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日本帰国後。成田から香川を目指す話

2019年8月2日

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東京へ向かうバスの中でこのブログを書いてる。

コロンビアのメデジンから、日本行き飛行機の出るボゴタへ向かうバスの車内で、前回のブログを書いてた。

日本に帰って来た日から、もうすでに三週間が過ぎてしまった。

おれのブログに書いてる内容は、毎日その日に、少なくても数日中に、リアルな気持ちを綴って、保存して順に更新してた。

だけれど、日本に帰って来てから、会いたかった人みんなに会って、飲み明かして語ったり、各地で路上ライブしたりヒッチハイクしたり、やりたかったライブハウス出演に向けて準備したり。

ほんとに濃厚な毎日を過ごしていた分、日記を書くのも時間がなくて辞めてしまっていた。

かなり大雑把になってしまうけれど、旅の最後について、新しい世界に飛び込む前に書き残しとかなきゃ、何て思って、こうしてまたアイフォンのメモをとってる。

2016年9月29日。偶然にも日本を離れてちょうど2年が経つ日。

コロンビアのボゴタから、27時間という長い長いフライトを終えて、ついに飛行機は成田空港に到着した。

飛行機の中、秋の湿った厚い雲をくぐり抜けて見えた東京のビル街や舗装の整った海岸沿いのその無機質さが、しかしなぜか懐かしく感じて。

機内を出て飛び込んでくる日本語に目をパチクリさせる。

どこもここも日本語が書いてある!!

そして、歩いている人が皆、同じ顔をした日本人ばかりだ!

当たり前のことなんだけれど、眼に映る文字や人たちの全てが自分の慣れ親しんだ景色であることが、まるで、ファンタジー映画の世界に迷い込んだような違和感と高揚感を与えて戸惑った。

そうか、ここが日本という国なのか!

あとあと考えればクソ当たり前のことで、笑いそうになるけれど、本当にこの時のおれは思ったのだ。

なんてこった!なんて場所だここは!

と。




空港の出口で、メデジンから、偶然同じ帰国の飛行機を取っていて一緒だった友達らと別れた。

みんなそれぞれの実家へバスで帰るらしい。

おれが確かにコロンビアから帰ってきたのだということを唯一、証明してくれる存在のようだった。

二人を見送ると、おれは本当にそんな地球の裏側から本当にやってきたのであろうか、なんて不確かになってしまう。

無意味に、旅をずっと共にしてきたボロボロのギターケースを撫でる。

日本に帰って最初の食事は空港のコンビニで買ったツナのおにぎり。

最初に食べるなら、美味しいラーメンだ!と決めていたけれど、前の機内食からずいぶん時間も経っていて、どうしても我慢できなかったのだ。

懐かしい海苔の香りと、優しい塩味が、涙が出るくらい美味かった。

成田空港を出ると、東南アジアの時ぶりの、湿り切った熱気に包まれて汗が吹き出た。

えええ、こんなに暑かったっけ、日本って!

海外ではあり得なかった、室内の喫煙所に入ってコロンビアで買ったラッキーストライクに火をつける。

スペイン語で書かれたボックスが、なんだか既に懐かしい。

隣で吸ってた日本人のにいちゃんも、同じような外国のタバコを吸っていた。

変なシンパシーを感じて、声をかけてみる。

「どこかからの帰りですか?」

「ええ、キューバから。そちらは?」

「僕はコロンビアです。」

こんなに簡単に人に話しかけられるようになったのは、長く旅をして、見た目や体裁を考えてられないような環境に慣れたからなのだろうか。

「それでは。」

と笑って先に喫煙所を出ていったおにいさん。

さっき会ったばかりなのに、長きを共にした同士のような気持ちで見送った。

空港から、成田市内まで電車に乗った。

お金もないし、空港から香川までヒッチハイクで帰ってやろうなんて思っていたけれど、街に向かう車はみんな上の幹線道路を走ってるみたいで。

↑こんな感じで、しばらくあたりを彷徨ったがヒッチハイクなんてできそうになかった。

そんなで、とりあえず電車で街まで出ることにしたのだ。

電車に揺られて流れ行く景色はとてもとても新鮮だった。

綺麗に整った住宅の屋根や連なる電信柱、雑居ビルの看板はめまいがするくらいに彩り豊かにいろどられ、無数の言葉が散りばめられているがそのそれぞれが日本語であることで、くっきりと脳内に写り込んでくる。

強烈だ。

成田市街に到着して、早速国道まで出て親指を立ててみる。


ボードには"香川まで"なんて書いても誰も止まってくれないだろうから"関西方面"と!

うぎゃぁしかし誰も止まらん!

“東京方面"そして"千葉"と、どんどんボードに書く地名を近く近くしていって、1時間後、ついに一台の車が止まってくれた!

