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the pillows解散…こじらせ陰キャの青春ど真ん中だったピロウズの思い出をただただ語りたい話

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

アウイェェェェーーー!!ぼっちシンガーです。
20代で路上ライブ世界一周、30代は東京で音楽活動!
好きなことを好きなように鼻息荒く語るだけのブログだよ!

絶対なんて絶対ない。

そんな事いつだって理解していたはずなのに、おれ達はそれがずっと続くものだと錯覚して生きてしまう。

andymoriもtetoも解散したし、志村正彦もチバユウスケも死んじゃったかと思えば、

Syrup16gやナンバガが再結成したりもする。繰り返される諸行無常、This is 向井秀徳…

しかしそんな移り行く時代の中で、唯一変わらないものもあると思っていた。

ぶらぶら放浪の旅に出かけても、気が向いてふらっと帰ってきたら、いつでもなってるおなじみのミュージック。

おれにとってピロウズとは、なんかそういう実家みたいなバンドだった。

移ろいゆく音楽シーンの中でずっとブレずに、こびずに、ただそこにあって、「帰ってこい」とも「行かないで」とも言わずにひょうひょうとロックンロールを鳴らしてる。

たまに、社会に傷ついて心おられて逃げ帰ってきた出来損ないのカメレオンたちに、

「だからこそ君にはロックンロールがあるんだぜ」

って、いつだって歌ってくれてたんだっ!!!

そんなバンドが解散する。

いつもどっかで心のよりどころになっていた、あたりまえにあった帰る場所がなくなったような、

まるで実家が火事で全焼したみたいな喪失感。

おれ達の青春のど真ん中でいつも鳴ってたピロウズの音楽を、慌てて押し入れからひっくり返して掘り起こしてみては、ちょっと思い出に浸ってみたりするのだ。

BUMP好きはみんなピロウズまで掘ってロックンロールを知る。

「ピロウズは「イェーー!」じゃなくて「アウイェー!」って叫ぶんよ。」

たしか高校のころに陰キャ仲間にそんな話をされてfool on the planetを聴かされたのが出会いだったと思う。

初めて聴いたその時は、真新しさのないシンプルな楽曲に退屈さを感じて、「へ~こんなバンドもおるんか」程度に受け流していた記憶がある。

そのころはBUMPやRADなんかの当時ロキノン系って言われてたバンドが出始めたころで、その内向的でアンダーグラウンドな世界観に、俺も例外なくどっぷりハマっていた。

高校の頃に藤原基央の影響でギターを始めて、BUMPみたいな音楽をやりたくて大学でバンドを始めて、

大好きな藤君が大好きな音楽ってどんなんなんだ?って掘り下げて聴いていた時期があって。

その中でピロウズに再遭遇。

「あぁ、そういえば高校の頃のあいつがピロウズ好きだったな」

とか思って、TSUTAYAでFool on the planetを借りて聴いてみたんだ。

全体的に優しいグランジのミドルテンポな曲が多くて、多感でアンダーグラウンド気取りだったそのころのおれはやはり退屈に感じてたんだけれど、何回か聴いているうちに、ある曲が気になった。

マニュアルライフのアニマル
ナビゲートされてハッピー
カウンセラーのささやきはOK
レンタルのセンチメンタル
ストレスゼロならハッピー
頭のパイプカットならOK

Instant Music (インスタント ミュージック)
Song by The Pillows

当時、まだまだTVでもてはやされるアイドルや歌姫が音楽シーンの主流で、愛だの友情だの会いたくて震えるだの簡略なお涙頂戴ポップシーンに踊る陽キャどもを目の敵にしていたおれにとって、

これほどまでに痛快にこのもどかしさを表現してくれる曲はなかった!

そうだよ!!そうなんだよ!!

レンタルのセンチメンタルで鑑賞型感傷をたしなんでどいつもこいつも簡単そうに笑いやがって!みんな一体どんなシステムで感情をコントロールしてるんだ!

そうだったのか、あいつらはみんなマニュアルライフのアニマルだったんだ!くたばっちまえよ!!

などと、抑え込んでいたおれの心の中のモンスターが、この曲を聴いてるときだけはマリオカートでスター獲った時みたいに無敵になるのを感じた。

言えない、言ってはいけない危険な思想も孤独も気色悪い自己顕示欲もハリボテの自尊心も、音楽に乗せて叫べばこんなに軽やかになめらかにかっこよく叫べるのか…!!!

