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岡山で歌って、ついにうどん県に上陸する話

2019年8月1日

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5/8. 下北沢ガレージにて、ガモウユウキ弾き語りライブ出演決定!
会場で新作お手製アルバム、”僕を救うのは”販売開始いたします!

2018.5.8(火)下北沢ガレージ
“春夏冬(あきない) vol.4"

open 18:30 / start 19:00
料金¥1500 (D代別¥500)

僕の出番は20時ごろから!詳細、チケット取り置きやCD郵送希望など、お気軽にメッセージください!!Twitter @ガモウユウキ

朝7時!

朝日に照らされた岡山駅ビル前に到着!

地方都市のさっぱりした街並みに、大学、社会人時代を過ごした懐かしい思い出がよみがえる。

ヘアマネキッズの3人のバンドワゴンに乗せてもらい、名古屋からついに岡山まで帰ってきたおれ。

車内では、ライブ終わりの疲れ眠気と戦いながら運転してくれたなおくんと、暑苦しい話しばかり繰り広げた。

明け方に立ち寄ったサービスエリアで、マックのコーヒーを買って、ちょっと散歩したときに見た空。

ゆっくりと明るんで行くその様は、内向的な思考にどっぷりと浸かっていたおれたちを、海の底から引き上げられる深海魚みたいな気持ちにさせた。

綺麗すぎて、胸が痛んだ。

こうしておれたちはまたちょっとずつ、大人になって行くんだろうな、なんて思っていた。

二日間、お世話になりました!

なおくんと、後部座席で眠るなんさん、るいさんにも小さな声でありがとうと伝えて、車を降りた。

久々にやって来た岡山駅前は随分と様変わりしていて、慣れ親しんだ岡山ビブレが潰れていたり、代わりにでっかいイオンが立っていたりした。

懐かしさにあたりをぶらぶらうろつきながら昼過ぎまで時間を過ごして、駅からイオンにつながる地下道で、ギターを出して歌って見た。

大学時代も、こうして岡山駅の地下道で、人に怯えながら歌ったものだった。

怖いんだけれど、歌わずにはいられない、叫ばずにはいられない心の喉の奥からの胃酸みたい
な思いをこらえきれずに。

あの頃と、この衝動は何も変わっちゃいないのだけれど、世界を旅して、音楽の無限の力を身を以て実感して、おれにはもうこれしかないのだと確信して。

少しは、歌うことをもっと自然に、自分の武器として、また誇りとして自信を持って扱う事ができるようになった気がする。

人通りのまばらな地下道にギターを響かせて、大学時代に作った、「さくら」という名前の、オリジナルの曲を歌った。

秋の爽やかな風に、季節外れで場違いな、しかし今のおれにしか表現できない音楽が在る気がして、ドキドキした。

怪奇な目で英語のサインボードを眺めながら足早に通り過ぎて行く人たち、でも姉妹かな?背丈の違う女の子二人がトコトコと歩いて来て、かわいい財布から10円を出して投げて笑ってくれた。

30分くらい歌った頃だ!

「がもさん!」

名前を呼ばれた方を見る。

「せ、せのう!!!」

大学時代の後輩、エロガッパのセノーと偶然遭遇!!

「セノー!なんやこんなところで!!久しぶりやないか!」

「いやいや!自分がいきなり"今からイオンの地下道集合や!"って呼び出したんじゃないですか!」

「やめろ!ブログ上では偶然岡山駅にてセノーに遭遇して、そのまま、これまた偶然香川に向かうというセノーの車に乗せてもらうことになっとんやから!」

「なんすかそれ!勝手に巻き込まないでください!!香川なんて行くわけないでしょうこのウジ虫ニートが!!」

偶然にもあたりを通りかかったというエロガッパ、セノーは偶然にもギターを背負って、二人で久しぶりに並んで歌った。

仕事で倉敷にいたころ、一人寂しかったおれは同じく倉敷住みのセノーが唯一の気軽に誘える友達だった。

よく、今から倉敷駅や!と誘い出してギターを鳴らしていたのだ。

お互い仕事でズタボロの心を引きずりながらも、集まって声を上げれば、なんでもいいか、なんて思えた。

大切な音楽仲間なのだ。

ドイツにいた頃、いろんな事がうまくいかずに落ち込んでいた頃、セノーが「聴いてください」、と自分のオリジナルソングをレコーディングしたものを送ってきた事があった。

212というオリジナルソングだった。

シンプルで、屈託がなくて、明るいんだけれど諦めにも似た儚さが香る曲だった。

遠く日本で、同じ時間の中でこいつも、日々を表現し続けないと生きていけないのか、なんで呆れながら、おれも一緒だな、なんて思って、なんか心強かった。

ダウンロードして、旅の間、なんか寂しくなったりしたら、よく聴いたものだった。

そして、ふいにじゃらんとコードを鳴らして、となりに立つセノーがその「212」をやる。

ずっとイヤフォンで聴いていた歌が、すぐそばで奏でられている。

悔しいが、大好きだったバンドのライブをやっと見にいけて、ついに本人に会った時のような、憧れと胸の高鳴りを感じた。

“あやふやな朝の陽を、ぼやけた瞼は受け取った。

昨日のアルーコールが、まだ頭の中をうろついてる。"

