『バンドマンだった。』収録曲の歌詞と一言コメントの話。
2021年4月17日販売開始の僕の6枚目のデモ音源アルバム、
『バンドマンだった。』
歌詞カード代わりの記事です。
各曲の歌詞と、作曲時に考えていたことや伝えたかった事、
関連するよくわからん昔話をコメントとして載せておきます。
良かったら読んでね。
全曲、作詞作曲はガモウユウキです。
もくじ
①『青春衛星』
『青春衛星』歌詞
海岸線を歩く。
ガラクタのまんま配線コード引きずったまま、
海岸線を歩く。
今にも電池切れちまいそう。
海岸線を歩く、
潮風当たって感知機器もバグらしたまま、
海岸線を歩く。
モノクロのままどこまでも行こう。
あぁ、ドクタージェイ!
おれはここにいるのに、いない事にされた帰り道。
消して、全神経。そう願ったのに、
『言葉にならない事ばかり!』
衛星を追いかけて、
色を消していく教室の窓から
空ばかり見ていたんだ。
ただ一人。
海岸線を歩く。
夢希望なんてググってコピペして語っていた、
海岸線を歩く。
今にも溢れ出て壊れそう。
なぁ、ドクタージェイ?
聞けよ?人造人間俺たち、
正しい形してもまだ苦しい。
たまに思い出すよ、なんか優しい、
『言葉にならないこの気持ち!』
平静、装いかけて、
突き刺さっていた教科書の、
正しさのアンテナ、引き抜いていけ。
歪ませてけ、青春。
衛星を追いかけて、
色を消していく教室の窓から
空ばかり見ていたんだ。
ただ一人。
全神経に告げ、『今を歌え!』
コメント
最初のギターリフを思いついてから発展させ、僕には珍しくギターの進行から作り上げた曲。進行に沿ってじゃかじゃかとアコギを鳴らしていると、『真っ青な昼下がりの空、ポツンと薄い月が浮かんでる。』映像が浮かんできた。そのイメージの中で、僕は高校生で、教室では眠りを誘うBGMのような古典の先生の朗読が続いていて、肩肘ついて窓の外を見ていた。人造人間製造所のようなシステムの中で、とにかくここじゃないどこかへ行かなきゃならない、そんな焦燥感に支配されていたあの頃。そんなイメージと重なって、一気に歌詞を書き上げた。ミュージックビデオも、そのイメージに近づくよう淡い青色の世界で作ってみた。『青春衛星』というタイトル、個人的に文字の並びが綺麗で気に入っている。
②『ガンダーラ』
『ガンダーラ』歌詞
待つだけだったな。
真昼間 、意味を探しては
ガンダーラ、またすり抜けて逃げる。
エンドロール、君のまっすぐな声を聞かせてよ?
三万回目の心臓の音が。
安全圏からの真っ白な正論の投石を続けて
ほくそ笑んでる一般人の集い。
炎天下、ほら、笑っちゃうようなズタボロな心で
まだ、ガンダーラ
呆れるほどに遠い。
異国の街の路地裏見上げた
怖いくらい青い空の下。
気付いたんだ。何も変えられずに
ただかき鳴らした日々の事。
素晴らしい世界だなって
泣きながら朝が来る。
待つだけだったな。
安心のバスを探しては、三軒茶屋、また断言を避ける。
全身全霊で真っ当な人生観
正体不明な罪悪感はなんなんだ?
アンセムを鳴らしてくれ。
言いたいことを言えなくなるのが
持てはやされるのは飽き飽きだ。
気付いたんだ。何も変えられずに
ただかき鳴らした日々の事。
独り言ですまして、何もないフリをした。
咲き誇った、絶望に満たされた、
ニヒルな笑みでバスは進む。
『素晴らしき世界だな』って
相も変わらずに叫ぶよ。
待つだけだったな。
真昼間、意味を探しては
ガンダーラ、またすり抜けて逃げる。
コメント
ガンダーラとは、2000年前に現在のパキスタン北部に存在したという王国の名前。ゴダイゴの同題のヒット曲では、『理想郷』として表現されている。痛みも苦しみもないとされるユートピア。当時のガンダーラが、実際にそんな場所であったのかはさておき。きっとそんな完璧な世界はいつだって、掴もうとしても、するりと指先からすり抜けて逃げていくものだ。ずっと前の作品、『Where is utopia?』という曲でも歌ったけれど、僕は楽園に音楽は必要ないと思っている。絶望に満たされた世界の中でこそ、人は音楽に救いを求めるのだと思っている。だから、この曲で歌いたいのは理想郷の事ではない。太陽のように人々を魅了するユートピアがあるからこそ生まれる影、希望の対比としての絶望を表したかった。その醜い影の形が、誰かかの希望になると微かに信じて。
③『バンドマンだった。』
『バンドマンだった。』歌詞
ギターを辞めた友達も、鼻歌さえも歌わなくなった
あのボーカルも娘が今度小学校にあがるらしい。
『大好きなことやれていいねw』って
本当はイタイなって思ってるんでしょう?
