モシ到着とおれのとうもろこしの話(エロではない)
キリマンジャロの麓町、モシまでやって来た!
この街は、とても小さな田舎町ではあるがキリマンジャロ登山をはじめとしてコーヒーやバナナを使った料理などが有名で、外国人旅行者が多く訪れる観光街でもある。
ちなみにこちらの街、日本語でも英語でも「モシ」である。「すみません、イフへのバスチケット一つ!」と英語喋れるアピールをかましながらチケットを買おうとすると、ブルキナファソ共和国西部に広がる熱帯雨林の中の小さな村、イフ村へのチケットを買わされてしまうので注意が必要だ。
そんなこんなで、頭の中ではもちろんあの、「もーしー んなななーなーらー あららららーららー 2人のこーいー(歌詞知らん)」
のあの歌を、しかしサビしか知らんのでサビ部分をヘビロテさせながら街を歩いていた。
背中にはギター。
実はつい先ほど宿の共同スペースで一人ギターを弾いて盛り上がっていたら、じゃんじゃかうるせぇんだよ猿が!よそでやれ!と追い出されてしまったのだ。
いや、っていうかそれが超恥ずかしかったのだ。
スタッフ「(ホテルの他のお客さんの邪魔になるから、悪いけど)ここじゃなくて屋上のレストランでやってくれる?」
おれ「(レストランで、バーミュージシャンとして歌ってくれないかと勧誘されてるんだと思って)いやいや、でも今練習してるだけだから!センキューせんキュー!へらへら」
スタッフ「(その練習を止めろっつってんだろサル!!)いや、そこをなんとかお願いできないか。」
おれ「(なかなか熱意ある勧誘だな)ありがとう、嬉しいよ。でも、もう少しここで練習したいんだ。」じゃかじゃか
スタッフ「(絞め殺すぞこの野郎!)屋上のほうが何も気にせず歌えるよ?頼むよ。」
おれ「(人気者は困っちゃうな~)ははは、ごめんね、でもありがと。」じゃかじゃか…
しばらくこんな話を繰り返したあげく、
「寝ているお客さんもいるんだ、頼むよ。。」
という彼の言葉に、ようやく「ん?」となり、その真意についに気づいたおれ。
青ざめて顔を真っ赤にして、結果的に混ざって紫になって宿を飛び出してきたという次第だ。
恥ずかしい。
恥ずかしくてもう帰れない。
いやぁぁ!!
そして、本棚の奥に隠していたはずのエロ本が、なぜか勉強机の上に「落ちてたわよ。母より」というメモとともに置かれていた日の中学生のごとく、おれは行く当てもない街を
さまよい歩いた。
時刻は午後四時ごろ。
ふらふらローカルなエリアまで歩いてくると、一軒のきったねぇバーの前で、店員っぽいドレッドのにいちゃんに声をかけられた。
「へいブラザーどうしたんだいそんな紫な顔色をして!いつもの黄色いサル顔を見せてくれよ!良かったら一杯ビールでも飲んで行きな!」
ビールか。
この気持ちを癒すにはアルコールに頼るのもいいかもしれんな、と、ふらりと立ち寄った。
まだ外はずいぶん明るいけれど、案外そこらへんの労働者のおっちゃんや、買い物帰りのねぇちゃんたちで店は賑わっていた。
アフリカ人は本当ビールをよく飲むみたい。
いたるところにバーがある。
日本人の、ちょっとカフェでチャーでもしばこか!みたいな感覚に近いんかな?
「へいそこの巨峰みたいな顔したにいちゃん!こっちこいよ!一緒に飲もうぜ!」
おっちゃんに話しかけられて、おっちゃんオススメの格安ビール、"イーグル"を開けて二人で乾杯。
一本50円。安っ!!!
他のは普通に150円くらいするんやけどな。
このおっちゃん、なんでか日本のことをよく知ってて、ヒロシマ!コウベ!フジサワ!とか、地球のほぼ反対側の人が知るわけもないような地名をたくさん知ってて不思議だった。
香川は知らんかったけど。
最終的に
「よし、ならおれはもう行くがいつでもまた飲もう!次会った時はビールをおごらせてくれ!という事で今日は君が払うんだ。大丈夫、ノープロブレム。」
とかわけのわからんこと言い出して、いつもなら髪の毛むしりとるぞこの野郎とか思うんだけれど、まぁなんか気紛れたし面白かったからいいか、と良い気分にまかせおごってあげた。
言うて、50円やけど。
その後、久々のビールの酔いで気持ちよくなりながらふらふら歩いていると、ボロ小屋だらけの住宅地の通りに出た。
地元の人たちが、5円のおちょこコーヒーをちびちびやりながらべらべら話したり、ペットボトルのフタでボードゲームをやったりしている。
「ヘイヘイそこのねるねるねるねみたいな顔色のにいちゃん!ギターひくのか!?俺たちに弾いてくれよ!こっちこいこっち!」
とコーヒーをサービスで入れてくれる。
おお、なんだよ!
ゲストハウスではあんなに忌み嫌われ耳を塞がれたおれのギターを、あんたら求めてくれるのかい…..??
大きな声で、歌ってもいいのかい….?
よし、やったる!
上等だ!おらみんな上に飛べ上にー!!!!
そして、みんなで、ノーウマンノークラーイ
!!と賑やかに歌ってどんちゃん騒ぎ。
近所からもわらわらと子供たちがやってきて、ヘラヘラ笑いながら音楽を楽しんでくれた。
なんか、路上ライブならぬ路地ライブ、でもこのアットホーム感がたまらんな。
最後にみんなで記念撮影!
ええやん!なんか、近所の人らで裏の空き地でバーベキューするとか、そういうの好きなんやけど(やったことないけど)、そんな感じの、フランクなのがいいね。
「明日もコーヒー飲みに来てや!」とかいうてくれたのが嬉しかった。
日も暮れてきたので、またね、と手を振ってさようなら。
そんなで、すっかり自信と顔色を取り戻したおれは、帰りしに一本25円の、家畜用の全然甘くない焼きもろこしを買って帰った。
何もなかったようにホテルスタッフたちは「ウェルカムバック!」とほくそえんでくれて、逆に心のよりどころがなかったが、共同スペースにて、南アフリカ出てから初めての外国人観光客を見つけた!!
テンション上がって珍しくおれから話しかけた。
ドイツ人のにいちゃんで、彼女と一緒に旅しているらしく、彼女がエチオピアで働いてて彼氏をアフリカに招待したんだそうだ。
いいなぁ!
普通、彼氏がアフリカとか冒険旅したくて、でも彼女はシチリアでバカンスしたりバリでアーユルベーダしたりしたいじゃん!
でも彼女の方が冒険家って感じじゃん!
いいじゃん!うらやまじゃん!おれも君みたいな彼女欲しいじゃん!
とついテンション上がって饒舌になるおれ。鼻息は粗めである。
「ははは!照れるな!あぁそうさ素晴らしい彼女だよ。」
なんて、まっすぐ言えるのが素敵だと思った。
きっと、思っていることは隠さず素直に相手に伝えることができる、そんな好青年なんだろう。
「それじゃ、僕は彼女とディナーに出かけるよ。家畜君もそのゴミみたいなトウモロコシ、楽しんでね!ハバグッドディナー。」
「ハバグッドディナー。」
そして、一人取り残されたおれは、トウモロコシの粒を一粒一粒手でちぎって大切に食べた後、その芯を抱き枕にぐっすりと眠りにつくのであった。
そんなところです。
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