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【メデジン/コロンビア】最後の路上ライブと旅の終わりの話

2020年5月13日

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旅中に作った曲達をYouTubeにて公開中!
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今日の夜、四日間滞在したメデジンを去ることになる!

明日の朝、首都のボゴタに到着したら、そのまま空港へ向かって、日本行きの飛行機に乗り込むことになる。

ついに、2年間離れていた、故郷日本に帰るのだ。

ついに、この旅が終わるのだ。

ついに。

宿のある住宅地のエリアからモノレールで10分ほど行くと、クラブや外国人向けのウエスタン風なバーが立ち並ぶ繁華街に出る。

金曜の夜。その繁華街で、この旅最後となる路上ライブに出かけた。

きらびやかに街を照らしあげ立ち並ぶ店の光にゆらゆらと揺れながら、ふらふらと歩いて、歩道の段差に腰をかけた。

いつものように、ここでやって怒られないか、とか、迷惑にならないか、とか考える。

ギターバックを抱えたままで、流れ行く街の光をしばらく眺める。

会社帰りのサラリーマン、派手な化粧のねぇちゃん、浮浪者のおっさん、ビール瓶を片手に奇声をあげて盛り上がる旅行者の若者、タバコや飴の入ったカゴを首から下げて、彼らにつきまとうモノ売りの少年。