もうなんだっていいよ。 俺にはこれしかないから。
バンドマンだった。俺は。
バンドマンだった。俺ら。
バンドマンだったあの頃。
生活の半分ロックだった。
残り半分は君だった。
俺ら、バンドマンだったんだ。
SNSでつながってたって たまに『元気?』って
聞けるくらいの 仲にすらなれなかった。だらしない青い春だ。
『あの頃は良かった』って悟ったような
クソみたいな笑顔でこっちみんなよ。
引かれるくらいが俺らのロックだったろ?
バンドマンだった。俺は。
バンドマンだった。俺ら。
バンドマンだったあの頃。
生活の半分ロックだった。
残り半分は君だった。
俺ら、バンドマンだったんだ。
まだハウってるマーシャルのインプットジャック、
ブサイクな泣き顔の卒業ライブ。
まだハウってるマーシャルのインプットジャック 、
ライクじゃなく「あの春みたいだね」って笑ってくれ。
絶対ハマるからって渡されたバンド漫画は
頑張った分だけ報われるサクセスストーリー、キモくて受け付けなかった。
そんな夢や希望はいらなかった。
だから『俺これしかなかった』って語った。
あいつと空にしたブラックニッカも。
バンドマンだった。俺は。
バンドマンだった。俺ら。
バンドマンだったあの頃。
生活の半分ロックだった。
残り半分は君だった。
俺ら、バンドマンだったんだ。
まだハウってるマーシャルのインプットジャック 、
ブサイクな泣き顔の卒業ライブ。
まだハウってるマーシャルのインプットジャック、
早く、なぁ、
早く抜けよ?
コメント
あれだけ大好きでこの世の全てみたいだった事さえも、10年経てば、『あの頃は良かったね』なんて余裕こいて懐かしさに浸れるのが、嫌で嫌で仕方がなかった。きっと今の方が、あの頃に負けないくらいすごいモノ作っている自信はあるし、今の自分の方がずっと貪欲に音楽をやっているんだって、今を必死に生きているんだって、胸張って言えるはずなんだ。それなのに、最後の最後、この音楽を届けたい人を思う時に、いつだって思い浮かぶのは、大学時代のバンドメンバーのあいつらなのが悔しい。無理やりにでも轟かせて、振り向かせたい。その、随分と大人じみた後ろ姿を。あの春を超えるようなインパクトを、見せたい。そんな痛々しいかまってちゃんな感情から、『羞恥心』や『身の程』なんて自制心をそぎ落として尖らせ、突き立てたような楽曲。まじキモいよね。ヒくよね。でも、これくらいしなきゃ届かない気がしている。
④『ヴァーナブルハッピーエンド』
『ヴァーナブルハッピーエンド』歌詞
夢、希望。色白なあの子がいた昨日。
くすむ色、おもちゃのウエポンを握り僕ら戦った。
暖かかった。春の日差しが鉛色の血液に溶ける頃、
散った桜の花が泥に赤く、脆く、染み込んだ。
一回きりだったよな。
まじでほんと早かったよな。
インスタのタイムラインはみんなの桜の花でいっぱいだった。
きっとね、それは焦りそのものでも、自己陶酔でも無いと思う。
いとも簡単に捨ててしまえる、人のそれを恐れる絶望感だ。
見たいものは見るし、
言いたいことは直接目を見て言ってくれたらいいし、
言える勇気を持てたらいいし。
春に消えてった色白な君の鼻歌、
メロディはもう忘れちまったからこんな歌を作るよ。
一回きりだったよな。
まじでほんと、一瞬だったな。
インスタのタイムラインはみんなの桜の花でいっぱいだった。
きっとね、それは焦りそのものでも、自己陶酔でも無いと思う。
いとも簡単に捨ててしまえる、人のそれを恐れる絶望感だ。
抱きしめて生きれば、
なんかさ、散りゆく花びらみたいだった。
無責任な価値観の押し付けに疲れてその身を投げた、
春雨にあてられた、くしゃくしゃの輪郭が、
なんか綺麗だったなぁ。
錯乱したまま、もがく明日。
さくら、ねぇ?また明日、ねぇ?