BUMPでバンドに出会ったおれは、ピロウズでロックンロールに出会ったんだ。


キミといるのが好きで、あとはほとんど嫌いで

それからのおれの大学時代は、事あるごとにピロウズだった。

「ピロウズ聴く?」

なんて友達に聞いても、大体「知らん。ダレ?」って反応が多かった。

当時ですでに20年以上続けていたバンドではあったが、ヒットチャートに躍り出るほどの人気曲は皆無、まずバンド好きじゃないとだれも知らなかった。

内向的で自意識過剰な歌詞と古臭いグランジは、あまりにも時代が望んだものではなかった。

だからこそ、良かった。

たまに「聴く!めちゃくちゃ好き」って人に出会うと、無条件で仲良くなれた。

大学の軽音楽部で、同じくピロウズの曲に救われたってやつに出会って、ピロウズのコピーパンドを組んだ。

すがすがしいほどに独りよがりで、協調性に欠けてて空気読めないポンコツで、そのくせプライドだけはあるから上手に社会性もたしなんでるような素振りだけで必死にごまかしてて、

大きな声でリアクションして作り笑いでしのごうにも、鏡に映ったその気色悪い張り付いた笑顔に嫌気がさして押し黙って、結局自暴自棄になっていつの間にか帰ってるような、そんなやつだった。

人間性カスカスな人間だ。まるでおれみたいだ。そんな風に思った。

ピロウズという共通点を通して眺めた時、そんな彼のことを痛いほどに理解できて、そして彼の中に存在するおれ自身のことを認められた気がした。

なるほど、こんなおれ達だからこそできる音楽があるんじゃないか?って、奮い立った。

彼がギターボーカル、おれがギター、同じくちょっと暗くてペースが合いそうなやつらをドラムとベースに誘って、いろんな曲をやった。

サードアイのギターリフ、入りのタイミングが何万回練習しても合わなくて、メンバー全員で発狂した。

My foot のギター同士の掛け合い、どっちかがミスったら罵りあって笑い合った。

そして、最後の卒業ライブでやった「ストレンジカメレオン」。

キミといるのが好きで 後はほとんど嫌いで
周りの色に馴染めない 出来損ないのカメレオン
優しい歌を唄いたい 拍手は一人分でいいのさ
それはキミのことだよ

ストレンジカメレオン
Song by The Pillows

まるでおれたちバンドのことを歌ってくれているように思えた。

どこにいても圧倒的異物感を感じながら不細工な色で悪目立ちしながら生きて来たおれたちが、

やっと見つけた自分らしい色でいられる場所。

あの最後のライブのステージは、そんな優しさが溢れていて、ギターソロを弾きながら今にも涙がこぼれ出しそうだった。

まぎれもなくピロウズの音楽は、社会に対してでもみんなのためでもなく、おれ達のためだけに歌ってくれてた。

そういう自意識過剰も甚だしい勘違いで、おれ達を救ってくれるんだ。

街のルールにうまく適合しながら生きていく優秀なカメレオンにはわからない、おれ達の心の奥だけに通じる鍵みたいな存在。

それが、あの頃の俺たちにとってのピロウズだったのだ。

昨日まで選ばれなかった僕らでも明日を待ってる。

大学の卒業旅行での思い出もピロウズだった。

おれに最初にピロウズを教えてくれた高校の友達、彼を含めた陰キャ数人で

「最後に大冒険がしたい!」

なんて盛り上がって、九州を北から南へレンタカーで縦断して屋久島を目指す旅をやったんだ。

熊本、阿蘇山を観光したあと、火山特有の木々のない荒野みたいな山肌をドライブしながら、時刻は17時を回ってて、山と空を突き刺すように壮大な夕日がでっかく燃えてて、

「まるで世界の終わりだ」

なんて大げさに騒ぎながら、気持ちわりぃセカイ系脳を存分にフル回転で妄想していたんだ。

大学4年生、あと一か月後にはなれないネクタイを締めて革靴を履いて、

ずっと大嫌いで逃げて来た社会というものに、ついにちゃんと向き合わなければならなくなる。

4月から始まる期待も希望も1ミクロンも見いだせないそれぞれの新生活のことを思って、

この壮大な夕景が、そんな世界の終わりの一秒前に見る一瞬の瞬きのような美しさに、思えて仕方がなかった。

きっとこんな風に友達と馬鹿な妄想で盛り上がることもできなくなるんだろうか?

大好きな音楽もバンドも諦めて、社会のために全身全霊をかけてへらへら笑って、生きていくんだろうか?

未来に横たわる圧倒的絶望感に吐き気を感じながら、みんなで震えるようにバカ騒ぎして盛り上がってた、

そんな車内で、ふと流れる「ハイブリッド・レインボウ」。

Can you feel ? Can you feel that Hybrid rainbow?
きっとまだ 限界なんてこんなもんじゃない、こんなんじゃない

ハイブリッドレインボウ
Song by The Pillows

みんな勝手に感極まってきて、大声出して歌った。

あほみたいに爆音で鳴らして、確かにあの瞬間、あの車内が世界の中心だった。

「輝くミライ」っていう正義のミカタを気取った巨大なモンスターを、ロックンロールの散弾銃で吹き飛ばすような、そんな爽快感を感じた。

きっとまだ、途中なんだって信じたい!