いろんな人がいて、それぞれが自分の中の正義とプライドを持って、生きている。

この世界一周に出るきっかけになった、一か月のインドの旅の途中である。

ウダイプルという街で路上ライブをしたんだ。

そこで出会った、足や手のない物乞いの爺さん達。

初めはかわいそうだと思って見ていたけれど、長く旅を続けるうちに気づく。

彼らはそんな障害や社会的劣等感の中で、しかし自己の生き方と仕事に誇りを持って生きているんだということ。

幸せかどうかはそいつら自身が決めることだということ。

そしてこの旅最初の国、フィリピンで、一緒にギターを弾いて歌ったストリートチルドレンの二人組。

ジプニーという公共バンに乗り込んではボイパにヒップホップを乗せて歌ってはお金を稼いでいた。

親もいなければ住むところもなく、友達はシンナー漬けになって頭がおかしくなったと笑っていた。

しかし、彼らが聞かせてくれたオリジナルのヒップホップは、エミネムにも負けないリアルなヒリヒリ感とビッグドリームが詰まっていて、胸が熱くなった。

近くの屋台の食堂で、友達とご飯を食べていた時。

彼らが残飯をもらいにやって来た。

それぞれのテーブルの前で口に手をやり、「食べ物がないんです。恵んでください。」とジェスチャーして回る。

冷たくあしらわれては次のテーブル、無視されては次のテーブルと巡って、俺のテーブルの前まで来る。

彼らはおれが、あの日一緒に歌った日本人だと気づく。

おれはサーブされたばかりだったフライドヌードルを差し出して、食べろよ、とジェスチャーした。

きっとお腹減ってるだろう。ちょっとでも足しにしてもらえれば。

そんな気持ちだったと思う。笑って差し出したその皿を、しかし彼らは受け取らなかった。

「友達のお前から恵んでもらうほど、おれたちはヤワじゃないぜ。」

拙いけど英語で、そんなことを言って笑って去っていった。

最初はなんで親切を受け取ってもらえなかったんだろう、と悲しくなってしまったけれど。

旅を続けるうちに、彼らは周りが思うほど不幸なんかじゃないし、かわいそうでもなくて、

彼らは、その境遇のなかで彼ららしく、誇りを持って生きているのだと気付いたのだ。

どこか、辛い境遇にいるかわいそうな人達、という目で彼らを見てしまっていたのかもしれない。おれの、ある種の偏見が生み出したギャップを感じさせられた瞬間だった。

旅はたくさんのことを教えてくれた。

しかし、どこまでいってもどんな世界に生きようとも、人間としての根本は何も変わらない。

それを身を以て知れたのが、旅で得た一番大きな感覚かもしれない。

おれの場合、いつもそんな素敵な出会いは、音楽を通して訪れた。

音楽は心の全てを解き放てる、心の窓のような存在なのかもしれない。

愛してやまない音楽を。

やまない焦燥感と孤独感と欲望にまみれた汚さを、弱さの全てを音に詰め込んで吐き出すのだ。

自分の恥ずかしさを全部さらけ出した先に、誰かの心の弱さや美しさに触れる一瞬があるのである。

座ったまま流れ行く街の景色にいろんなことを思い出して、考えて、ふわふわしながら、はっとして、ようやく、ギターを取り出せた。

最初はポツポツとしか人通りもなくて盛り上がらなかったけれど、やはり花金の感覚は世界共通か。1時間ほど歌った頃からクラブへ流れ行く高揚した表情の若者達が増えていった。

田舎街から友達グループで旅行に来たんだという女の子達やあたりの店屋の親父、旅行者に囲まれて、人だかりのなかで歌った。

Sunday morningを歌えば、アメリカンのにいちゃんが巻きタバコを加えて気持ちよさそうに体を揺らしてくれて、

「ラムでいいかい?」

と一言。

コトリと足元に置かれたソーダ割りを「ありがとう」と受け取り、グッと飲み干せば、まるで世界の中心はおれの目の前に存在するかのようだ、大げさなまでの高揚感がどくどくと波打つ鼓動に乗っておれを包み込む。

ジェイソンといったこのにいちゃんは、人だかりの波が過ぎ去った後もずっと隣で、優しく微笑みながら座って聴いてくれた。

怖がることはない。
怖がることはないんだ。
君が側でいてくれるならね。

ステンドバイミー。

この旅でもう何百回と歌ったであろう歌を、最後に歌った。

歌い終えて横を見ると、ジェイソンの隣にブラウンの髪の女の子。

彼女らしい。

「実はさっきまで彼女と喧嘩しててね。いらいらしてバーを一人飛び出してきて、偶然君を見つけたんだけれど、君のスタンドバイミーを二人で聴いて、仲直りできたよ。ありがとうね。」

3人で記念に写真を撮って、お札をギターケースに入れてくれた二人は仲よさそうに手を繋いで優しいネオンの光の中に消えてった。

全部で3時間くらい歌って、6万4千ペソ、約2500円!

ありがとう。

最後の最後まで、みんなの優しさと音楽の力に満たされながら、肩にかけたギターを下ろした。

一人になった路上で、一本タバコに火をつけた。

さっき、道端で旅行者達につきまとっていたもの売りの少年がくれたものだ。

少年にとっては、自分の仕事場で見知らぬ旅行者がお金稼ぎをしているようなもの。

荒らされた、なんて思ってもおかしくない。

しかしかれはキラキラした笑顔でニヤリと笑って、キザな仕草で一本タバコを差し出してくれた。

最初の頃の、人通りの少ない寂しい時間帯だっただけに、心の温度が2度も3度も上がった気分だった。

なんで彼らはこんなに優しいのだろう。

なんで彼らはこんなにも人を、いともたやすく受け入れ、胸を張って生きられるのだろう。

日本人の感覚がこびりついたおれにまだ到底理解し得ないところで彼らは生きる。

そのユートピアの片鱗にいつも動揺し感動し、美しさを感じる。

慈しみながら、大事に、大事に、そのタバコを吸った。

メデジンを発つ前日は、郊外の田舎町へ珍しく観光に出かけた。





巨大な隕石みたいな岩山がある、不思議なところ。

500円も(コロンビアでは大金なのだ)払って見た頂上の景色よりも、観光スポットになってるふもとのカラフルな街よりも、

そこで暮らす人たちの洗濯物を干す風景だったり、軒先の犬っころだったり、かけていく地元の子供たちだったり、ビール片手にゆるーくビリヤードで盛り上がりながら、日曜日の午後を過ごすじいちゃんたちの普通の生活を眺めてるのが楽しい。