その葛藤を愛でる現象に眩暈し、
夜が襲来し、来週の追試がヤバイし、
生きる意味も見つけらんないし。
『ペテルギウスかな?この季節だったかな?』
なんて話をして帰ろう?
もう冷えた缶コーヒーの黒、
飲み込んだ違和感の現在地。
泥にまみれた花びら、二人乗りで自転車。
泥にまみれた花びら、深緑の未来が。
コメント
大学時代一緒のバンドをやっていた後輩が、ずっと小説を書いている。彼はとてつもなく不器用で人間不信で、時折暴走する自身の精神をコントロールできずに地の果てまで落ち込んでは音信不通になったりと結構ヤバいやつなんだけれど。そんな誰の目にも触れない、自分だけの閉じた世界の中で書き上げる小説は、まるで音のない深海の底のようにどこにも光がなくて、絶望的で、しかし完全に沈み切った視点から見つめる世界はひどく穏やかで、どこか落ち着くような、不思議な雰囲気がある。いつものように感想を聞かせてほしいと渡された原稿。タイトルは、『ヴァーナブル・ハッピーエンド』。ヴァーナブルは『脆弱な』という意味らしい。幸せの絶頂を永遠に保存しておこうとした少女のお話だった。まるで、桜みたいだなって、思った。今年も、満開の桜ばかりでタイムラインは満たされる。そのあとの、深緑の未来の事なんて、誰も興味が無いように。
⑤『Yesterday』
『Yesterday』歌詞
Yesterday, I was singing alone.
君に恋い焦がれている。ねぇ、
ロックンロール笑って。それでいいんだって言って。
と問う。青い…
カフェオレを買って
コインランドリーを待ってる。
カランコロンと鳴って
確実に乾いていく涙も。
お下がりの自分らしさも。
Yesterday, I was singing alone.
君に恋い焦がれている。ねぇ、
ロックンロール笑って。それでいいんだって言ってよ。
ねぇ?
You never say, “music have to be yellow."
君は痛みに似ている。
孤独のそばで笑って。間違ってないって歌ってよ、ねぇ?
青い時代。
コメント
サビのメロディがずっと昔から、子供のころから、ふと頭の中で流れる時があった。そろそろ形にしておかなきゃなぁ、なんて思って、自分の中の『音楽』に向けて作った歌。僕の信じる音楽はいつも、『孤独のままで間違っていない。』って、歌ってくれる。いつでも痛みに寄り添ってくれる。『それでいいんだ。』って言ってくれる。そんな、自分の中のエゴにまみれた、ある意味宗教染みた存在、『音楽』に対して歌っている。きっとラブレターみたいなものだ。そんな曲。
⑥『サタデーダイブ鷲羽山』
『サタデーダイブ鷲羽山』歌詞
妙にミッドナイト、悪くはない。
生ぬるい風を浴びてドライブ。
キラーチューンであの日へとDive。
らしくない話は無しにして。
真っ暗な海岸でサテライト。
アンコールもまだ聞こえない。
おれ達のLive, Can you survive?
薄っぺらなプライド、アルコールで流し込んだ。
真っ暗な、アングラな夜。
マックシェイク2つドライブスルーして、
深夜0時の勘違い。
なんか一人じゃどうしようもない。
そんな夜ってたまにない?
赤いヘッドライト蹴とばして
乗り込んだ鷲羽山のスカイライン。
工場夜景が想像以上。
明日もきっと、抵抗したい。
明日はきっと、Take offしたい。
それも全部、天候次第。
またもタイミングを失い、
ずっと友達と思っていた
あいつもそっといなくなった。
儚かった時代はもう、
ハイウェイの帰り道のごとく。
明け方、寝静まった後部座席のやつらには
内緒の話をした。
君の横顔、壊れそうにキレイだった。
妙にミッドナイト、悪くはない。
生ぬるい風を浴びてドライブ。
キラーチューンであの日へとDive。
らしくない話は無しにして。
真っ暗な海岸でサテライト。
アンコールもまだ聞こえない。
おれ達のLive, Can you survive?
