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ベトナム最後の夜とロックの話

2019年8月1日

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この日はベトナムの熱海と言われるブンタウという微妙な響きと形容詞のビーチリゾートに行ってきた。

確かに広いビーチは開放的だったけど、、

この海の色、、、

ドブ川である。

ビーチギャル達の黄色い声援に包まれながらその隆々たる肉体美をボンタウの陽の下に晒すはずだったが、泳ぐ気も一気に失せる。
美女達の落胆の溜息を背中に感じながらビーチを去る。

誰だネットでボンタウは最高のビーチリゾートだとか言ってたやつ!

仕方ないのでぶらぶらお散歩ライフである。

夕暮れ時、ちいさな漁港で水揚げされてはトラックに積まれて運ばれていく魚を眺めていた。

中には人の背の高さほどある大きなカジキも揚がっていて、一人テンション上がった。


そう、普通の男の子がかっこいい車を見たり、高級な時計や靴に目を輝かせるように、俺にとってはそれが魚なのだ。

子供の頃から俺はこうやって魚を見るのが好きで、親とビブレ(近所のデパート的な)に買い物行くと、いっつも鮮魚コーナーに預けられていた。

普通親が買い物中どっか預けられるとしたらプレイパークとかなんだろけど、その時のおれは他の子供達と遊ぶより、敷かれた氷の絨毯の上に横たわるスズキやカサゴやコチを眺め、漁師さんに水揚げされて、それらがここにやってくるまでのストーリーを想像するのが好きだったのだ。

もちろん一番最初に抱いた将来の夢は漁師さんになることだったけど、うちは漁師の家系じゃないからなれるわけないやん!と親に一蹴されて諦めたのだ。

そんなわけで長年家系が漁師でないと漁師になってはいけないんだなぁと信じてきたけど、つい最近中学の同級生が、一人香川の小島に移住して、そこで地元の漁師さんに弟子入りし、先日ついに自分の船を持って漁師デビューしたというのをFacebookの投稿で見た。

長い修行は大変だったろうし、独り立ちしても自分の腕一つで生きていかなければならない世界は、想像以上に大変だろうなとは思うけど、Facebookの写真の中で彼は初漁で揚げたという巨大なヒラメを誇らしげに抱え、いい顔をしていた。

素敵な生き方だ。
負けられないね。
なにに勝とうとしているのかわからんが。

まぁとにかく、やろうと思えば素人でも漁師さんになれるわけで、幼き頃の蒲生少年は騙されていたのである。

親は息子の将来を考えての事だとおもうけど。

とにかく、ブンタウでは結局一泊だけして、カンボジアへ行くためにホーチミンに帰ってきた。

バスの中で本を読んだ。
最近ずっと読んでた横道世之介という本だ。

ホーチミンに帰るまでに全部読み終えれたんだけれど、すごく良かった。

翔子ちゃんが言った、「子供を育てることって、大切なものを与えてあげる事じゃなくて、大切なものを見つけさせてあげることだよ」、というセリフが良かった。

将来もし結婚できたら奥さんにドヤ顔で言ってやろうと思う。

明日の早朝発のバスチケットを買って、ベトナム、最後の路上ライブへ!

1本目は前から気になってた、都心のコロニカルな洒落た郵便局前。

基本こういう政府系の場所はよく止められるので、ギターを広げ出す時はいつも変な汗をかいてしまう。

警備員さん二人がやってきた時には「あぁやっぱダメだったか」と悟ったけれど、にっこり笑った彼らは「どこから来たの?」「どれくらいいるの?」と気さくに話をしてくれただけだった。

人通りは少ないけれど、裕福な人の多い場所なのかな?キッチリスーツを着こなしたビジネスマンや小洒落たドレスのお姉さんが、エレガントに笑いながら気前よく2万ドンとか入れてくれる。

ベトナムではビール一杯にお釣りが付くくらいの額。

あぁはやくここでやっときゃよかった、なかなかいいぞ。

最後に出会ったお兄さんは、ネパールまで、気をつけて旅してね。となぜか手元に持っていたgood luckと書かれたポストカードをプレゼントしてくれた。

うれしいな。

そして、日も暮れてしまったのでいつものデート公園に移動。

む?お姉さんがヤモリをツマミに赤ワインを飲んでる

ありゃ!この前歌ってたポイントでジャパンフェスティバルなるイベントが!!

爆音で音楽が鳴ってて諦める。おのれジャパンめ・・・

たどり着いた公園で歌ってたら、タイで出会った旅人のコースケさんと再会!!