「テレビでこの間、ヒッチハイクで旅するやつをやっててさ。おもしれぇなぁって見てたら、にいちゃんを見かけてね。本当にやってるもんなんだね!」

優しい笑顔を見せてくれたおじさん。

千葉まで行くから、と拾ってくれた。

車の整備をしながら、子供二人を育てていて。

夜は代行タクシーの運転手のバイトをして、そのお金は自由に嫁さんに使わせてもらえるんだよね。

と笑いながら身の上話をしてくれた。

成田から約1時間。

わざわざ千葉駅の前まで送ってもらって、ありがとうございます!とお礼をして、気持ちばかりのコーヒー豆の包みを渡す。

コロンビアにいる頃から、東京からはヒッチハイクだ!と意気込んでいて、何かお礼に渡せるものを、なんて思ってコーヒー豆のパックを買っておいたのだ。

ありがとねー!と受け取ってくれて、手を振って別れた。

人の優しさは、万国共通なのだなぁ、と胸が熱くなる。

千葉駅前のショッピングストリート。

夕方四時を回ってもじめりと湿った熱気に包まれて汗が滴る。

整列されたショッピングウインドー前を汚れひとつない綺麗なシャツやおしゃれな靴で歩く人たち。

大きな駅の周りにはどこの国にもいた、物乞いや浮浪者の姿もない。

石畳みの上にゴミなど一つも落ちていないし、クラクションの喧騒もまとわりつく物売りもいない。

ただただそれぞれの人が操り人形のようにそれぞれの行き先へ足早に来ては去っていくだけ。

旅に出る前は気に留めることもなかったが、日本という国がいかに裕福で統制の取れた国かということに感動し、誇りに感じると共に、しかしどこかで息苦しさを感じてしまう。

ストリートの真ん中のベンチに腰掛けてしばらくそんな街を眺めていたら、どこからともなくそんな無機質な空気をぶち壊してみたい、なんて危険な欲求がこみ上げてくる。

いける!なんて思って、速攻でギターを取り出して歌ってみた。

行き交う人たちの目は冷たい。

こんなにたくさんの人たちがいるのに、だれもおれのことなんて見えてないように通り過ぎて行くだけ。

振り向いてくれよ!なんて声を絞って歌う。

どこまでも無表情なこの街で唯一、色を失いたくなくて必死なんだが、少しでも気を抜けば、この町の空気を害する、アリの行進を逆走する反逆者に自分がなってしまっているような気がしてしまって弱気になる。

どうしよう。

どこの国でも、音楽に無関心な人は少なからずいたし、全ての人に愛されたいとも思ってない、音楽に間違った過信をしているわけでもない。

そのはずなのにどうしてだ。

日本に帰ってきて、日本なら、受け入れてくれる、おれの心臓である音楽を受け入れてくれる、そうどこかで信じていたのだろうか。

どうしようもない弱さに蝕まれて行く。

お金が欲しいのではなくて、道行く人の心がきらめく瞬間を見たい、できればおれを見て、こんな生き方もあるんだなぁ、なんて、感じてもらいたい。

そんなかまってちゃんな欲求がせつなさを増して襲いかかってきて、それを音楽に込めてアウトプットする。

冷たい視線もなんだか愛しいぜ。

強がって歌う。

どんな苦節も孤独も、おれは音楽にして生きてきたんだ。

一層に心を込めて歌った。

この心のもやもやを打ち砕くには、もうそれしかなかったのだ。

途方にくれながらスタンドバイミーを歌っていたら、おばあちゃんがニコリ微笑んで1000円を入れてくれた。

本当にありがたい。

「旅をしてるのね。頑張ってね。」

優しく声をかけてくれる。

「ヨーロッパも行ったんですね!チェコは行きましたか?」

路上の看板を見て立ち止まった女の子が話しかけてくれる。

学生で、長期休みを使っての海外旅行が趣味らしく、次の休みでヨーロッパ周遊を計画していると話してくれた。

日本語で、いちいちそんな話が当たり前にできることが感動なのだ。

朝まで飲み明かして語りたくなる。

出会ってくれた方々、ありがとう。

日本に帰って初めての路上ライブ、チップは2150円。

旅に出る前から路上ライブはやっていたんだけれど、日本ではまずチップが入る事自体珍しかったから、こんなにもらえるとは思ってなかった。

ありがとう。本当にありがたい。

帰り際、もうすっかりくれてしまった千葉の街から、路上ミュージシャンの歌声が聞こえた。

高架下で時折頭上を通る電車の轟音に飲まれながら、シンガーが1人。

しばらく聴いて、頑張ってくださいね、とレモンティを置いていった。

人に優しくされると、優しくしたくなる。

単純だけれど、こんな感情のサイクルがいつまでも回り続ければいいなぁと思う。

その日はそのお金で電車に乗って、東京まで出た。

大火事のように空を明るく染め上げる直ぐそこの大都市と、空に突き抜けそうなスカイツリー。

それらを遠くに眺めながら、新小岩という駅で降りた。

この街に、1500円の格安ドミトリー宿をネットで見つけていたので、そこに一泊した。

出店のコロッケやうまそうなラーメン屋さんの看板、ポップにまみれた量販店薬局の賑やかさや風俗のチラシが張り巡らされた電柱、

新小岩の商店街を歩いた時の、日本の街に当たり前にあるそんな景色の1つ1つがいちいち脳を刺激した。

おれは帰って来たのか、日本に帰って来たのか。

まだふわふわしながら、この日は眠りについた。

そんなところです。

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日本

Posted by gamoyuki