薄っぺらなプライド、アルコールで流し込んだ。
まぁ今、こっちはまだまだだけど
まぁうまくやるよ。
一向に更新されないおまえのブログも見ているよ。
独り言のフリして投げかける日々の事。
あれホント、イタかったよな。
笑いすぎて、泣いたよ。
笑え、ダライラマ、マサイマラ
まだ今は言えないまま。
お互い様なんだな。
アップテンポなクシャミで誤魔化しとくよ。
あわよくば悲しみや痛みのその先へ
『今ちょっと近くなんだけど、軽くどうかな?』
妙にミッドナイト、悪くはない。
生ぬるい風を浴びてドライブ。
キラーチューンであの日へとDive。
らしくない話は無しにして。
真っ暗な海岸でサテライト。
アンコールもまだ聞こえない。
おれ達のLive, Can you survive?
薄っぺらなプライド、アルコールで流し込んだ。
急ぐ必要はない。Cause, it’s Saturday night.
終わらない答えを探すのは止めないか?
Cause, it’s Saturday night. Let me live.
もう急ぐ必要はない。Cause, it’s Saturday night.
終わらない。
もう勘違いのままだっていい。
Cause, it’s Saturday night. Let me live.
コメント
たまにはビートに韻を踏んで揺れていたい!みたいな突発的な創作意欲に掻き立てられて、『メロウなビートの作り方』とかYoutubeで調べて勉強して、作ってみた曲。全く新しい雰囲気の曲に仕上がったが、普段歌えないようなクサいセリフも吐けて、作っていて楽しかった。岡山で暮らしていたころ、鷲羽山に友達と深夜ドライブした時の思い出や、県外でのライブ終わり深夜高速を飛ばした帰り道の事。後部座席のみんなが寝静まった車内で、明け方、『やっとここまで帰ってきた!』とか言いながら、運転席のあいつと二人で語った音楽の話とか。そんな事を歌っている。『笑え、ダライラマ、マサイマラ。まだ今は言えないまま。』って言う韻の乱れ撃ち、個人的にシュールで気に入っている。
⑦『夕立』
『夕立』歌詞
雨上がりの赤い夕焼けが綺麗で
おれはなぜか零れそうで歌ったのだ。
蒸れた風を突き放して走ったのは
雷鳴去って夕立上がりの線路。
踏切は今にも降りそうだ。
そんなもんどうなってもいいんだ。
踏切は今にも降りそうだ。
全部諦めてるんだ。
雨粒は幹線道を打つ。
『ほんと?』って問いかける。うるせぇな。
踏切は今にも降りそうだ。
なんだ 、だからなんだってんだ。
イヤフォンに繋いだメロディ。
勘違いだ。分かっているんだ。
雨上がりの赤い夕焼けが綺麗で
おれはなぜか零れそうで歌ったのだ。
蒸れた風を突き放して走ったのは
雷鳴去って夕立上がりの線路。
痛いのは承知で意味ないのも知ってて、
でもビール飲んでキーンと宇宙に飛んだ後に、
『なんだそんなもんなの?』なんて誰かが言う。
うるせぇ。
踏切は今にも降りそうだ、
君の後ろ姿、滲んだ。
踏切は今にも降りそうだ、
一体なんなんだ。
君の髪の揺れるのが綺麗で
俺はなにも言えなくて黙ったのだ。
蒸れた風を突き放して走ったのは雷鳴、残響、そして
夕焼けが綺麗で 、
イヤフォン繋いだMDのメロディが
『限界なんてこんなんじゃない』と歌う。
雷鳴去って夕立上がりの線路。
コメント
昔、ばあちゃんの家に遊びに行った時に、雨上がりの線路(廃線になった、旧国鉄の線路だと聞いた気がする)を歩いた。その時の、線路を真っ赤に照らす夕陽があまりにも綺麗で、なんだか心がギュッとして、切なく感じていたことを、よく覚えている。いくつの時かも思い出せないくらい、小さな頃の記憶だ。もしかしたら、勝手に脳内で作り上げた妄想なんじゃないかってくらい不確かで不鮮明な映像なんだけれど、どこなのかも全くわからないその場所での思い出が、今も、ふとした時に脳内で再生されることがある。そういう美しい景色をずっと切り取っておきたくて、今走り出さなきゃもう間に合わないってくらいの焦燥感で、音楽を作ってみた。この曲は、そんな子供のころのノスタルジアと、今の自分の感じている焦りや不安感なんかを、重ね合わせて作った歌だ。ちなみに、MDプレイヤーで鳴ってた『限界なんてこんなんじゃない』ってメロディは『ハイブリット・レインボウ』って曲。何度も救われたThe pillowsってバンドの曲だ。
