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入国後二時間でやられた!最恐都市ヨハネスブルグでサバンナに帰る話

2019年8月1日

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ヨハネスブルグに到着後、たった二時間であれこれあれこれあってATMからカードを盗まれた後、あれこれあれこれあって警察署に向かうこととなったおれ。

ガタイのいいスキンヘッドのアフリカンのおっちゃんのタクシーに乗せられて、ポリスステーションに向かうおれ。

ヨハネスブルグのタクシーは、変なのに当たると車内で脅されて有金全部持ってかれるなんて聞いてたからビビるおれ。

大丈夫なのかおれー!!!!???

おれはビクビクしながらタクシーに揺られていた。

空港からゲストハウスに向かう前にこんな目にあっているので、バックパックもギターも貴重品も、全財産全部手に持っている状態である。

こんな状態でもし、このおっちゃんも強盗で、大切な大切な現金やパスポートや蝉の抜け殻コレクションが盗まれるような事があれば、おれはもう無理だ。

飛行機も買えないから日本に帰れないだろう。

そしたらどうだ。
もう南アフリカ永住決定だ。。。

ううう。

最悪だ。もしそうなったら、もういっそ、広大なサバンナで、一人ゆっくり過ごそう。

朝、日の出とともに目を覚まして、ライオンたちと一緒にシマウマを狩り、日が暮れたら焚き火をかこんでその肉を焼きながら、ギターを弾こう。

ライオンキングの歌やライオンハートを歌えば、凶暴なライオンさんたちも気に入っておれを仲間に入れてくれるだろう。

君を守るため、そのために生まれてきたんだ。

そんな甘いメロディにうっとりきちゃった村一番のべっぴんメスライオンといつしか恋に落ち、新しい命を授かるんだ。

サバンナの大地に沈む大きな大きな太陽の、オレンジ色に照らされる二人。

無邪気にガゼルの骨を転がして遊ぶ息子ライオンを二人で見守りながら、話すんだ。

「ねぇ、私、いつかあなたとこの子と3人で、海が見てみたいの。海って、この草原よりももっともっと、大きいんでしょう?」

「あぁ、大きいよ。どんな象の大群よりも、バッファローの群れよりも、もっともっと、大きいよ。
ぼくが生まれた場所はカガワケンと言ってね。海の綺麗な街なんだ。ウドン、という美味しい食べ物だってある。それはそれは、シマウマの内臓にも負けないくらい、美味しいんだから。」

「まぁ素敵。そのカガワケンに、私も行ってみたいわ。」

「あぁ行けるさ。僕らならきっと行けるよ。
今、ペリカンの群れが近くの湖に滞在しているだろう。もうすぐ春が来て、彼らが東の空に大移動するときになったら、聞いてみようよ。その背中にぼくらも乗せてくれないかいってね。」

「ええ、素敵ね。きっとうまく行くわよ。きっと。」

「あぁ、きっとさ。」

真っ赤な空を駆け抜ける爽やかな風に吹かれて、ゆっくりと口づけを交わす二人。

あぁ。

それもまたありだな、このまま日本に帰って堅苦しい情報社会でがんじがらめになるのなら、それでもいいのかもしれない。

ほんわほんわ

…..たのか?」

「八ッ!!!」ビクンっ!!!!!

「カード、盗られたのか?」

おっちゃんがイメージ通り(ギャングのボス)のドスの効いた声で尋ねてくる。

「はい。おれ、今日到着したばっかりなんです、最悪っすよ。もう金ねぇっす。」

必死に金目のものはもうないアピールをするおれ。

「そうか。運が悪かったな。サントンってぇとここいらでも一番安全な場所なんだが。。いや、でもな。命があるんだ!どうって事ねぇよ!元気出せ!な!」

ガハハと豪快に笑い、いろいろ励ましてくれるおっちゃん。

ちょっとずつ緊張の糸がほどけてくる。

それから、おっちゃんはかれこれ20年タクシーの仕事をしている事、銃を突きつけられて強盗にあった事も何回もあるという事、南の居住区には俺たち黒人でもむやみに歩けないぜ、殺られちまった友達もいる、という話などを聞いた。

でも、そんな経験から言える事は、
「金なんて稼げばまた手に入るんだ、でも命は一個しかねぇ。
おまえはまだ命があるんだ。
生きてるだけラッキーだって、思ってたら楽だぜ。」

