「JK、インドで常識ぶっ壊される」面白い本読んだので紹介する話。
ナマステ!ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅を終え、現在は東京で音楽活動中。
好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ!
「宇宙コンビニ」、「マカロニえんぴつ」、「ソリッドな豆腐」…
突然どうしたって感じだが、おれ、こういう、あまりにイメージのかけ離れている単語の組み合わせって好きなんすよ。
普通の感覚なら絶対結びつかないだろ!
って言葉と言葉が一緒になった時、妙にアートを感じたり、クスっと笑えたりする時、ないですか!?
そして、そういう意味で今回紹介する本のタイトルを見た時は鮮烈だった。
その名も「JK、インドで常識ぶっ壊される」!!
JKとインドっ!??
ティックトックでKPOPでうぇーいギャルピでこの世の終わりみたいな色の綿菓子を原宿で食べてるJK(※イメージです)が、
牛と野良犬と強烈な香辛料の香りに巻かれて詐欺師に騙され物乞いに心痛める混沌の国インドへっ!???
一体どういう状況やねーーーーーーんっ!!!
「バキバキっ!」とおれの思考回路が粉砕される音がした。
呼ばれてんな。この本に呼ばれてるで…おれ…!!
ってことで、さっそく読んでみたのだ!!
もくじ
お勧めの本!「JK、インドで常識ぶっ壊される」
そんなで、読書するだけなのにいつも大袈裟なエピローグが語られる系ブロガーのおれであるが、
突発的なタイトルへの興味だけで呼んでみた本だったけど、すごい面白かった!
ストーリーとしてはこんな感じ。
高校進学と同時に親の転勤で海外に移り住むことになった主人公の女の子。
「アメリカかな?」「ヨーロッパかな?」と内心ワクワクしていた彼女に告げられた行先はまさかの「インド」で…
初めて降り立った異国で感じる、圧倒される人と動物の熱量、包み隠されずすべて丸見えな貧富の格差、宗教、目の前でさばかれるニワトリ…
そこにあったのは、日本でベールに覆われ見えないようにされてきた生々しい現実のすべてであった!
そんな、超現実とも異世界とも感じられるインドの圧倒的世界観に戸惑いながらも、それを受け入れ、自ら行動していく彼女!
その3年間のインド生活を描いた、おかしくてまじめな「エモい」インド滞在記なのである!
インドに行ったことがある小汚いキモおじバックパッカー諸君には(おれだ。)、初めてインドに言ったあの時の言葉にできないほどの強烈なカルチャーショックの感触を思い起こさせてくれるし、
インドに行ったことが無い人にとっては、JKという現代日本の当たり前を享受しまくったゆるふわアバターを通して見る、すさまじいインドの混沌と現状に興味が湧くこと確実である。
とりあえずインド行きたくなるし、日本で培ってきた15年分の常識をいとも簡単に粉砕されては思考がインドナイズされていく主人公JKがほほえましく、そして時に頼もしく、かっこよく感じる。
「かわいい子にはインドに行かせろ」
とか、そんな格言が生まれそうなほど、インドを通して人間的に成長していく彼女に、時に親目線で目を細めてしまうのだっ!!
JKを通して見るインドがおもしろい。
とにかく、そんなふうにインドに振り回されながらも価値観を広げていく彼女の体験談がおもしろいんだけれど…
まず前提として、文章が普通にすごい。ヤバい。
本当に高校生か!?ってくらい表現の幅が広くて、JK特有のゆるくて軽い言葉を使いとっつきやすいながらも、伝えたいところはしっかりした言葉の重みを持たせて伝えてくる。
普通に有名作家の文章。18歳、初めての著書らしいけれど、舐めたらあかん。ぐいぐい引き込まれる。
「文章が普通にすごい。ヤバい。」とか、語彙力皆無で偉そうに書籍評論してる個人ブログおじさんなんかに見せつけてやりたいわ。マジで。
そして、そんなしっかりした文章と、柔軟な感性で語られるインドの話がおもしろい。
本の中で好きだったエピソードを一つ。
インドで大家さんの家に食事に招かれたJK一家。
ものすごい量のごちそうを用意されているのでは?と予想した彼女らは、おなかを空かせて訪問。
約束の時間を10分ほど過ぎての訪問にもかかわらず、「え?もう来たの?」という雰囲気の大家さんたち。
いっこうにごちそうが出てくる気配もないまま、大家さんの自慢話を延々聞かされ、空腹をお茶菓子で誤魔化しながら苦痛の時間を過ごすJK達。
そして、そろそろお開きかと思い始めた3時間後…
「さぁ夕食にしよう!!Eat!!Eat!!」
イメージしていた数倍の量のとんでもない量のごちそうが運ばれてきて、ぴえん超えてぱおん越えて真顔になる、といったエピソードだ。
なんと、インドではパーティに招かれても約束の時間通りに行くことは非常識、という暗黙の了解があるらしく、だいたい予定時間の2時間以上後からスタートするのが一般的だというのだ。
それを後で知ったJKはこう語る。
いくら世界の時刻表記が六十進法というひとつの基準に統一されても、ほんとうの意味で国や文化を超えて時計を合わせることは難しいのかもしれない。
JK、インドで常識ぶっ壊される 214Pより
ほんとに高校生か!と突っ込みたくなるような高尚な考察…!!たしかにね~って、思った。
こういうエピソードって、いくらググって文化の違いとして「知って」いたとしても、実際に体験しなければ感覚をつかみづらいものだと思う。
こんな風に日々常識をぶっ壊され続けるインドの日常を垣間見れるのが、読んでて楽しいし、知らなかったことも多くて「へぇ~」ってなった!