⑧『トーキョー・イズ・ユアーズ』
『トーキョー・イズ・ユアーズ』歌詞
新宿の香り、
肺いっぱいに吐き出して。
戸惑う心を、弱さを、必死に隠して。
すれ違う人の、その人生に夢を見て
もがきわめき、そのままでいい。
先へ行け。
むせ返る熱と排気ガスにあてられたら
意気込んで飛び出した。
ギターが重かったバスタ新宿を、
劣等感と焦燥感で歩き出せば
気付いたよ。
誰もお前の事なんて知りたくも無いさ。
『ぼちぼちやるか』って、その積み重ねで
堕落した日々が続くザマを叱って欲しかった。
新宿の香り、
肺いっぱいに吐き出して。
戸惑う心を、弱さを、必死に隠して。
すれ違う人の、その人生に夢を見て
もがきわめき、このままでいいんだろうか?
明日になったらなんか変わるか?って
他力本願でまくしたって
他人は他人。明日は来ない、明日は来ない。
必死なやつの汗や涙や喘ぐ声を笑うゴミだめ達の街で、
それでも俺は歌う。
『君はカッコ悪くなんか無いぜ?』
もう諦めたって、それもそれでいい。
本当に好きなモノなら一生、付きまとって離さない。
生き抜けろ。
新宿の香り、
肺いっぱいに吐き出して。
戸惑う心も孤独も全部抱えていく。
日々をあざ笑う大都会、ど真ん中で、
俺はここに、ここにいるんだと歌え。
コメント
数年前、ギターとスーツケース一個、そして現金8万円だけ持って乗り込んだ夜行バス。バスタ新宿(東京のメインのバスターミナル)に降り立ったのは、少し冷えてきた10月の早朝6時だった。ワンカップのビンと一緒に道端に転がっているじいさんと、何も見えないように足早に通り過ぎていく人達。誰もが、自分の生活以外に興味はなさそうで、革靴のサラリーマンたちはみんな、お互いを軽蔑し合っているかのように眉をひそめては、同じ方向に吸い込まれていく。世界中いろんな街を旅してきたけれど、こんなにたくさんの人がいるのに、こんなにも冷えた雰囲気の街を歩くのは、初めてだと思った。同時に、こんな冷凍都市のど真ん中で、こんな暑苦しい歌を大声で歌えたなら、どんなに気持ちいい事だろう、と思った。案の定、路上ライブをやってもほとんど立ち止まってはくれないんだけれど、冷たい視線もなんだか愛しいぜ、そんな風に感じた。『誰も君の事なんて気にしてないから。好きなように生きなよ。どうせ誰も興味ないからさ。』なんて言われているようだった。そんな無関心で無干渉な懐の深い街、東京を歌った歌。ちなみに曲名は、恵比寿のライブハウス近くの歩道橋に描いてあった落書きから取った。
⑨『30』
『30』歌詞
けったいな怪獣を吹き飛ばして
僕ら本当の声で歌おう。
何も怖くないだろ?
本当に好きなモノなら胸を張っていろ!
だって誰かによく見られるために生きるなんて
くだらないだろ?
なぁ、そうだろ?
28、29ぐらいで死んで伝説になって
あいつらを見返しているはずだった。
でも、気づけば30。
アイフォーンのパンクロック耳に刺して、
満員電車に揺られてる。
『批判ばっか下らない』って批判ばっかツイッターに書き込んで
大事なとこ抜けていく日々を、
年収や人脈やで無理やりに飾り付けごまかして
山手、渋谷新宿方面へ。
『みっともないからやめな?』って、
どいつもこいつも大人になったもんだ。
俺はどうすればいい?
けったいな怪獣を吹き飛ばして
僕ら本当の声で生きよう。
何も怖くないんだよ。
本当に好きなモノなら胸を張っていろ!
