真夏の果実とミジンコとアメーバの話
タンザニア、ダルエスサラーム2日目!!
朝8時にもぞもぞ起きだして、今日もどっかで路上だ!!
とギターを抱えて宿を飛び出したおれ。
昨日暇だったのでグーグルマップでおれの進むべき道を検索したりしてたが、最近アップデートをしていないせいか見つけることはできず、代わりにこのダルエスサラームの北側にココビーチなるトロピカルな響きのビーチがある事を知った俺。
アフリカでまだ海見てねぇなと思った俺は、とりあえず目指してみる事を決めていたのだ。
もし観光客が多かったらインドのゴアみたいに路上も出来るかもしれん!
宿のレセプションのねぇちゃんに尋ねると、どうやらアフリカでよく走っているバスの代わり、"ダラダラ"という名前のなんともノロマそうな乗り合いバンで400シリング(20円)で行けるらしい。
ミニバンか、、、
地元民にはおなじみになっているアフリカでの主な公共交通機関ミニバン。
しかしこと観光客においては、少々危険な乗り物として有名で、乗ってみたら運転手も含め全員強盗で、素っ裸にされて捨てられる覆面パトカーならぬ強盗偽バンなる車がたまに走っているとかなんとか。
昨日のウガンダ人のにいちゃんもそれで一文無しになったと言っていた。
うるせぇやられたらやり返すまでだ!!かかってきやがれうぉぉぉ!!!!!
と気合十分に乗り込んだバンであったが、買い物帰りのおばさんや子供たちで賑わう車内は終始のほほんとしており、コナン君達が山奥のペンションに泊まりに行って普通に楽しんで帰ってきた回を見ているようであった。
だ、だれも死なねぇだと!???
そして揺られること15分、さらにバス停から歩くこと30マキロン、サボテン畑を越えると、そこに海はありました。
おおお!!!これがココビーチか!
インドのゴア以来の海だ!!!
うむ、特にこれといって取り立てて綺麗ではないが、思ったより水は透き通っていて、眺めれば眺めるほどに味がある。
あれだな。ブサ可愛い系の海だな。
ふいに、ショートカットにイメチェンした瞬間に恋に落ちる系の。
そういう海だわ。
んで恋が始まるとふいにサンゴ礁なんかでオシャレしちゃったりして、
「あれ?ココ、なんか今日雰囲気違くない??」
「わかるー?ゴア子、実はね、今日いつものテーブルサンゴにマンジュウイソギンチャク着けてみたの!ほら!」
「あ、だからだー!似合う似合う!なんか最近ココ可愛くなったよね!今、ユウキくんといい感じなんでしょ?」
「ちょ、ちょっとゴア子、ユウキ君とは、そんなのじゃないんだから!」
「とぼけちゃってー!打ち寄せる波の感覚、早くなってるぞっ。」
「も、もうっ!」
…..とか、友達同士で話すんやろな。
うんうん。
そんな一部始終を教室の外で聞いてそわそわしながらも、何事も聞いてないようにガラリと扉を開け入っていくおれ(役/生田斗真)
「おーい、今度、ザンジバルのビーチに新しい海の家できたってさ。今週末みんなで行こうよ。」
「あーごめん!私ちょっと今週は大潮だから忙しくってさ!でもココは暇だよっ!」
「ちょ、ちょっとゴア子…!!」
おれ「よし、な、なら二人で、行こうか!」
「う、うん….」
どこからか流れ着いた波打ち際のヤシの実が、ココの心の浜辺を行ったり来たりしていた。
ほんわほんわ
うん。
そんな高校時代を送ってみたかったなぁ涙
いったいおれの高校時代はなんだったんだ!!ベランダで下ネタ話してたことしか覚えてねぇ!!
そして、腹いせにひとしきり浜辺のカニの穴を石で塞いで一人で遊んだあと、特にやることもなくなって浜辺をふらふら歩いていると、おやじが話しかけてきた。
「ヘイヘイそこの生田斗真にはミジンコほども似てねぇチーナ!俺たち向こうの木陰で休んでるんだ!ちょっと寄っていけよ!」
「なんだと!妄想の中ぐらいモテキさせろ!そしてチーナじゃないジャパンだ!おうよ!こちとらカニの穴埋めで疲れてんだ!休ませろ!」
ノコノコとついて行った先では、おやじ達が無邪気に大きなゴムボートを広げて木陰で集まっていた。
ついてきたは良いものの、話しかけてきたおやじも周りのおやじもあまり英語は得意じゃないらしく、
フェアアユフロム?
と
ワロユアネーム?
だけ話したらとくに話すこともなくなって、お邪魔して20秒で空気の重さは8メガトンマカロン(アフリカゾウ10頭分)にたっした。
こういう場合、タンザニア人は全く気にしない。
沈黙は沈黙、自分たちは話したい時にだけ話すから別に気にすることはない、シーンパーイないさー!!といった感じである。
彼らの、そういうおおらかでライオンキングなところも好きなのだけれど、おれは世界一空気を読む人種日本人である。
重力に耐え切れず、ギターを取り出して歌った。
イェエイ、一気にみんな笑顔になったぞ!
