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【エイラット/イスラエル】ドキドキのイスラエル初路上ライブで、おれ生きてる話

2020年2月21日

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今日の旅の一曲!andymoriの “愛してやまない音楽を"!
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終了

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………………..

無事イスラエル入国を果たしたおれ!

しかしまさかの休日で国境付近の両替商は全てクローズしていた!

否、もともと金欠のおれ。

出来れば手持ちのアメリカドル6万円分は、なんかあった時の緊急帰国用チケットのために、もう手をつけたくない!

むしろこれはチャンスだ!もうこのまま両替せずに行けるとこまで行ってやろう!

と、ピンチをチャンスに変える男だとみんなに言われたいんだ!と強く心に誓い、国境を飛び出した!

国境付近はビーチになっていて、休日を過ごす家族連れがサングラスに浮き輪で賑わいあってる。

やべぇ!!開放的だ!!!

イスラム文化圏だったエジプトでは、女性は髪や肌を出すのは好ましくなかった。

海沿いの街でも女性が泳いでたり肌を見せてたりすることはまずなかったんだけれど、ボーダーを超えた直後すべてが変わった…!!

ビ、ビキニが!!髪が!!!と、と、トップレスの人も・・!!う、うそだろ・・!!?

違うのだ。

人でなしの読書のみなさんは、興奮したおれが一目散にビーチに駆け寄っていって全裸で歓喜の舞いを見せて入国30分で強制退国とか、そんな話を期待しただろうが、おれの心はなぜか晴れやかではなかった。

難しい。

「ほら、見なさい坊や」

とでも言わんばかりに胸を強調してセクシーにされたりすると、逆に、なんかこう、

「いや、僕はそういうの興味ないんで!」

と、なんか、拒絶反応が出るというか、逆に萎えるというか、つまるところはむっつりキモオタという言葉で片付けられるんかな。

なんか、ビビる!!

うむ。

新しい国に来るといつもそうなのたけれど、エジプト帰りてぇ、とか、早速思ってしまった。

ヤバいな、、いつも雄々しくて肉食系なワイルド系旅人で有名なおれのイメージ、壊したらいかんなぁとは思うんやけど・・

ダメなのだ、おれは、こういうめっちゃゴリゴリウェルカムウィークエンドで暴れまくっていいぜな雰囲気は、苦手なのだ・・

なんかこう、嫌!来ないで!とか言うてる子をこっそり追いかけたいというか、犬になってケーキのクリームつけた女の子の頬に飛びつきたいというか、うん、まとめると、清楚系女子大生がホイップクリームまみれで「来ないでっ!」って逃げてたら、おれは興奮するんやろな。

これ、"イマドキ女史のモテテクニック"に27歳男性の声として投稿せないかんわ。

やっぱり、女子の観点と男子の観点は違うからな。

教えてあげないかん。

え!みんな明日からやりだすんちゃう!?ホイップクリームがスーパーから消えて、社会現象にまで発展したらどうする!??

ひ、ひゃぁぁぁあ!!!!

などと、のちにモテテクニック講座の特集企画、"こんな行動はダメ男を呼ぶ" で掲載されることとなる意見を胸に、いざ勇んで!おれは道路に立った!!!

いつまでたってもエジプトを思い出して凹んでいても仕方ない!「へこんで」って漢字小学校ぶりに使ったなぁ、などと感心してる暇もないのだ!

ヒッチハイクだ!!

今のおれのイスラエル通貨の所持金は、あろうことか0円!!

この国境沿いのビーチから最寄りの街、エイラットまでは10キロほどある。
さっさと車をヒッチにハイクして、すぐ路上に立って、歌って稼いで!!!

でないとマジで今日飲まず食わず寝るとこなしという極限状態じゃ!!!

やってやる!!やってやるぞ!!!

おれは燃えていた!!