ずっと誰かに笑われないために生きるなんてもうやめなよ。
お前の人生だぜ?
焦燥感の日々を詰め込んだ花束を君に送ろう。
必死になれないヤツらがなんか言ってるぜ、気にするな。
愛想笑いの張り付く冷凍都市のど真ん中で、
君一人に届けばいいのです。
一体なんだって言うんだ
あっという間なんだ!
いつか死んじまうんだ。
今を生きなきゃな。
勘違いのままでいけよ!
けったいな、真っ当な観念を吹き飛ばして
僕ら本当の夢を語ろう。
何も怖くないんだよ。
本当に好きなモノなら胸を張っていろ!
ずっと誰かに笑われないために生きるなんてもうやめなよ。
お前の人生だぜ?
28、29、30。
どこまでいっても俺は俺。
コメント
30歳になった時に作った曲。音楽がずっと好きで、自己表現のツールとして、熱中できる趣味として、10年以上作り続けてきたけれど、それら作品を『200回再生って少なっ!やる意味ないじゃんww』と笑われたことがあった。もちろん悔しかった。自分の中で築き上げてきた心の中の王国が、怪獣に壊され蹂躙されるような気持だった。でも、数字は絶対だ。確かに僕は人気なんてない、売れないミュージシャンだ。でも、好きを追求していくうえで、本当はそんな、雑音は気にしなくていいと思った。本当に好きなものだから、胸を張りたい。『もう30歳だから』とか、そんなこと言い訳にしたくはなかった。笑われても、馬鹿にされても、自分の人生の楽しみ方は自分で選びたい。そう思った。しかし、それを言葉にして反論したかったけれど、うまく言えずに押し黙ってしまった。そんな自分が悔しかった。だから歌にした。口下手で撃たれ弱い自分の、お守りみたいな、決意の歌。
⑩『シンガー』
『シンガー』歌詞
勘違いだった!
いかにもなって顔してるあいつだって、
空っぽなんだ。あって無い様な日々をかき混ぜ歌え。
自分次第だった!
ちょっと変わってるねってハブられたって、
真っ黒なあの日のアザも武器に変えて生きてやる!
時折ノックの音が鳴り、
大人になったら分かるよね?って
憂い帯びた音でギター鳴らせ!
勘違いだった!
おいらはサルバドール・ダリでは無かった!
腐乱死体みたいな心でまだプカプカ浮かんでいる。
空が綺麗だった!
泣いてるように笑った青が綺麗だった。
ランドセルに宇宙を詰め込み、心は閉ざした。
一人ぼっちだった。
眠ってるフリで黙っている方が良かった。
綺麗事並べて笑った日
おれは死んでしまった。
しゃがれたロックの音が鳴り、
神様もっと生きやすくしてくれと尋ねたが
『それがお前だ!』と君は笑う。
クソみたいな世界を転がしても
夢見たいな!
今更ながら ガラガラの声だけど
歌を歌うよ。期待外れかな?
知るかよボケ!
ルララ、ルララ。
コメント
ガキだったころ。いじめられっ子にランドセルを川に落とされた日、一人ボタボタと、どぶ臭い水滴を垂らしながら歩いた通学路。ふと空を見上げたら、馬鹿みたいに能天気な青空だったのを覚えている。『こっちの気も知らないで。』とイラつくんだけれど、にらみつけたその空の向こうから、神様が、情けないおれの姿を見て笑っていた気がした。『そのどうしようもなく弱虫なところがお前なんだよ。そのままで行けや。』、とか何とか言って。このころから、なんとなーく、うすぼんやり、僕は神様という存在を信じるようになった。信じると言っても、彼は、窮地に立った僕を助けてくれるような万能な存在では、なかった。いじめられていたころは、毎晩寝る前に、神様に祈っていた。『明日はいい日になりますように。あいつに目を付けられませんように。』なんて。しかし、それで翌日がいい日になることもあれば、いつも以上に馬鹿にされ、殴られることもあった。そんな日は思う。『全然ダメダメだ。僕の神様は、全くをもって僕の救いになっていない。』…でも、それでも側にいてほしかった。親にも先生にも打ち明けられなかったあの頃の僕にとって、神様とは、ただ本音で対話できる唯一の存在だった。『もっと生きやすくしてくれ。』と懇願しても、『いや無理っしょ。これがお前だもん。ww』と突き放してくるような、最低な奴だったけれど。それでも、いつでも呼べば現れてくれて、気が済むまで一緒にいてくれた。大人になって、神様と対話したりはしなくなった。『あの頃は神様なんか信じて、厨二だったな~。』なんて、今はちゃんと正気に、大人に、なれた。それでもたまに、自分の深層心理、もう一人の自分と、話をしたくなる。そのもう一人の自分の事を、僕はロックンロールと呼んでいる。彼との対話、『歌う』という行為は、すなわち祈りのようなものなのかもしれない。いまも時々、不安に押しつぶされそうなとき。歌って歌って、作って作って。そうやって生きている。彼は相変わらず、『それがお前だよww』なんて、鼻で笑ってくれる。
⑪『ジャズコーラスを揺らして』
『ジャズコーラスを揺らして』歌詞
ジャズコーラスを揺らしていくんだ。
君の未来も
僕の未来も
開け放して、ゲインを上げて
カポタストを2フレに付けて
なんでもない歌を歌う。
京浜東北線はどこまでも続いていくぜ?