と。

「お前もギター弾くんだな。おれもギター好きなんだ。ボブマーリーを弾いてるよ。知ってるか?
don’t worry, be happy!!
ってな。ガッハッハ!」

なんか知らんけど、おっちゃんの懐のでかさに、泣きそうになる。

そっからタクシー強盗の話になった。
やっぱり空港周りには、観光客を騙そうとするタクシーがたくさんいて、「俺たちもいい迷惑してるんだ」、と言っていた。

「…..仕方ねぇからよ、、おれもタクシー強盗始めようかと思うんだよな。ガハハ!ようこそ最初のお客様!!」

なんて突然言われたらどうしよう、と青ざめながら聞いていたが、そんな事を話しているとしっかりポリスステーションに到着した。

このあとゲストハウスまで行くんだろ?この辺は郊外でタクシーも少ないからな。また迎えに来てやるよ、と名刺をくれるおっちゃん。

普通にいい人だった。

ありがとう。

そして警察署で、思ったより親身に事情を聞いてくれて、しかし、ATMの防犯カメラチェックなど調査は特に行わず、すぐにポリスレポートを貰った。

よくある事のようで、そんなのにいちいち調査してられないんだろう。

おれがいろいろ処理をしている間も、興奮した様子のヨーロピアンのカップルがバッグを泥棒にとられたの!と駆け込んできていた。

わかるよその気持ち。と抱き合いたかった。

レポートも無事もらったので(もらったからどうという話でもないが)、とりあえず予約していた宿に向かう。電話をするとすぐにさっきのおっちゃんが駆けつけてくれた。

宿はここサントンからさらに西へ抜けたランドバーグという住宅街。

おもったよりかなり遠かったんだけれど、300ランドに負けといてやるよ、とおっちゃん。

おれが宿の敷地にちゃんと入るまで、道端で車を止めて見守ってくれていた。

ありがとね。

予約していたのはビチェースバックパッカーズという、いわゆるドミトリースタイルの安宿だったんだけれど、大きな家を改築して宿泊施設を併設したような、自宅感溢れるスタイル。

オーナーのヨーロピアン南アフリカ人のおっちゃんイアンと、その息子たちが、よく来たね、と迎え入れてくれる。

これこれこんな事があったと話すと、親身にいろいろ気にかけてくれた。

クレジットカードがあるなら、ぼくがクレジット引き落としと引き換えに現金と替えてあげようか?

宿の支払いも、余裕ができてからでいいからね!

とにかく、今日到着したばかりでそんな事があって、お腹減ってるだろ?
ちょっと夕飯には早いけど、みんなでご飯にしようか。

そう言って、チキンラップをつくってくれて、子供達とそれを囲んで食べた。

君は今日の事を忘れる必要があるからね。と高そうな白ワインも開けてくれた。

朝5時ぐらいに飛行機で出た軽食以来、何も食べてなかったんだ。

泣けるくらいうまかった。

いつもなら、こんなフレンドリーに親切にされるとなんともどうすりゃいいのか分からんくなって窮屈になって、逃げ出したくなるタイプの親戚付き合い不適合者のおれなのだが、この時ばかりは、ずっとこの優しい雰囲気に浸っていたいと思った。

あぁ。本当にホームステイみたいだ。
家族って素晴らしいんだな。

グラスにワインを3杯ももらって、へらへらひとしきりわらって。

本当に怒涛のような1日だったけれど。

随分気持ちが落ち着いた。

カタール、ドーハぶりにwifiが繋がる。

あぁ。親にこの事を連絡しよう。
あ、でも日本はもう夜の12時か。
寝てるだろうな。
あぁでも誰かにこの事を聞いてもらいたいな。

なんてもんもんとしながらメッセージをチェックしてみると、インドのハンピで出会ったメンバーのメッセージグループを通して、今ヨーロッパにいるらしいしょうこさんたちからメッセージ。

アフリカはどう?心配してるよ。

と。

うううなんてタイミングがいいんだ!

実はこれこれで、と説明すると、みんな時差の関係で夜遅いだろうに、対策方法や、励ましの言葉をくれた。

グローバルプログラマー・ザック氏によると、どうやらウェスタンユニオンという会社を通して日本から送金ができるらしい。

おれは盗られたカードの銀行口座にほとんどの金が入っている状態、持っているクレジットカードはキャッシングができないタイプなので、
おれに残された選択肢は親に借りるという形で送金をしてもらい旅を続けるか、日本に帰るか。

その二択である。

親には頼りたくない(といっても迷惑かけっぱなしだけれど。)、と頑なに強がって旅を続けてきただけに、何十万円も借りてわざわざ送金してもらうなんて、と思った。

だけれど、メッセージグループのなかのお母さんバックパッカーひろ子さんの言葉。

「大変な時こそ、親は案外子供に頼ってもらいたいものよ。」

そんなもんなんかな。

アフリカの地で、人生で一番日本から離れて見て、初めて、家族ってなんなんだなんて、考える。

そうやって考えさせられるみんなからのメッセージ。
日本語の安心できる暖かさが、なんかうれしい。

相変わらずATMでカードをとられた時の、不用心な自分の馬鹿さ加減には嫌気がさすが、みんなの優しさに触れて、ちょっと、本当にちょっとだけれど、

「あぁ、アフリカにきて、こんな羽目になったけど、これで良かったんかな」

なんて、思わされた。
みんなありがとう。

とにかく、明日いろいろ処理をしよう。

これからの事も考えよう。

時差ぼけと疲れで一気に眠たくなったおれは、午後9時にはベッドに入った。

目を閉じると、やっぱりあの時の、カードを盗りやがったあの男のクソみたいな表情を思い出してしまって、眠いんだけれど、眠れない。

ぐるぐると、消化できない気持ちが渦巻く。

おれはどうする?

これからどうなる?

……

音楽でも聴こう。

suzumokuの、亡者の旅路という曲がイヤホンから流れる。

逃げ出しただけだろうと後ろの方で聴こえた声に

そんな事はないと低く細くつぶやき返す

変わり続けていたのは頬を撫でる風の行方

笑われてもこの足は、裏切ることなく土を蹴る。

ぼろぼろになりながらも、なんか、やっぱり、前に進みたいと思った。

そんな夜です。

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