おれは昔から追い詰められたら追い詰められただけやる気になって燃える男、とかでは全然なく「もう無理です許してください、、」と泣き出す豆腐メンタルの持ち主なんだ!!

早く!!早く街いって順調にことを運ばないと不安になって、、うぐ!!ぼくちゃ、僕ちゃん泣いぢゃう・・う、うわぁぁ!!!

そんなで、

「大丈夫!ゆうきくんならきっとできるよ!元気出して!」

「そ、そうかなぁ・・」

「そうだよ!バンで騙されたエチオピアでだって、ケータイ盗られたエチオピアでだって、頑張ってこれたんだから!きっと大丈夫!」

「う、うん、おれ、がんばるっ!」

と一人二役で自分を励ましながら道路で腕を上げ、親指を立てるんだが・・

だれも

だれも

誰もトマラネェェェェ!!!

ええぇ??ヒッチハイクってこんなもんなん?

ほんまに30分、一時間と、だっれも止まらんの!!

エジプトやエチオピアでやった時は、ほんと5分やそこらで捕まえられてたのに!

アフリカじゃヒッチハイクでもお金払うという文化やったから、ドライバーもそれ目当てで止まってたんかな?

まじで、入国そうそうビーチじゃアゲアゲパーリナイやし、誰も止まってくれんし、うぐっ!エジ、エジプト帰りたい・・!!

そして、あづい・・

雲ひとつないグレートオーシャンブルースカイからは燦々と強烈な太陽光が降り注ぎ、経度はそんな変わらんのに風があったエジプトのダハブの倍ぐらい暑い・・

立ってるのがやっと、という感じだ・・

まじかよ・・溶けちまう・・まじで倒れる・・最後に・・最後に、

「"経度"は縦の線だから、気温差は関係しないよ!それを言うなら"緯度"でしょ?」

という博識な読者の方からのお便りに返事くらい、したかっ・・

た・・。

ブルルン!!

と、止まった!!!!??????

一台の赤いマツダがおれの前に止まった!!

「エ、エイラット行きますか!!!??」

「行くわよ!!カムイン!!」

イェェェ!!ついにヒッチハイク成功!!し、しかも女の子二人組じゃねぇか!!!!!やべぇ車内の空気全部吸ってやる!!!すぅぅぅぅぅぅ!!!

「私たちはエルサレムの近くの田舎町出身で、今日はバカンスできてたのよ。」

「そう、すぅぅぅぅぅぅ!!!ですか、すぅぅぅぅぅぅ!!!」

「なにかしら・・私、高山病みたいに頭がくらくら・・あ、ついたわよ!」

「すぅぅぅぅぅぅ!!!っは!!早い!!ありがとう!!!あの、これ僕のFACEBO….

「ハバグッドステイ~!!(キラキラスマイル)バタン!」

ありがたい!!さっきエジプト帰りたいとか言うてたけど、さっそくイスラエル好きになりそう!(単純なのだ)

そんなで、車でわずか15分くらいで到着したエイラット!!



な、なんて綺麗な街なんだ!!!!

ゴミひとつ落ちていない通り、ピカピカのショッピングモール、青く輝く芝生、ショーパンにサングラスのリラックススタイルの白人たち・・!!

やばいな。

一ヶ月前、アフリカのようわからん民族たちとの暮らしからエジプトにはいった時、街の綺麗さにぶったまげたが。また、ランクが上がったわ。ほんまにほんま先進国。

うむ、イスラエル、紛争と砂漠のイメージしかなかったけど、ほんま先進国。

驚いたことに町中ではどこにも無料のwifiが飛んでて、なんと水道水も飲めるというではないか!!ビーチ沿いの街であるので無料のシャワーもある!!!ひ、ひぇぇぇ!!!

なに?

これなに?

巨大な高級ホテルじゃねぇか!