孤独の日々、誇らしげに
Aフラットのストロークで始まるんだ。
ジャズコーラスを揺らしていくんだ。
コメント
スタジオに入ってジャズコーラス(ギターアンプ)に腰かけて。適当にアコースティックギターを鳴らして歌っていたら、3分くらいで出来上がった曲。出来た瞬間に、『この曲は次のアルバムの最後の曲にしよう。』って決めていた。大好きなandymoriが1stアルバムのラストの曲に『すごい速さ』っていうすごい速さで終わる曲を持ってきてた。余韻を残さない潔さが超ロックだわ。と震えてから、自分も最終曲はこういう曲にしようって決めてた。ちょっと違うか?まぁ、いいか。とにかく、『京浜東北線』の響きって、なんであんなにロックと相性いいんだろう。
以上。
『バンドマンだった。』全曲歌詞と一言コメントでした。
一言コメントとか言っときながら、めちゃくちゃ長い文章だな…。
昔から、音楽にもブログにも、言葉を詰め込み過ぎる癖があって、
『もっと言葉を絞らないと、伝えたいことも伝わらないよ。』
なんてよく、ライブハウスのスタッフさんに注意されたりするんだけれど。
いやぁ、でも、全部言いたいんです。伝えたいことを全部、伝えられないと、自分の表現じゃない気がして。マジ、がめついなぁ。ごめんなさい。
とにかく、長々とここまで読んでくれた方がもしいるなら、本当にうれしいです。
長ったらしい文面ついでに、このアルバムを作ろうと思った理由についても、書いておきたい。
きっかけは、『バンドマンだった』って曲をYoutubeにアップした後に受け取った、一通のLINEでした。
相手は、現在もHAIR MONEY KIDSというバンドで活動している大学時代のバンド仲間、モトキングさん。
『たくさん曲作ってるみたいやけど、CDは無いの?もしあるなら、知り合いのレコード屋に置いてもらえないか聞いてみるで!』
と話をくれたのだ。
これまで自分の中での作曲活動は、Youtubeにアップして完結、という感覚だったけれど。
確かに、CDがあれば聴いてもらえる人の幅も広がるだろうし、
ここ数年分のまとめって意味でも、一回形にしておくのも悪くないな。
そんな事を思って、試しに曲のセレクトやジャケットのデザインなど考え出せば、
ワクワクしてきて止まらなくなってきて…
そんな経緯で、このアルバムは完成しました。
結局全国流通の話は先方のお眼鏡にかなわず実現しなかったが、自分の中で区切りとなる作品を作る事が出来た。
そのきっかけを与えてくれたモトキングさんに、ウルトラローリングサンクスを送りたい。(マジ感謝って意味。)
このアルバムの音楽は一曲一曲、その時々の自分の、どうしようもない葛藤や耐えられないストレスを吐き出すために作られています。
自分が救われたいが為に作った歌で、誰かを救えるとは到底思えないけれど、
どっかの世界の隅の隅で、同じような境遇の誰かの心を僅かにでも揺らすことが出来たなら、
CDにしたかいがあるな~と、思います。
そして、最後に、このCDを購入してくれた方へ。本当にありがとうございます。
これからも、こんな感じでマイペースに進めていく僕の音楽活動を、
どうか気軽に、見守っていただけたらと、思います。
そんなところです。
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