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シドニー郊外のキャンリーベール(Canley Vale)って町で働いてた時のことをちょっと思い出す話【オーストラリア・シドニー】

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

グッディ!ぼっちシンガーです。
香川県出身、20代で路上ライブ世界一周、30代は東京で働きつつ音楽活動!
旅と音楽、サッカーなど、好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ!

「そういえば、シドニーで稼いだオーストラリアドルがあるじゃん!」

今度妻氏の実家である香港にいくんだけれど、円安すぎて日本円を両替するのがもったいなくて。

どうしよ~と思ってたら、オーストラリアのワーホリで稼いだオーストラリアドル、

当時の価値で70万円相当が、いつの間にか100万円相当の価値まで上がってたのよ!

どんだけ円安やねん!!怖なるわ!!うおぉおぉお持ってて良かったオーストラリアドル!!

と感動したと同時に、ふと、この100万円を稼いだシドニーでのバイト漬けな毎日のことなどを思い出して、

物思いにふけったりしてみた。

極貧オーストラリアワーホリ生活、仕事探しの末にたどり着いた田舎町

職なしのころは路上ライブでわずかな小銭を稼いでいた。

シドニーではシティ中心部でラーメン屋のバイトをしてて、その頃の様子は大昔のこのブログでも書いてて、たまに見返したりする。

だけど実は、このラーメン屋の前にもう一個バイトをやってた時期があって。

その頃はブログも始めてなくて、なにも記録してないので、なんか思い出に耽ったついでに書き残しておこうかな~とか思う。

もう10年近く前になる。

シドニーにワーキングホリデーでやってきて、エージェントに用意されたシェアハウスと語学学校を往復する生活を1ヵ月ほど過ごして、学校を卒業した。

いよいよここからは自分で仕事も住む家も探して、自分で生きていかなきゃならないって状況になって。

チャイナタウンのマンションの一室に違法開業された中華系シェアメイト10人詰め込み監獄シェアハウスを見つけてそこで暮らしながら、アジア人でも働けそうな日本食や中華料理やのレストランにレジュメ(履歴書みたいな自己PR表みたいなやつ)を配り続けてたな。

でもそんな地道な就職活動も全然ダメで、ヘイマーケットっていう近くの怪しい中華系スーパーで1ドルのインスタント麺買って何とか生活をやりくりしながら、

「やべぇまじで金稼がないとやべぇ!!」

って焦ってた。

そんな時、日本人ワーホリ居住者向けのネット掲示板みたいなところに一件の書き込みを見つけた。

『ジャパニーズBBQのレストランホールスタッフ募集。時給14ドル。』

まぁ地元民は時給20ドルくらいがボトムラインのオーストラリアではめちゃくちゃ安い方なんだけれど、

ローカルでもなければ英語も小学生低学年レベルしかしゃべれないヤツに選択肢なんかねぇ!

日本でバイトするよりいい時給ってだけで、すごい魅力的に感じて、すぐつたない英語で書かれている電話番号にかけたな~

「ア、ア、ア、アイ、ソウ、ホームページ、ユア、ジョブオファー、キャンナイ、テイクインタビュ…」

「じゃ明日面接これますか?」

電話に出たオーナーさんは日本語をしゃべって拍子抜けした。

「ぜひともよろしくお願いします!!」

でも、翌日店を訪れてみて驚愕した。

いやいや…遠すぎるすぎるでしょ!!!!

なんと、そのキャンリーベールという町は、おれが住んでいたシドニーセントラルステーションから電車で1時間の郊外の町、というか田舎の小さな無人駅みたいな場所だったのだ!

キャンリーベールの頃使ってたケータイはその後盗まれたので写真がないのだけれど、雰囲気こんな感じ。

シドニー郊外のキャンリーベール(Canley Vale)はベトナム系移民の町

シドニーから1時間かけてやってきたその街は、駅前に小さなピザ屋や商店がポツポツ、その駅前通りを抜けるとただっぴろい公園?荒野?とでかい庭の家が並ぶだけの、まさに絵にかいたような郊外の住宅街って感じ。

そんな駅前から続く一本道をさらに2キロも歩いたところにあったのが、そのBBQレストランだった。

「じゃぜひ明日から来てください!」

とオーナーさんに言ってもらったけれど、正直「いや無理だろ!」って思ってた。

バイトの通勤で2時間近くかかるて頭おかしいやろて。

だけど、そのあとの雑談でオーナーさんが話してくれた、この街のことが興味深かった。

「キャンリーベールはベトナム系移民街なんです。住んでる人もアジア系移民がほとんどで、日本風焼肉になじみがある人が多いので、この町ならイケる、と思ったんですよ~」

なんでも、このレストランは最近OPENしたばかりだそうで、オーナーは日本にも留学経験がある上海出身の中華系移民の人だった。

日本で焼肉屋でバイトしてたころ、その味に感動して移民先のオーストラリアで店を開こうと決意したそうだ。

なんでもこのキャンリーベールという町は、彼みたいなアジア系移民が多く住む場所らしく、特にベトナム系移民が街の30%を占めてて、オーストラリア生まれのオーストラリア人よりも多いとかなんとか。