その歌い出しに、キュンと胸が締め付けられて、音楽は恋にも似ている、なんて思ったが、また気持ち悪がられそうだったのでごくりと飲み込んで、隣でアルペジオを乗せた。

音楽は素敵だなと思う。

どんなに長く、別々の時間を過ごそうと、どんなに大人になろうと、そのワンフレーズでおれらは何処へだっていけるし、いつだって帰ってこれる。

まるで感情の海を軽やかにサーフィンするような気分で、時間は過ぎて行った。

そんなで、路上をしばらく楽しんだ俺たち。

「本当にしゃーなしですよ!!おれ、本当はこれから帰ってオナ…青春群像劇鑑賞する予定だったんですから!」

「いやぁラッキーラッキー!!」

“偶然にも"、香川へ向かうフェリーが出る宇野港へ向かう、というセノーの車に乗せてもらえることとなったおれ。

軽音楽部のみんなの現状や、最近好きなバンドの話なんかをしながら、愉快にドライブした。

途中ですき家に寄って、なんでもない普通の牛丼なんだが、とてつもない旨さに悶絶などしながら、1時間後には宇野に到着した。

「セノー、ありがとう!また会おう!オナニーのしすぎには気をつけろよ!」

「はい、それじゃまたどこかで!それよりおれのことエロガッパだとか絶対ブログで書いたりしないで下さいよ!!ではお気をつけて!」

「書くわけないやろ!これからオナニーする話も絶対書いたりせんから、安心しろ!世話になった!!」

さわやかに手を振り、フェリーに乗ったおれ。

ゆっくりと港を出るフェリーの甲板からは、穏やかな瀬戸内海の波を、午後5時の西陽が優しいオレンジに染めて綺麗だった。

とても懐かしい気持ちになる。

確か、大学に入ってすぐの頃だ。

岡山での初めての一人暮らしになかなか慣れられず、大学始まって最初の連休に、逃げるように香川へ帰省した。

その時は電車で、瀬戸大橋を通って帰ったのだけれど、あの時も今日みたいな優しい夕暮れ時に瀬戸内海を渡ったんだ。

イヤフォンでBUMP OF CHICKENを聴きながら、窓の外を眺めていたんだ。

とても暖かい、泣きたくなるような懐かしさに包まれていた。

今までなんとなく見ていたこの瀬戸内海の景色が、子供の頃から当たり前に会ったこの景色が、自分にとって大きなルーツだったのだ、なんて気付かされた。

あれから約10年。

アフリカの大地に沈む夕陽は生命のエネルギーを感じたし、スペイン最西端、フィステーラの夕日はこの世の終わりみたいに儚く優しく、ウユニ塩湖の夕暮れはまるで別の惑星のように透明だった。

様々な景色をこの目にとらえ続けてなお、この、なんでもないポツリポツリと浮かぶ島の織りなす瀬戸内海の色が、温度が、この胸を締め付ける。

きっとこれから何年何十年と生きていっても、変わらずおれはこの風景に感動し、いろんなことを思い出すんだろう。

できれば死ぬ間際まで、そんな美しさに魅了され続けて、命を燃やしていたいのだ。

高松港に船が到着する頃には、太陽は海の向こうに消えて、遠くの空にトワイライトの静寂が差し迫っていた。

まもなく高松港に到着します、とアナウンスがなって、また甲板に出てみると、懐かしい高松の、ちっぽけな街の光がすぐ近くに見えていた。

帰ってきた!!!!

おれはついに香川まで帰ってきたんだ。

港に降りると夕暮れどきの喧騒と潮の匂いがして、おれは高松駅前の人の粒に紛れていった。

実家の丸亀まではあと20キロ。

旅の終わりに、また胸がとくりと高鳴った。

そんなところです。

ギターと共に世界一周の旅を終え、東京で活動中のガモウユウキ、その暑苦しい思考整理ブログ。ライブ情報などは、主にツイッターにて発信中!君も今すぐフォローして、キモオタ妄想男の日常を覗き見てせせら笑おう!→→Twitter @ガモウユウキ

日本に帰ってから、この日歌った、"さくら"という曲を新しくレコーディングして、PVをつくりました!よかったら見てね!!


日本

Posted by gamoyuki