「ふらっと立ち寄って、お互いにゆったりと流れる時間を共有しながら楽しめるのって、いいよね。」

一緒に行ってくれたさおりちゃんが、ビリヤード場を眺めながら話す。

人生のすべてをかけるくらいに仕事熱心なのは日本人のいいところでもあるけれど、定年退職をして自分の生き方を見失ってしまって、家にこもっちゃう人も多いらしい。

人生の楽しみ方がうまい人に、なりたいな。

そんな話を2人でする。

「日本にも、こんなオープンな雰囲気の遊び場があればええのにな。飲みながら、音楽聴いて、同年代のじいさん同士でいろいろ語って。」

「お互い顔を赤くしながらね!」

いっつも1人でもくもくと考えてた感覚や価値観を、誰かとこうして共有できて、嬉しい。

帰りのバスはオンボロの乗り合いバスみたいなやつで、席がなかったおれは運転席の後ろの小さな硬ったい台の上に乗せられる。

こういうボロバスの運転の荒さは万国共通である!例外なく急ブレーキ、からのマックスギアで追い抜き!そして急カーブ!と、マリオカートみたいな勢いで飛ばしていく。

何回も、背もたれにしてる扉に頭ぶつけたり酔ったりしながら、いつも思う。

(ちくしょう!日本ならこんな不便な思いはしないで良いのに!)

そして、またふと、思う。

(あ、そうか。もうすぐおれは日本に帰るんだ。)

そんな風に考えると、腹立つぐらいの荒い運転や、ガタガタの道路、砂埃、荷物を盗られないように辺りを見渡す警戒心さえも、
なんだか愛しく感じてくる。

くれていく太陽を追いかけるようにメデジンへ進むオンボロのバス。

なんでか、太宰治の”走れメロス”を読んだ時の焦りの感じににているな、なんてまた変なこを一人考える。

大げさな振動に揺られながら、おれは旅の終わりを感じてた。

宿で出会ったコロンビア人のマリアちゃん。
ユウキくん顔ソックリだよと言われ、そんなバカな!と写真を撮る!


に、にてる…!!なんかごめんマリアちゃん…!!

メデジン最後の夜が明けて、今夜、飛行機が出る首都のボゴタに向かうことになる。

最後に街に出て、残ったお金を奮発して、日本のみんなへのお土産を買う。

2年半前、久々に地元に帰ってきたかと思えば、親に

「仕事辞めることにした。とうしても若いうちにやっときたい事が何個かあるから。」

と、相談もなく突然告げたおれ。

縁きられるぐらいの覚悟もしてたけど、そんなおれに

「どうしてもやりたいなら好きにせぇ。でも命だけは落とすなよ。」

と、いい意味で突き放してくれた父親。

一般常識や体裁に厳しいと思ってたばあちゃんも、

「若いうちにやっときな。ばあちゃんは出来んけど、英語は絶対に喋れたらええからなぁ。」

と、意外にも応援してくれた。

人一倍心配性で世話焼きで、大げさだけど毎日おれの無事を祈って仏壇でお祈りしてくれてたらしい母親。

でも、おれが旅の延期を告げた時には

「お母さんも実は若い頃、世界を見て回るのが夢やったんや。心配やけど、今お母さんはあんたが代わりに夢を叶えてくれとる気分になっとんで。後悔ないようにやりきってきな。」

なんて言ってくれた。

海外行くなんて言ったら戦争行くぐらいの大騒ぎになるような、田舎者代表の我が家である。

ヨハネスブルグで全財産入ったカードを盗られて、路上ライブをしながら旅をするなんて息子が言いだして、気絶するような話だったとおもう。

たくさん迷惑かけたし、心配かけた。

面と向かってありがとう、なんて恥ずかしくて言えんけど、本当に感謝してるし、家族の愛、というか切っても切れない絆みたいなものにも、海外に出て初めて気付けた。

なにか素敵なお土産でもぶら下げて、元気に家までたどり着きたいなぁなんて、思ってるんだ。

セントロのお土産街で、素敵なハンドクラフトのアクセサリー屋さんを見つけた。

タグアっていう南米特有の木の実を使った、地元メデジンのワークショップのお店らしい。

母親やばあちゃんへと、ネックレスを買った。

今度結婚する弟の、まだ会った事ないけど奥さんへイヤリングも。

ちょっと高かったけど、木の実の、自然のぬくもりが優しくてかわいらしいんだ。

喜んでもらえると、いいなぁ。

バスの時間になるまで、みんなといろいろ話したり、ギターを弾いたりして宿で過ごした。

なんだか、センチメンタルな気分で、ポロポロとギターを弾いて、声をあげて歌う。

みんな和気あいあいとトランプやったり、マージャンやったりしてるのに、1人だけ自分の世界で浸っちゃって離れて歌ってて、キモイ奴だったかもしれない。みんないるとこで、空気を悪くしてたら、申し訳ないなぁ、なんておもう。