たしかに駅前の商店も、英語の上に三角みたいなのついた「ệ」みたいな文字が並んでて、まるで別の国みたいだったな。

移民国家オーストラリアを象徴するような土地柄で、なんかオーナーさんのその話を聞いた時に、

「なんだか、このオーストラリアという国を理解するのにもってこいな場所かも!いい経験できそう!」

なんて、変にときめいたんだよね。

店のスタッフもお客さんも、誰一人日本人なんていない郊外の町だから、英語の勉強にもなりそうだったし。

まぁとりあえずちょっとだけ働いてみて、嫌になったらやめるか。

そんな風に思って通い始めたのだけれど、いざ働き始めてみると意外に毎度の長旅も楽しくて。

電車も日本みたいに混み合わないからのんびり座って読書したりできて楽だし、駅前のベトナム系の八百屋で見たこともない野菜や果物を眺めながら出勤するのも異国を旅してる感じがして楽しいし、仕事も楽し…くはないけど刺激的な毎日で飽きなくて。

結局、週5でこの街に通いながら、半年間くらいバイトしたのだ。

ローカルで実感したオーストラリアの本質と日本人差別

まず、初めてオーストラリアのレストランで働いてみて感じたことは、「お客さんと店側が完全に対等」であるという事。

日本みたいにお客さんが上で店側がへりくだるようなことは一切なく、お客さんの方から「ハーイ!」と笑顔で挨拶してくれるような、まるで友達の家の食事会に招かれた時みたいな距離感で入店してくる。

英語がつたないおれがオーダーを取り間違えてしまった時も、

「ごめんね、僕たちがうまく伝えられていなかったようだ。実はこれじゃなくこれを注文したんだけれど、まだ替えてもらえるかな?」

と、もう泣きたくなるくらいにやさしいの。もう抱かれてもいいくらいにやさしいのよみんな。まぁお客さんタトゥー入った筋肉隆々のおじさんばっかなんだけれど。

日本みたいに「どないなってんねん!!」とか怒鳴り散らすおやじは皆無。ほんとにいくらオーダー取り違えても厨房から料理が出ずにたくさん待たせてしまっても、キレられることはたった一度もなかった!

みんなうまいものを食べに来てるってより、友達や家族と楽しい時間を過ごすためにレストランに来てるって感じがするのだ。

だから、しょーもないことで怒るよりも、みんなで楽しみましょうよ?って感じでオープンマインドな人が多かった。

この感覚はベトナム系移民だろうと白人だろうと中華系だろうと、みんな一緒だった。

すごくいい距離感だなと思ったし、店側の俺たちがその優しさに甘えるようなことはあってはならないけれど、

自分もお客さんとしてレストランに入ったら、こういう風にふるまえるお客さんでありたいな~なんて思った。


一方、働く仲間の中には嫌なヤツもいた。

厨房の韓国人のおばさんは、おれにだけ冷たかった。

おれがオーダーを取り間違えたりすると、「はぁ・・・これだら英語のしゃべれない日本人は…」と皆に見えるよう大きくにため息をついた。

仕事の指示を出されて「Sorry I didn’t realize(気づかなくてすみません)」と言うと、

「realizeてなんやねんwww なにをrealizeしてんwww」

などと、クソどーでもいい言い間違いなどを毎度からかってきたりしてた。

※realizeはなにか重要なことを発見する、みたいな大げさなニュアンスが強く、この場合はI didn’t noticeとかのほうが自然だったのかと思われる。

また、バイトリーダー的存在の中国人の兄ちゃんは、トラブルが起きるとあれやこれやと理由をつけて、

「おまえがうまく席案内しないからだ!」

などと責任を毎回おれに押し付けて来てた。

胸ぐらをつかんできて、今にも殴られそうな剣幕でみんなの前で怒鳴られたりもした。

おれは正直全く悪くないことでも、彼らの社会では「いったもん勝ち」「自分は悪くないことをみんなの前で証明したもんがち」なところが大きくて、

英語が不十分でうまく言い返せないおれは、しばしば彼らのパフォーマンスの餌食になっていた。

まぁ、英語が喋れないってだけじゃなく、中国人や韓国人の彼ら彼女らの、一種日本人差別的な意味合いもあったと思う。

あからさまに事あるごとに「これだから日本人は…」と言ってたからな。日本人嫌いがめちゃくちゃ露骨な人たちだった。じゃあなんでジャパニーズバーベキュー屋で働いてんのや!って1億回くらい思ったわ。

