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【ボゴタから日本】ついに日本。どうせどこにも行けなくても、行くところがある話

2020年5月13日

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コロンビアのボゴタを朝に出発した飛行機。

夕方にはメキシコに到着。

乗り継いだ飛行機は深夜に離陸した。


たまたま窓側、飛び立った碁盤状のメキシコシティの光の粒が鮮明に写り込んできて、宝石箱のようだった。


日本行き飛行機なので、ディスプレイに日本語が現れて、ただそれだけのことなのに、妙に感動して、おれは帰るのだなぁ、なんてしみじみしたりするのだ。

しばらくメキシコの街の光をぼんやりと眺めていたが、1時間もすれば、何も見えなくなった。

海に出たのだ。

飛行機は永遠のように続く夜の太平洋上をゆっくり、ゆっくりと西へ西へと飛んで行く。

これまで経験したこともない長時間のフライト。

狭いシートでもぞもぞと態勢をととのえたりしながら、何度かうたた寝をした。

耳にしたイヤホンからは、これまでの旅の間で何千回と聴いてきたであろうアイフォンの曲が何回もリピートされていた。

その一曲一曲に、

あぁ、この曲を聴きながらポルトガルの浜辺で眠ったなぁ、

だとか、

この曲はアフリカのオンボロバスの中でよく聴いていたな、

だとか、いろいろと思い出に浸ってみたりする。

飛行機はアラスカからロシアカムチャッカの方向へ、弧を描きながら飛んでいるようだ。

大昔。まだアメリカとユーラシアが繋がっていたころ、原人たちはこうして渡来してきたのだろうか、なんて、まだ見ぬ北の大地のロマンにワクワクしたりする。

一度だけでもその白銀の世界を見下ろしてみたいと、窓におでこをあてて遥か下をのぞいてみるが、ずっと夜が続いているので真っ暗で何も見えない。

太陽といたちごっこをするみたいに、西へ西へと飛行機が飛んでいるからだ。

このまま夜が永遠に明けなければいい、なんてくだらないことを考えたりする。

2年間、日本を離れ、異国の大地をひたすらに旅をし続けたのだ。

12時間のフライトは長いようで、2年間かけてたどり着いた地球の裏側からの帰り道にしては、とんでもなく短いような気もして、少し寂しくなった。

苦しいことばかりだったけれど、最高の2年間だったように思う。

きっと十年前、人生でこんなにも長く日本を離れることがあるなんてことは考えもしていなかったはず。

殻にこもって自分の興味や考えに自信を持てずに、ただありきたりな一般性に自己を当てはめるパズルゲームを無理やりやらされているような昔のおれだった。

それはそれで、なんとなくの満足感でこれで良かったと言えていたかもしれない。

でも、心の中で渦巻くどうしようもない想いに駆られて、仕事を辞めて、一人日本を飛び出したその瞬間に、なんか変わったのだ。

肌の色も言葉も文化も宗教も違う人たちに、同じ人間の匂いを感じた時。

歩き疲れてテントを張ったポルトガルの山奥で、わずかな水を一口だけ飲んで眠る瞬間の、どうしようもない本当の孤独感。

この世のものとは思えない強烈な赤の夕日、大海原、それを前に歌う瞬間のあのゾクゾクとする感じ。

カードもギターもバックパックも失って、絶望して、初めて気付く身軽さや周りの人たちの優しさ。

どれもこれもが一生ものの経験になった。

本当に、旅をして良かったと心から思うのだ。

知らなきゃいけないことは、テーブルマナーじゃないぜ。

太陽の沈む向きと、ちょっと口ずさむ歌と。

それ以外になんかあるかな?

生きたいように生きてもいいんだぜ?

なんも恥ずかしくないぜ。

インドで作った曲を脳内再生したりして、これから日本に帰って、この旅で得たものをたくさん歌ってやろう、なんて思いながらうとうとしていて。

差し込む光が閉じた瞼の奥まで染みてきて、ぼんやり目を開けて、ハッとした。

雲の向こう、宇宙の果てからついに飛行機に追いついた太陽が、その強烈な光を闇の向こうから照らしていた。

あまりにも美しすぎて、どきりとした。

闇に浮かぶ一粒の光はみるみるうちに大きくなって、やがて空がゆっくりと、明けていった。

本当に、朝が来てしまった。

なぜか慌ててモニターの地図を確認した。

ずっとずっと離れていた、懐かしい日本列島の形が目に飛び込んでくる。

飛行機はもう北海道のあたりまで来ていた。

ついに旅が終わるのだ。

言いようのない切なさが胸を染め上げていく。

ずっと帰りたくて、恋しく思っていた日本に、ついに帰るというのに。

旅が終わるときに聴こうとずっと思っていた、andymoriのハッピーエンドという曲を聴いていた。

“これでハッピーエンドなんだ。

ハッピーエンドなのさ。

どうせどこにも行けないのならずっとここにいてもいいんだよ。”

優しくて厳しい、この歌が大好きだ。

“ずっとここにいてもいいんだ、全て自由なのさ。

でも君なら自分の行くべき場所を知っているでしょう?君はそれでいいの?”

って、遠回しに語りかけてくるのだ。

そうなんだ。おれは生きたいように生きるために。自分の歌を歌うために。

新しい人生へ向かわなきゃ行けない。

ずっとこのままでいられないんだ。

いろんなものが終わって行く怖さと隣り合わせの武者震いで自分を肯定しながら、おれはなんでか泣きそうになっていた。

飛行機にアナウンスが流れて、機体はゆっくりと下降していく。

重力に胸が潰されそうだ。


そんなところです。

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