そうなのだ。ニヒルに絶望に慣れた素振りで社会を理解したふりをしていても、本心ではずっと震えてて、怖くて、何も失いたくなくて、

誰かにそんな不安を理解してほしくて、そして「この先ももっと楽しいことがたくさんあるぜ」って、嘘でも強がりでもいいから、だれかに希望を見せてほしかったんだ。

社会人一歩手前の22歳という状況も相まって、あの日歌ったハイブリッドレインボウは、なんだかあの旅のハイライトみたいに感じてる。


昨日までのキミを苦しめたもの全て、この世の果てまで投げ捨てに行こう

社会人生活を三年過ごしてからおれは仕事を辞め、世界一周の旅に出た。

その旅のなかでも、ピロウズの曲が色濃く寄り添ってくれている思い出がある。

スペイン南部のアンダルシア地方を旅していた時のこと。

「スペインには、”世界の果て”と呼ばれるユーラシア大陸最西端の岬がある」

そんな話を聞いて感化されたおれは(単純)、800キロの道のりを、歩きとヒッチハイクだけで旅したんだ。

立ち寄る街で路上ライブをしながらお金を稼ぎつつ、誰もいない荒野でテントを広げて眠ったり、地元の人に助けてもらったりしつつ進み続けた。

世界の果てを目指し始めて50日後、ついにその「フィステーラ」という場所にたどり着いたおれは、

これまでの旅路のことがフラッシュバックして感極まって、抑えられんでギターを取り出した。

海を眺めながら、誰もいない荒野で、大声で一人歌った、「この世の果てまで」。

ずっとこの場所で歌ってやろうって思ってた曲。

行こう昨日までのキミを苦しめたもの全て
この世の果てまで投げ捨てに行こう

この世の果てまで
Song by The Pillows

これまでの苦悩も葛藤も恥ずかしすぎる不細工な過去も全部全部、キミとなら忘れられる。

そんな、圧倒的青春と現実逃避を爽快なフルスイングで心に打ちつけてくる、この曲が大好きだ。

何度だってやり直せるし、どこへだって行ける。誰が何言ったって気にすんな。キミがいればそれでいい。

途方もなく広がる大西洋を眺めながらこの曲を歌うと、本気でそんな風に思えて仕方がなかった。

ずっと一人で歩いてきたけれど、いつだってひとりぼっちだったけれど、この曲を歌うと不思議と孤独感は皆無で、

世界中の中心はいつだって心の中にある気がしていた。


発狂したように歌い叫んでいると、同じような旅をしてこの岬にたどり着いたというドイツ人の青年に声をかけられる。

砂浜に寝袋を敷いてワインを開けて、これまでの旅路の話をし合う。

夜になって遠くに焚火の火が見えて、旅の若者たちが集まって歌ってて、二人混ぜてもらう。

一緒にStand by meとか歌って、今さっき会ったばかりの若者たちなのに、すっかり昔からの友達みたいに輪になる。

お互いの国のことや社会のこと、人生のことを語り合って、きっとこういうのが「若者のすべて」なんだろうって思う。

音楽はいつも、おれ達の心の中の壁をいとも簡単にするりするりと超えていく。

聞こえてくるのはキミの声、それ以外はいらなくなってた。

下らんプライドや羞恥心をこの世の果てに投げ捨てて、本当に大切なものがなんなのかを知れた、そんな旅だったんだ。

バイバイピロウズ、キミと出会えてよかったな。

ピロウズが解散するって聞いて、再結成とか活動再開も(おそらく)ないという潔いお別れの文章を見て、

感極まってまた青臭い思い出話を鼻息荒く語ってしまった…!

お前の思い出話なんて興味ねぇんだよ!って感じだと思うが、まぁおれが言いたかったのは、

ピロウズはいつも、人生のワンシーンにいつもさりげなく寄り添ってくれる音楽だったってこと。

きっとここまで読んでくれたようなモノ好きなバスターズな皆様なら、同じように順風満帆とは言えない風の強い日を選んで歩いてきたような青春時代の片隅で、

いつでもピロウズの音楽がさりげなくあなたを支えていてくれていた思い出が、ひとつやふたつあるのではなかろうか。

なんかそういう、生き方に沁みつく、その場しのぎの流行とかじゃない一生モノのロックンロールなんすよ、ピロウズは。

解散は悲しいが、いまはただ、そんな人生の光を見せてくれたピロウズに感謝しかない。

きっと彼らが解散しようが再結成しようが、関係なく、

おれ達は性懲りもなく、このバンドの音楽に救われ続けていくんだろうね。




そんなところです。




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