でも、こんなアンバランスな気持ちを吐き出すのは、おれには音楽しか見当たらなかった。

なんも気にせずに、泣きそうなくらいに心をかき乱しながら、andymoriを歌った。

別れのたびに歌ってきた大好きな歌、ハッピーエンド。

そして、おれが旅に出るキッカケを与えてくれた、おれの人生変えられたヤバイ歌、青い空。

“ジャイサルメールには
ドロップキャンディの雨が降る。
歴史は砂の中、ぼくらは風の中。”

青い空の、このフレーズが大好きで、”ジャイサルメールってなんだ?”って疑問から、おれの旅のすべては始まった。

そうして、ついに終わりを迎えようとしている今も、変わらず恋い焦がれてこんな風に歌ってる。

気づいたのだ、おれは音楽が無くちゃ生きられないってこと、そしてそれは、なんも恥ずかしい事なんかじゃない事。

生きたいように生きよう。

歌いたい歌を歌おう。

たとえそれがおれの足をがんじがらめにして、ぶっ倒れてしまっても。それを見て、みんなに笑われたって。

それでハッピーエンドなんだって、また歌おう。

ロックンロールバンド、ロックンロールバンド。君の目が君の髪が指が好きだ。

一生きみの髪の、そのシャンプーの香りに酔いしれて、うとうとしていたい。

浸りきって気持ちよく歌ってると、昨日青い空の話をしたさおりちゃんがやって来て、今の曲もう一回聴きたい!と言ってくれて、みんなの前でも歌った。

その後、宿のオーナーのゆうすけさんがおもむろにやって来て、共同スペースのドラムセットで軽快なビートを刻み始めた。

Aコードの簡単な進行で、ミッシェルみたいなロックンロールを弾いた。

言いたい事叫んで、歌ってみた。

この世の全てがここにあるような、「生きててよかったぁ」なんて大げさな気持ちを大まじめに感じる。

最後は日本大好きなコロンビア人の青年、マルちゃんをボーカルに、スピッツのチェリーをみんなでやった。

音楽が流れてまき起こる、こういう奇跡みたいな瞬間が好きだ。

コロンビア、メデジンの宿、SHUHARU。

そんな奇跡を起こす、ほんとに素敵な空間に出会えた。

オーナーのゆうすけさん。ものすごい音楽バカで、忙しい仕事の合間を縫って一緒にバンドやってくれた。ありがとうございます。

みんなに見送られて、偶然にも同じ飛行機に乗るという、同じ旅人のケンタくんとかずやさんとの3人でバス停へ。

宿で出会ったブライアンがターミナルまで車で乗せてくれた。

また会おうぜ、と握手して、別れる。

10時の夜行バスに乗って、ボゴタを目指す。

窓から見えるメデジンの、坂の上まで続く街の夜景が、まるで星空のようで、きれいだった。

この夜が朝日に照らされる頃、おれの旅が終わるんだな。

そんなことを打とうと考えながら、感傷の中で、気づけば眠っていたんだ。

そんなところです。

[お知らせ]
6月20日(火曜日)夜、渋谷のライブハウス、”encore渋谷”にて、ガモウユウキ弾き語りライブ決定しました!
スタートは19時半、僕の出番は20時ごろから!店内渋いバーのような雰囲気で素敵な場所です!
平日ですが、ちょっと一杯くらいの気持ちでふらり寄って頂ければ光栄です!
チケット取り置き希望の方、連絡ください。

・前売り(取り置き)1600円+ワンドリンク600円

待ってます!!

大学卒業前に、ひとり春のスタジオにこもって書いた曲を、再レコーディングしてPVにしました。よければ聴いてね!
“tomorrow” ガモウユウキ