まぁそんな嫌なヤツらもいたけれど、ほかのベトナム系移民の子たち(高校生くらいの若者ばっかりだった)はみんな陽気でフレンドリーで優しかった。

厨房のケビンって男の子はよく「彼女には内緒だよ!」と言って、厨房の韓国人のおばさんにばれないように刺身を食べさせてくれたりした。

フロア担当のカヤナって女の子は、おれのことを「ユキサン!」とさん付けで呼んで「日本のこともっと教えて!」とか言って慕ってくれて、わからない英語を教えてくれてたりしてたな。

その後、ケビンとカヤナが実は昔からの幼馴染で、最近付き合いだしたカップルだったって判明した時には、テンション上がって、閉店後まかない食べながらみんなで恋バナしたりして楽しかった。

あと、名前忘れたけどメガネの女の子は高校卒業したばかりなのに車持ってて、よく仕事終わりに「駅まで乗せてってあげるよ~!」って言ってくれてた。

その車内での会話で、すごく印象に残ってる話がある。

「ここだけの話、あなたはこの店の給料いくらもらってるの?」

そう聞かれたおれは何の気なしに

「14ドルだよ~!」

と答えたら、

「うそ!!!まじで!!?」

とめっちゃ驚かれたときがあった。

おれは「少なすぎでしょ!よくやっていけるね!」とか言われるのかと思った。

オーストラリアのバイトの平均時給は当時でも20ドル前後とか言われていたし、英語も不十分な俺に比べて、ローカルのみんなはもっともらってるんだろうなとか、そう思ってた。

でも、逆だった。

「私たちは12ドルよ。これでもこの辺りなら良いほうなの。友達は9ドルで働いている子もいるわ。ベトナム移民の私たちにとっては、仕事があるだけマシなの。」

衝撃だった。ベトナム系移民と言っても、彼らは2世。

生まれも育ちもオーストラリア、英語も文化理解度も100パーセント俺より優秀なはずなのに、

ポッと日本からやってきたワーホリの若者よりも彼らの方が給料が安いという歪んだ現実が、そこにはあった。

もちろんシティ中心部に出て割のいい仕事を探すこともできるんだろうけれど、

家を重んじ家族を重要視する彼らは、定着したその土地で暮らし、その土地で働くことを良しとする雰囲気が寝強いのだそうだ。

限られたベトナム人コミュニティの中で良い給料の求人などは限られていて、だいたいみんな独立して自分の店を持つことを夢に暮らしているらしい。

うーん、なんかよくわからない独特の価値観だ。

そんなの気にせずにシドニーもすぐそこなんだし、家出てシェアハウス暮らしでもして、好きな仕事して金稼いで自由に生きればいいじゃん、なんて思ったんだけれど、

英語もろくにしゃべれないままベトナム戦争時に移民としてやってきたかれらの両親、もしくはおじいちゃんおばあちゃんが大切にしてきた民族のアイデンティティを冒涜するような気もして、

その場はなにも言えなかった。

ただ、お店への貢献度が低いおれの方がたくさん給料をもらっていることに対する、本来感じる必要のない罪悪感みたいなものが、ねっとりとへばりついて、なんかいたたまれない気持ちになったのを覚えている。

なぜローカルの彼らよりもワーホリの俺の方が給料が良かったのか?

後で聞いてみると、ジャパニーズバーベキューの店なのに日本人がいないというのはメンツが立たない、

という理由で、日本人枠として採用されたのが俺だったみたいで、

あんな僻地の町に来る日本人なんて皆無だったので、給料をほかの人より高く設定して募集していたらしい。

そりゃ日本人だからって英語もしゃべれないくせに金もらいやがって…って気持ちにもなるよな。

まぁとにかく、そんな特殊な環境の中で身をもって体感したオーストラリアの光と影が、

記憶に鮮明に残っているわけです。

みんな元気なんだろうか

以上、なんか思い出したオーストラリア・キャンリーベールでのバイト生活の経験でした。

そういえばこの間例のケビンと付き合ってた女の子・カヤナからインスタグラムを通して連絡が来た。

今度友達と日本に旅行行くかもしれないから、もし会えたらみんなで食事しようって。

あれからケビンとどうなったの?あのバイトはまだやってんの?てかキャンリーベールは変わった?

いろいろ聞きたい話があるなぁ。

嫌なヤツだと思ってた胸ぐらつかんできてた中国人リーダーも、たまにシドニーまで車で送ってくれてたり、仕事辞めた後偶然市内であって飯連れてってくれたり、なんだかんだいい奴だったし。

みんな元気してるのだろうか?

世界中に置いてきた思い出を、たまにこうしてひっくり返してみたりする。

いつか忘れてしまわないように、こうしてブログに書き残しておくのだ。



そんなところです。



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