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新宿の空の下の話

2019年8月1日

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YouTubeにて楽曲作品公開中!!あと40万日で一億VIEW突破と噂される人気チャンネル、君はもう見たか!??

次の日は新小岩から、この辺りの大きな街、錦糸町まで歩く。



多分直ぐ慣れるんだろうけど、こうやって事細かく注意書きをしてある看板に、なんかあまりにも神経質な、ヒステリックなまでの様を見て、怖くなる。

書いてないことをされたら困るから、いけないことはとにかく全て書いておかないといけないのだろうか。

錦糸町で、駅前にギターを出して歌った。

会社帰りのお兄さんがじっくり、30分くらい聞いてくれて、去り際に1000円札を入れて行ってくれる。

嬉しかった。そうやって音楽を面と向かって聴いてもらえたことが。

見てくれる人の絶対数は圧倒的に少ないんだけれど、それでも可能性はある。

そんな風に思った。


歌う前に出会ったナカシュウくん。

どこまでも飛んでいきそうなまっすぐな歌が、なんの迷いもなく心にしみて来る、素敵な才能を持ったシンガーだった。

本当に音楽が好きなんだろうな、と感じて、聴いていて気持ちがよかった。

ツイッターを交換した。

音楽でこうやって、出会うはずもなかった人たちとつながっていくのは、いつも不思議に感じる。

この夜は、一回目のインドの旅で、ジャイサルメールを訪れた時に出会った大学生、"ワタベ"の家に泊めてもらった。

アンジャッシュの渡部に似ているから"ワタベ"になった。

本名は知らない。

旅先での出会いに、肩書きや名刺は必要ないのだ。

突然だったのに、「ぜひ泊まってください!!」と、深夜のバイト終わりに家に招き入れてくれる。

牛丼までご馳走になってしまった。

今度、ちゃんと仕事始めてから会った時は、おれが奢ってあげるんだ。

本当にありがとう。

東京3日目は、高円寺へ。

こえー高円寺に消えーやがてきてーきはー響きー!

頭の中であのフレーズを10万回くらい繰り返し再生しながら意気揚々とやってきた。

思っていたよりちいさな街で、しかし商店街にずらりと続いた民族服の店やおしゃれなカフェは、今まで見てきたヨーロッパや東南アジアのストリートよりも、雰囲気があっていい味を出していた。

いつものようにガタガタ震えながら駅前でギターを広げ歌っていると、

「久しぶりー!!!うわ!髪伸びすぎ!きも!」

「うおおおゆかさん!!え!めっちゃOLやん!にあわねー!!」

フィリピンで一緒に英語を勉強した、ユカが見にきてくれた。

フィリピンでいた時は常夏の半袖サンダルファッションしか知らなかっただけに、2人でお互いの変わりようを笑う。

するともう1人。

「ちわ!うお、ユーキくん、髪伸びたっすね!」

「うわ!りょーくんじゃないですか!!!!、なちぃぃぃ!!!なつかちぃよぉぉぉ!!!」

なんと、エジプトの安宿で出会った釣り人、りょーくんも見にきてくれた。

世界各国で怪魚を釣る旅をしている男で、今回はブラジル、アマゾンの奥地で先住民とともに自給自足生活を送って、ちょうどその帰りなのだという。

エジプトで出会った時に同じ香川出身だという事が判明して、帰ったらぜひまた飲もうー!と話してたんだけれど、まさかこのタイミングで東京にいるとは!