こんなにあったかいなら夜もそんな冷えないだろうし、もうあれやな、宿泊まる必要性を感じん。

よし、今日は朝から移動で疲れたから、芝生に転がってゆっくりしよか・・

ぐるるる・・

は、腹減った・・

うむ。

逃げられない。

どういうわけか、まだ金曜だというのに町中の両替所は全てクローズしていた。

まじで後には引けないぜ。

稼がな食えないんだ。

やってやる…やってやるでぇぇぇ!!!

そんなことを自分に言い聞かせて奮い立たせて、おれは歩き出す!!

内心、やはり超怖い…

さっきからでかい銃もった兵士達が超うろうろしてるし、路上ライブとか絶体無理やロォォォ!!!

とか感じちゃうんだが、しかし、絶体絶命のおれ。

とりあえずやるしかない!やってだめなら今日の晩飯は水だけだ!と、ギターを持って、重たいバックパックを背負って街を突き進む。

大丈夫、なんとかするんだ!

路上ライブする場所を探す!

賑わってるあたりを辿って適当に歩くと、海に出た。

ビーチ沿いにバーやお土産物屋、奥にはオーシャンビューの高級ホテル街が見えてる!

ビーチ沿いの通りを突き進むと、橋があった。船が通る船道の水路にかかる木製の橋!

ホテル街と、お土産物屋を結ぶ場所になってて、人通りもなかなか悪くない!

よっしゃ!!やるで!やったる!!

とギターを置いたはいいが・・

ダメだ、やっぱコェェェェェ!!!!

えぇ!!?大丈夫か!?ほんま大丈夫か!?こんな平和そうに見えるけど、ここイスラエルぞ!?ついさっきまでパレスチナとロケット弾撃ち合ってた、イスラエルぞ!?

すぐ兵士がやって来て取り押さえられるんじゃ・・!!?

テロリストだ!とか言われたら・・

とかもう悪いイメージを持ち出したらもうキリがない…

そうなんだ!考えたって仕方ねぇよ!!やる前からグダグダ言ってんじゃねぇ!!

極限の緊張のなか、でも生きるためにって思ったら、自然とギターを取り出せた。

そうなんだ、今日食うために、歌うしかないんだ!甘ったれんな、おれ!

じゃらん!!

こんな葛藤も恐怖も全部、1音目のストロークでGコードを鳴らせば、全て吹っ飛んだ!

無心で歌った!午後5時の未だ強烈な太陽が、体温を上げ、テンションを加速させる!

…入った!!!

一曲歌い終えると、いくらの価値のものなのかわからんけど、10と書かれた金色のコインを二枚、買い物帰りのおばちゃんが入れてくれた!!

いける!!!

いけるぞ!!!!!!

1時間半ほど歌った!

心臓はまだ飛び出るくらいにバクついていやがる!!

知るか、やったぜ!!やってやったぜ!!!

ギターバックのなかには、38シュケルの硬貨が入ってた!ケータイでレートを調べてみる!1100円!!!やったぁぁ、食える!食ってけるぞ!!

一人でガッツポーズ!

嬉しくて嬉しくて、はじめて見るイスラエルのお金、入った硬貨をまじまじと眺めてみた。

金色の10と書かれた硬貨、たくさん入ったのだけれと、金貨なら価値も高いだろうと喜んでいたけれど、違った。

これは10アコロといって、1シュケルの10分の1の値段だった・・約3円ぐらい。

ということは、この小さな銀貨、1シュケルを集めないといけないのね。

おもしろいなぁ、オーストラリアじゃ金貨が入ると1ドルや2ドルなので、喜んでたけれど、こっちじゃ逆か!

とにかく、ここではじめて現金を手に入れたおれ、商店に直行!

朝エジプト出た時にパン食ってから、なにも食べられてないおれ。

なにか!なにか食わせろっっ!!!!!

しかし!!!!

エジプトで1000円分なんて持ってたら、商店まるまる買えるんちゃうかぐらい全部安かったんだ。

その感覚のままに商品を見てみて、きょ、驚愕!!!!

