって焼け死にそうになるまで。このタイミングを見計らわないといけない！

一時間ほどやって、太陽光がストリートに対して直角に照らされる高さになると、もう焼け焦げそうなほどの暑さになった。

汗だくでギターを置いて、11ユーロ。

んで、午後は、まだまだ陽の高い午後六時から歌い出す！

む…思ったより人少ないな…

しかしこの日は土曜日！

夜になれば街はさぞかし賑わうだろうと予想しながら、伸びていく影を見つつのんびり歌っていたんだけれど…

どんどんと少なくなっていく人通り。

それもそのはず！なんと、7時を過ぎるとメインストリートの各店々が次々とシャッターを閉め始めたのだ！

え？なんで？？

今日土曜日やろ！？？

店が閉まると、いよいよストリートを歩く人達は数えるほどになってしまったけれど、なんだかやけにみんなテンション高くて、人通りのわりにウケはいい。

ずっと見て飛び跳ねて踊ってくれてた女の子が、お母さんの手に惹かれて通りの向こうに消えていって、ギターを置いた。

1時間半で17ユーロ。

ありがたい！28ユーロあれば5日は生きていけるぜ！

ギターを背負って歩き出すんだけれど、恐ろしいほどに人が歩いていないのだ…！

レストランやショップもどこもシャッターを閉め、いつも混み合ってる幹線道も一台も車が走ってなくて、暮れはじめた空に意味のない青信号がぼんやり揺れてる。

なに？ポルトガルは土曜日の夜とか関係ないのか？？何て思っていたんだけれど、かろうじて開いていた大手のスーパーで買い物を済まし、寝床の高速インター付近を目指して歩いてたとき、理由が判明した！

一件だけポツリ営業してるバーがあって、そこにはたくさんの男たちが、ビール片手に食い入るように1点を見つめている…！

その先にはテレビ。

アップで、ポルトガルの英雄、クリスティアーノ・ロナウドが写った！

あぁ！！！！そうか！！！

なんとこの日は、今フランスで開催されているサッカーのヨーロッパ選手権の準々決勝、ポルトガル対クロアチアの日だったのだ！！！

サッカー熱がハンパないポルトガル！

予想ではあるが、みんな家に帰ってこの重要な一戦を、テレビにかじりついて見てるんじゃねぇか！？？？

試合はちょうどついさっき始まった感じで、ちょっと立ち止まって店の外から見ていた。

ポルトガルチームのフリーキック。

鋭いクロスに、ぺぺかな？ヘディングシュート！！

あぁぁ残念わずかに枠を外れる！！

その瞬間！

「ぁああぁぁぁ！！！！」

「ふぉぉお！！！ひゃだだ！！！」

「オウィィィィ！！！！」

絶好のチャンスに、落胆の声が上がる！！

街中のアパートの窓から！！笑

もちろんバーのオヤジ達も似たような声を上げて、「もっと叩きつけろよー！」なんてヤジが飛んでる！

やべぇぇ、ポルトガルのサッカー愛がここまでだとは！！

と感心すると同時に、俺も見てぇぇぇ！！！！となる。

とりあえずこのバーはすでにオヤジ達で埋め尽くされていたので、もう少し歩く。

お！！あった！！

少し郊外まで出ると、地元だけが来るような、ゆるーい雰囲気の庶民派バーがあった！

看板娘のお姉さんが一人で回してるような、ちいさなお店。

店内のテレビではもちろん試合をやってる！

今後半が始まったところだ！

おれも一ユーロのビンビールを頼んで、さっそく観戦！！！

さっきの大盛り上がりだったスポーツバー的な店と違って、地元のじいちゃん達が3人、ステテコパンツでちびちびやってた。

この庶民派な感じがたまらん。

日本で野球中継見ながらじいさんが焼酎でも飲んでるみたいな具合で、あれやこれやとブツブツ言っている。

でもその内容が、身振りから予想するに。

「もっとワイドに開かんかい！」

「今のはファールじゃない！シミュレーションだ！」

「そこ！ワンツーだろ！早くだせ！！」

みたいな、心底深いサッカーの話をしてるから不思議になる。

まぁ日本でじいさんが野球にあれこれうるさいのと同じ様なもんなんだけど、どうしても日本人の感覚からは、こんなおじいちゃんがサッカーの話をしているというのが新鮮でならん。

やっぱり歴史が違うんだなぁ。

試合の方は、ポルトガルが延長終了間際に劇的ゴールで1-0で勝利！！

決勝ゴールが決まった時には自分の国みたいに喜んで、よっしゃぁぁぁ！！と叫んでしまった！

あ！恥ずかし！

と一瞬思ったら、前に座ってたおじいちゃんも振り返って、やったぜぇぇ！と親指を立てる！

延長まで持ち越したもんやから、調子に乗ってビール三杯も飲んでしまった。

あぁでも素晴らしい勝利だった。あと10杯はいけるな…とか試合終了後も余韻に浸ってると、

「どうぞ！」

と、看板娘のお姉さんがニコリ微笑んで新しいビールビンを置く。

へ？おれ頼んでないよ？

と目をぱちくりすると、

「あのおじいちゃんからよ！」

って。

みると、おじいちゃんが、ぐっと親指を立ててウインクして店を出て行った。

お、おじいちゃん…好きです…！ポッ

店を去る、ステテコパンツに便所スリッパのその姿が、おれには長身足長スーツのクリスティアーノ・ロナウドに見えた。

そんなところです。

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↑↑おじいちゃんハァハァ…。

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