ユカとりょーくんは初対面なんだけれど、旅好きが集まれば、心の壁なんて簡単に崩れていくのだ。

軽くもう少しだけ歌って、ギターを片付けた。

薄暗くなってきた街の光の中、ボロっちいビルの汚い焼き鳥屋に入って、冷たい生ビールを注文。

うめぇぇ!!最高だ。

喉を伝う冷たいビールと、塩の効いた枝豆、冷奴、焼き鳥。

よくある居酒屋メニューだけれど、気取らない日本の文化である。

居酒屋。

なんて素晴らしいんだ。

そんな幸福を楽しみながら、3人でお互いの旅の話や、今の現状を話す。

話はお互いを理解する部分から、もっと奥、信念や思想へ。

物欲主義、物を所有する価値、安定と衝動、人間と自然…。

あれやこれやと、飽きることもなく遅くまで語って、結局でて来る答えは

“自分が幸せかどうか。"

豊かな心と感性で、あれはだめだ、これはダメだ、と言わない柔軟な生き方をしたいものだ。

ここでも、お金ないでしょ、と2人に奢ってもらう。

うぎゃぁぁごめん2人とも、必ず次会ったら、お返しするからね。

東京4日目。

昨日高円寺で飲んだあとは、新大久保の格安ドミトリーで一泊した。

そのドミで一緒になった、茨城から出稼ぎ(本人曰く)にきているというリキくんに、

「せ、世界一周して帰ってきたところですって!!??は、話聞かせてくださいぃぃ!!!」

と熱烈に誘ってもらって、ドトールコーヒーで長いこと話をした。

なんでも、今地元の仕事を辞めて、なんかしなきゃ、と奮い立ってオーストラリア留学、その後の世界放浪を目指し、金を貯めているところなのだという。

熱心に、世界各国のあれやこれやを聞いてくれる。

旅なんてスマホがあれば誰でもできるし、おれの経験なんて消化不良の吐瀉物みたいなものである。

若者よ、おれの話を聞け!

みたいに言いふらす気は無いし、そういうジジイにはなりたく無いのだけれど、

世界で感じた矛盾や痛みや孤独や幸福の行方なんかは、旅を通してこそ見られた、感じられたものだ。

まだそれを知らない彼が、そんな世界の美しさを覗きにいく、その決意の手助けが出来たのなら、うれしい。

そのあとはリキくんと新宿まで歩いた。

突き抜けるような高層ビル、これでもかと目を痛くさせるサインボードにモニター、タンザニアで見たバッファローの群れよりも溢れかえった人達の隙間。

陸橋の下に、ホームレスのおっさんたちが段ボールを広げて、ボロボロのタバコを並べたり、ビールの空き瓶を握って眺めたり、ただ死んだように虚ろに真上のコンクリートを眺めたりしている。

脇を進むのは、無関心でそれに慣れてしまった、ごく普通の人達。

あぁ、なんだ、日本にもこういうところもあるのか。

世界のどこにでもいたホームレスや物乞いの存在を、以前は目を背けて通り過ぎるだけだった自分だが、今は、その生い立ちや信念を想像して。すこし、寄り添って見たくなるのだ。

旅をして、ノーマルとアブノーマルという固定概念が崩壊したのだろうかな、とも思う。

無関心で心を亡くすより、そんな感性を大事にしたいと思う。

「ここです!うわ!もう誰かやってる!!」

リキくんが、新宿ならこの辺りでよく歌ってる人がいますよ、と教えてくれた路上スポットでは、もうすでに何組かバスカーがアンプから快音を鳴らしていた。

「うおぉ、いいね!こういう当たり前に音楽が流れている通りが日本にもあるのか!」

日本に帰って、ストリートを歩いて、路上ミュージシャンもパフォーマーも、物売りもホームレスもいないその規則正しさ、悪く言えば面白みのない管理された具合に、すこし悲しくなっていた。

こうやって、いろんな表現が渦巻く賑やかな通りがあると、おぉ!と思って、心の温度がすこし上がる気がする。

おれだけなのだろうか。

おれも歌いたい!と思って、他のシンガー達から離れた歩道にギターを広げた。

目の前に歌舞伎町のきらびやかな光が見えて、訳のわからないダンスミュージックみたいなビートが響いてきて、決して歌いやすそうな場所じゃなかったけれど、都会の蒸し暑い熱波に頭がクラクラして、アドレナリンは絶頂だった。

珍しくなんのためらいもなしに、勢いよくギターバッグを地べたに置く。

「ええ!ユウキさんここでやるんですか!!」

「え!やるよ!なんで!?」

「い、いや、いきなりなんで、なんか心の準備が!あ、いや僕は見てるだけなんですけど、なんか緊張して!!」

「こういうのはタイミングなんや!今しかない!歌います!よろしくっす!」

なぜかかわりに緊張してくれるリクくんをよそ目に、ギターストラップを肩にかけてじゃりんと鳴らす!