コースケさんのベトナムの友達もみんな合わさって、聴いてくれた。

正直こっちに移動してからはほとんどチュプは入ってなかったんだけれど、最後の上を向いて歩こうを歌い終えると、みんながたくさんの気持ちを入れてくれた。

ありがとう、大切にネパールまで届けます!

その後、地元でナンバーワンだというベトナムコーヒーの店へ!

彼らが僕とコースケさんの分もコーヒーを奢ってくれた。。

旅をしていると現地の人たちに奢ってもらう機会が多いんだけど、いつも思う。

見下すように思われたら嫌だから、口には出せないけれど、彼らの所得は正直僕らが日本でもらう給料の何分の一にも満たない。

ちなみにベトナムでアルバイトの給料は、基本時給2、300円と言ったところ。

一杯300円のこのコーヒーも彼らにとって決して安いものではない。

それでも、日本からわざわざやって来てくれた友達をもてなしてあげたい!とこんなに親切にしてくれる。

ついさっき会ったばっかりの僕らなのに、「もし私たちが日本に行く事があったら、奢ってよ!」と笑って財布を出す僕らを制止する。

こういうとき、日本人は「こんなにしてもらって申し訳ない」と考えがちだけれど、「ありがとう!」と素直に感謝するべきなんだな。

海外でもらったたくさんの優しさを、日本に帰ってから、日本を訪れる外国人に返していきたいね。

まさにグッチさんスピリットである。

(グッチさんとは大学の時の軽音楽部の先輩である。グッチさんは自分も超金欠なのに僕ら後輩と飯に行くといつも奢ってくれてた。グッチさん!悪いっすよいつも!なんて言うんだけれど、グッチさんはいつも言う。「おれにされた事を、お前らが後輩にしてやってくれればそれでいいよ。おれに返そうなんてしなくていい。」と。これに深く感動した俺は、受けた優しさを周りに伝え合う事で社会全体を輪にするという理念を「グッチさんスピリット」と定め、実行に努めている。なんか説明が新興宗教くさくなったが、怪しいものではない。)

その後、ローカルグループと別れた僕とコースケさんは、二人で最後のベトナムを満喫しようとテント張りの飲み屋に出かけた!

お互い仕事を辞めて、アラサーで海外に飛び出したという中で、サイゴンビールで乾杯しながら、話は将来の仕事の事に。

コースケさんは、今の旅をしている自分の状況をビジネス的観点から捉えて、いろいろな事にチャレンジしていた。

面白かったのが、今彼が書いているブログ。

ローカルの人しか知らない情報を得る事ができれば、僕ら旅行者はもっと安く、快適に面白い旅が出来るんじゃないか?という自分の経験上から、逆に自分がローカルである日本について、「日本で一日30ドルで生活をするにはどうすれば良いか?」「格安フード、牛丼とは?」など、ローカルにとっては当たり前だけど、案外外国人は知らない(知れない)情報を発信していく記事を英語で書き溜めていっているのだそう。

アクセス数が増えればネット広告で収入も得られるという事で、道端で歌ってるだけの俺はしっかりしてんなぁーとただただ脱帽である。

http://backpackinginjapan7.blogspot.jp/?m=1
日本人が読んでも、あぁ、外国人にはこういうの普通じゃないんだ~と驚く事もあって楽しいのでよかったら見てみて。

それで、そんなクールな敏腕ビジネスマン旅人かと思いきや、コースケさん、実に深くて熱い人である。

二人で音楽の話をして、音楽の力をアホみたいに熱く語った。

前に、好きなバンドはみたいな話してて、はっぴぃえんどが好きと言ってたコウスケさん。

でも今までに一番影響を受けた曲は、ブルーハーツの情熱の薔薇らしい。

見てきた事や聞いた事今まで覚えた全部 デタラメだったらおもしろい そんな気持ちわかるでしょう?

という歌詞がある。

今まで自分が知ってた常識なんて、飛行機一本でもろくも崩れ落ちる瞬間がある。

優しいと思ってたおっさんが、急に窃盗犯になる瞬間。

川辺で死体が焼かれるその煙に包まれた瞬間。

10歳にもならない少女が物売りとして働いているのを見た瞬間。

日本の常識ではまったく計れない世界が、僕らの前にデカデカと横たわってた。

常識を超える体験からくる感傷と衝動をロックンロールと言うなら、
旅はロックンロール、欲を言えば人生がロックンロール。

そんな風に生きたいな。

こんな暑苦しい話しをマジマジと聴いてくれるような人と出会えて最高の夜だった!

飲んでたら話しかけてきた知らないカナダのおっちゃんとオアシスをセッション!!

コースケさん!!

最高の夜をありがとうベトナム!!

明日、カンボジアに行きます。