それは、「なんだこいつ急に歌い出して」というキモがりの笑顔かもしれんが、歌を歌う時に一番大事なことは、そんな冷めた目で見られた時でも委縮せずに堂々と歌いきることだ。するとみんな楽しくなってきて楽しい雰囲気になるか、気付けばみんな用事があるからといなくなっているかのどちらかだ!
徐々におやじ達がリズムを刻み出し、踊り出す。
うん、なんか、言葉を発するより歌を歌ったほうが伝わる気がするんだ。
なんだか、音楽が、対人関係の圧力にやられそうな時の精神安定剤化している気さえする。
全国のコミュ症のみんなに伝えたい!
マウスを持つ手でピックを握り、キーボードを叩く手でgコードを抑えるんだ!
その単純な音階とエイトビートで、おれらなんにだってなれるんだ。
それは自己満に陥っているだけの超絶勘違い野郎かもしれんが、どうせ他人なんて大しておれのことなど気にしていないし、お前の現状が何であろうとおれは正味興味ないのだ。
自己満に、言いたいこと言って生きていけたら楽なのだ。
とか、自分にも言い聞かせるように、書いてみるのだ。
さて、すっかり仲良くなったおっちゃん達と熱い握手を交わし別れた後は、再びバス停のある幹線道路まで歩くんだけれど、
あっつい!!!!
暑すぎる!!!!!!
さすがほぼ赤道直下の国だぜ、降り注ぐ太陽はオーブントースターのように暑く、熱気を帯びたアスファルトはまるでオーブントースターのように暑いぜ…!!
これまで来たザンビアやジンバブエは、同じくかなり赤道に近い国だったけれど、結構標高が高かったので案外涼しく、
「あれ、アフリカって暑いイメージあったけど、案外そんなでもないなってえええ!!清原逮捕されたん!!??」
と気温のことはとくに気にしていなかったのだけれど、
さすが海沿いの町。
もうまんまである!
赤道直下そのまま!
あっつい!!!!
あっち!あっち!!!
もうこれ、アスファルトで焼きなす焼けるんちゃうか?
ポン酢かけたらうまいんちゃうか?
ちょっとお腹すいたな。
でもなす売ってないな。
あ、あそこのおばちゃんカゴにアボカド入れて売っとるわ!
アボカドも焼いたらおいしいかな。
なすに似とるもんな、多分いけるやろ?
などと考えながら朦朧としながら歩いていると、お!なんかいい感じのローカルレストラン発見!
勢いよくのれんをくぐる!!!
「ヘイヘイねぇちゃん冷やし中華!よう冷えたやつ出してやー!!!」
「あら、生田斗真とは月とアメーバほどの差のお客さんいらっしゃい、香川県民に出す冷やし中華は無いわ。伸びたマルヨシのパックうどんでも食べてなさい。」
「うぐ。もう生田斗真とか言わないから許じてぐださい。で、なにならあるの?」
そしてでてきたのがこちら。
牛肉たっぷりのトマト煮とご飯のセット、これにペプシ付けてたったの2ドル!!
びゃぁぁぁあウマィィィイ!!!!!
ヤバイ!!ちょっと郊外だけあってコスパ良すぎ!!これインドより安いんちゃう?しかも牛肉!ゴロゴロ入っとる!!もうゴッロゴロ!!牛一頭や二頭の話しちゃうでこれ!!うわぁあ牛さんごめんなサァォアイ!!
なんか、アフリカの料理ってあんまり食べる機会なかったっていうかまずまったくイメージ湧かんかったけど、すごーくうまいよ、アフリカ。
トマト煮ベースに肉!みたいなんが多いけど、めっちゃご飯に合う。
アフリカン牛丼みたいな感じ!?
この男メシ感がたまらん!でもなんかエスニックでオシャレやし!
晴れた休日にちょっと遅く目をさますと、奥さんは娘を連れてショッピングモールにお出掛け行ってて、机の上には「お昼ご飯は適当に食べてね!」のメモ。
そんな時に、よっしゃなんか作ろかな、ということでこだわりのオレ飯な感じで作りたいタイプのやつやな。
何時間もトマト煮込んで、ついに出来たーって頃に奥さんが子供連れて帰ってきて、
「ちゃんとご飯食べてるかなって思って心配で早く帰ってきちゃった、わ!すごい!おいしそう!」
「パパこれなに??おいしそう!」
「ああこれな。パパがアフリカ縦断してた時にタンザニアでよく食べてたビーフのトマト煮!うまそうだろ?よし、いっぱい作ったからみんなで食べようか!」
「わーい!!パパ大好きー、」
「あなた、一人で食べようとしてたのね~ずる~い!」
「そんなことないって!ちゃんとみんなのもあるから。よし!よそったぞ!では、いただきまーす!」
「いっただきまーす!」
……みたいなシチュエーションで、食べたいやつや。
きっとおいしいだろうな。。。うぐっ、うぐっ!
そしていつものように一人で愉快な妄想と現実のギャップにひどく落ち込みながら食事を終えた俺は、再びオーブントースターの道を進み、やっとこさバスに乗って家路に着いた。
時刻はまだ3時。
結局路上ライブできんかったから、今から場所探しに行くで!!!
そんなところです。
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