クロワッサン1個300円、コーラ一本200円、タバコ一箱、きゅ、900円!!!!!!!

ま、まじかよ・・正気か…!??日本より全然高いじゃねぇかよ…エジプトから、国境ひとつ越えただけなのに…

仕方なく150円のようわからん栄養ドリンクとお徳用の白パン300円を購入し、それにチョコを挟んでベンチでむさぼり食ったおれ。

ちくしょう、これじゃ生きていけん!

行ったる!二回戦行ったるぞ!!

早朝にエジプトを出て、車を乗り継ぎでたどりついて、疲れからか体が重い。正味立ってるだけで足が震えてたが、稼がないと!!稼がないとどうしようもない!

今夜は金曜日の夜だ!街を出歩く人も多いはず!!!

日が暮れた頃ふたたび飛び出したビーチ沿いの通りには、明るいうちには見られなかった他のバスカーの人たちもいた。

おお!なんだやっぱみんなやってんじゃねぇか!

普通にプレイしていい場所ってのが分かったので少し安心した分、さっきまでの橋の上にはすでにでっぷりとお腹の出たトランペットのおやじが、軽快なピアノサウンドの録音に合わせて、爆音で鳴らしてる・・

橋をわたり、高級ホテル街の通りへ。

この通りも、ホテルの一階部分が全部ブランド物のショップになってて、金持ちそうな人たちでわりと賑わってる!

角のスペースにギターを置いてみた・・けれど!

「ヘイにいちゃん!あんたここでギターやるのかい!?この通りはおれがやってんだ!100メートルは離れてくれよな!?今日は金曜日の夜なんだ!!」

と、焦った表情のアコーディオン弾きのおやじに追い払われてしまう。

いやいやこれでも、音混ざらんくらい十分距離とっとるやん!とか思いながらも、最初から地元の人達とトラブルになるのもいやなので大人しく移動・・

そんなで、隅に追いやられてたどり付いたレストランの横。

声が建物にはねかえってきて、たまらなく心地いい!心地よく歌えていると、過ぎ行く人達も、立ち止まってニコリと笑って硬貨を入れていってくれる。

右足で刻むタンバリン。重心の左足が今にも崩れ堕ちそうだ!もう適当にやっちゃおうかな、なんて一瞬よぎったりする。

だけれど、そんな小粋な笑顔で喜んでもらえたり、子供が不思議そうに足元のタンバリンを覗き込んだりすると、負けるか!と思う。

100パーセントでやるか、やめるかだ!

音楽で生きてやるんだ!なめてんじゃねぇぞ!

2時間くらい歌って、へたへたと倒れこんだ。

もう無理、と一人でつぶやいて、ギターをしまう。

へろへろで公園に移動して、寝袋を敷いて転がった。

ギターバックの中のコインを数える!

音楽、音楽!愛してやまない音楽を。

音楽は、ほんとにすごいんだ!

バッグの中には134シュケル、約4000円分のコインが入っていた……!!!

やった!!やってやったぜ!!

ほんの6時間前、おれは無一文だったんだ…!

それが、歌う、というおれのアクションをきっかけに、道行く人のうちの何人かがリズムをとって楽しんでくれて、そのうち何人かが、高揚感やエンターテイメントの代償として、コインを入れてくれる!

本当にありがたい!生かされてんだ!

おれには無理さ、きっと無理さ、と思ってた。

でも、そんなことなかった!

生きるためなら、この世界のだいたいのことはやれるんだよな。

胸がとくとくと高なる。

こんなに、生きてるなぁ、なんて感じられるのは久々だった。

全身は鉛のように重いけれど、悪くない。

やれるだけやってみよう!がむしゃらに生きてみよう。

必死なのはかっこ悪くねぇ。

興奮をさますように、冷たい夜風が海から吹き付けた。

そんなところです。

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