日本の中心、新宿歌舞伎町の目の前である、以前の俺なら絶対ビビって歩くことすら震えるような人の数と圧倒的排他区域であるが、しるか。ここは日本だ!怖いものなんてないぞ!

奮い立たせて、りくくんが好きだというゴイステの銀河鉄道の夜を歌った!

がむしゃらにかき鳴らすストロークと張り上げた声が、無機質な人たちの群れと無理やりに電飾を施された奇妙な繁華街の中で、確かに光っているのを感じた。


気持ちいい!

これがロックンロールなんだ!

なんて盛り上がって歌っていると、遠くで自転車に乗ったまま見てくれていたお兄さんが歩いて来て、声をかけてくれた。

「が、ガモウさんですか??」

「え…え!??そうですけど、なんで知ってるんですか??」

「あの、ブログ見てて、たまにコメントしてたんです!やっと会えました!」

ま、まじかよ!

ケビン君という名前の彼はなんと、以前からこのなんの有益情報もないこのブログを気に入ってくれていて、「新宿で歌います」というツイッターを見て急いで探しに来てくれていたらしい!

アンディモリが大好きだという彼。

その手にはギターが!

完全に初対面だったけれど、好きな音楽が一致して、お互いに楽器をやるとなったら、その距離は秒速5キロメートルのスピードで旧接近するのだ!!!!

「歌いましょう!アンディモリやりましょう!!!!」

アホみたいに走るリズムで、アンディモリの"follow me"という曲をやった!

ララララーラララーラらアラー!!

新宿のど真ん中で、確かにそこだけは憧れのインディアに見た希望の光で包まれていた!!

うおお最高だ!!!!

30分ほどやって、それぞれ用事があるという2人とがっちりと握手。

手を振って別れた。

そのあと、1人残されてもう少しだけ歌った。

どこに太陽が沈んでるのかもわからんビルに囲まれた街にも次第に夜が訪れて、暮れていく繁華街の空気。

1人のお姉さんが話しかけて来てくれた。

お姉さんは昔、歌手を夢見て東京にやって来たものの、うまくいかずに夢は諦めたのだという。

馬鹿みたいに楽しげに歌う俺を見て、何か懐かしいものを感じたのだそうだ。

「なにかオリジナルソングを聴かせてください。」

と言われ、インドのビーチで作った曲を歌った。

“知らなきゃいけないことは、テーブルマナーじゃないぜ。太陽の沈む向きと、ちょっと口ずさむ歌と、それ以外になんかあるかな?生きたいように生きてもいいんだぜ?"

このフレーズが、気に入ったよ、と言って500円硬貨を投げてくれる。

ありがとうございます。

なんだか。

新宿はすごく怖い街だと思っていたけれど、東京で1番暖かい気持ちになれた場所でした。

日本も悪くないなぁ。

ゆらゆら街の灯りに照らされながらしばらく歩いて、見つけた大きな公園の茂みに寝袋を敷いて。

時折通り行くホームレスのおっちゃんらに見つからないか怯えながら、この日は眠った。

明日は湘南まで。

旅は続く。

そんなところです。

この日、ライブを見に来てくれたケビン君は今、世界一周の旅をしながらゴリラになるためにギターを背負いながら日々筋トレに励んでいる!

私はゴリラになりたい

↑彼がゴリラに近づく様をみんなで観察しよう!

YouTubeにて、オリジナルミュージックビデオを公開中!コメント、チャンネル登録してくれるとうれしくて目からうどんが出ます。



日本

Posted by gamoyuki