とにかく「エモい」インド滞在記。
楽しいだけじゃなくて、結構ヘビーな題材を扱っていることもよかった。
それは、インドにはびこる「圧倒的な貧富の差」から生じる「ストリートチルドレン」の問題。
彼女は駐在員の娘として、運転手付きの車で裕福な子供たちが集まるインターナショナルスクールに通う事になるのだが、
その通学路、停車した車の窓を叩いては手を伸ばし物やお金を乞う、自分よりもっと年下のストリートチルドレンたちの存在が引っかかる。
例え能力が高くても、生まれた家や身分で将来が閉ざされてしまうインドの子供たちと、
日本に生まれ裕福な環境で育った自分との間に存在する、大きすぎる社会的ギャップを直視し、葛藤する彼女。
もしなにかあげるなら、その場で食べられるものをあげてください。子どもが、もらってすぐ食べられるもの。たとえば、小さいスナック菓子とかビスケットとか。パックにも入ってないほうがいいです、パックごと取られちゃうので。
JK、インドで常識ぶっ壊される 457P
物乞いの子供たちにお金や物を渡すべきか悩んでいた彼女は、保護団体の人からこんなレクチャーを受ける。
お金を渡しても、親や周りの大人に盗られたり、組織に利用され搾取されたりする場合も多いらしい。
モノを渡すだけ、お金を出すだけでは根本的解決にならないと悟った彼女は、子供たちの権利のために声を上げる。
わたしの知らないことで、この世界はまだまだ溢れている。問題なんて山積みのはずだ。
(中略)
忘れてはいけないのは、その問題がいつか解決するために、少しでもよくなるように、日々汗を流しているひともいるということ。そしてそのひとたちは、ただ知ることで終わってはいけないと教えてくれる。
自分なりにこの問題から目をそらさず考え、未熟なりに行動し変えていこうとする彼女。
日本で暮らしていたなら絶対に感じ取る事すらできなかった「世界の現状」に、真っ向から立ち向かっていく姿が、とにかくかっこいい。
個人的に世界の旅をしていた時、同じような葛藤に何度も苦しめられてきたからよくわかる。
「誰かを幸福にしたり、楽しませたりしたときにはじめてお金は受け取れるんだ」
そんな事を伝えたくて、インドで子供たちにマラカスを作って渡して、音楽を教えたことがあった。
数日後、子供たちの手にマラカスは無かった。捨てられたのか、大人たちに盗られたのかは分からない。
歌も歌ってなかった。あんなに練習したのに。お金にならなかったんだろう。
音楽で世界は変えられない、そんな風に感じて悲しくなった。
しかしなにか行動を起こさないと、心がおかしくなりそうだった。
この圧倒的不条理の前で、見て見ぬふりをして世界の旅を楽しめるほど、おれの心は図太くなれなかった。
彼女の活動も夢半ば、コロナ渦に巻き込まれて閉ざされてしまう。
結局子供たちには何を与える事も出来ず、自分だけ「いい経験」を積んで帰国する、
そんな自分がひどく卑怯で、自分勝手な人間に感じてしまうあの感覚。
痛いくらいによくわかった。
この本、見た目からは想像もつかないけど、決してハッピーエンドでは終われないドロドロした「エモさ」が漂ってる。
最後はちょっと、ずしんと来るものがあった。
しかし、そんな現実も含めて、すべてがインドなんだから仕方がない。
ちょっと笑えて、興味を惹かれて、楽しい、しかしちゃんと考えさせられる。
いろんな感情がギュッと詰まった滞在記だなぁ、と思った。
まとめ
興味がわいた方、とにかく読んでみなはれ!
「くっ…おれも青春時代をインドで過ごしていれば、もっと文才が上がっていたのかな…」
と卑屈になるもよし、
「インド行てーーー!!!!あの混沌のなかに真っ向からダイブしてぇぇぇえーー!!!」
と夢を見るもよし。(全部俺の感想である)
とにかく読後にいろんな思いが沸き起こってくるいい本だった!!
学校の図書室にでも置いておいてほしい内容。幅広い人たちに呼んでほしいな~!ぜひに!
文中に出てきたような、インドのストリートチルドレンを支援する団体を、僕の旅仲間がやっています。
日本各地でストリートチルドレンに関する公演も行ってます。
気になった人は覗いてみてください!
そんなところです。
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