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【香港旅行記その⑥】モンスターマンション見て帰る!香港人のやさしさに触れた旅だった話。

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

ネイホウ!ぼっちシンガーです。
20代で路上ライブ世界一周、30代は東京で働きつつ音楽活動!
旅と音楽、サッカーなど、好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ!

前回までのあらすじ。

父ちゃんが急な発熱で、香港の山の上の病院で診てもらったおれ氏一行。

クスリを出してもらい大事を取って両親はホテルで療養することに。

ふっ…トラブルこそ旅の醍醐味。トラブルを楽しんでこそ真の玄人旅人さっ…!!

などと浸っていたおれであったが!

⑤はこちらから



妻氏とトラムツアーに参加した帰り道、俺のケータイに見知らぬアカウントからLINEが。

『お父様が病院にパスポートをお忘れです。17時の閉館時までに取りに来てください!』

なんですとぉぉぉおぉぉ!!!!

なんで病院の人が俺のLINEを知っているのか!?とか疑問は多かったのだが、

時刻は現在16時過ぎ!明日朝には帰国の飛行機に乗らなければならない!!!

とにかく急げおれ、風より早くっ!!!涙

そんなで、トラブルを楽しむ余裕なんて微塵もなく!!

大急ぎで電車に乗り、最寄駅からタクシーを捕まえる!!

いや最初、謎のアカウントから日本語でLINEが来たときは疑ったのだ。

(なんでこの人おれのLINEアカウント知ってるのよ?怪しいな、何かの詐欺か!??)

って。インドやアフリカではこの手の優しさに見せかけた詐欺に10万回くらいひっかかってきたからさ…

しかし、すぐに父ちゃんに確認すると、

『あ、確かにパスポートない!忘れてるわ!てへぺろ★』

みたいな返事が返ってきて、マジなんかいぃぃぃぃい!!!って大急ぎで病院を目指したってわけ。

あのおやじ絶対許さん…!!!必ず後でタクシー代請求したるからなっ…!!!

そんなで、怨念にまみれながら山道を登るタクシーにゆられること20分、時刻は16時55分っ!!!!

『あの!!パスポートを忘れたものですっ!!!ジャパニーズのっ!!!』

『お~~~気づいてくれてよかったわ!!!心配していたのよ!!』

ぎりっぎり間に合ったっ!!!!はぁはぁぜぇぜぇっ!!!

ガチで明日父ちゃんを香港に置いて帰国せねばならんところだった…!

しかし、つくづく思う。香港人、優しいなぁって。

いや、言い換えれば、やさしさを行動に移すためのハードルが低いというか、機転が利く人が多いというか。

聞くと、パスポートが忘れられているのに気づいた受付のお姉さんは、まず問診で記載されていた番号に電話をかけてくれたらしい。

本人と、同伴者として記載していたおれの番号にもかけてくれたが、どっちも日本の番号なのでつながらず。

そこで機転を利かせ、自分のLINEアカウントを使って電話番号検索でおれのLINEアカウントを見つけ出し、

Google翻訳でLINEに日本語でメッセージを入れてくれた
ようなのだ!

『診察で明日朝の飛行機と言ってたから、今日中に何としても伝えなきゃ!と思って。勝手にLINEにメッセージしてしまってごめんなさいね。』

いやいや、とんでもない!なんとありがたいことでしょう!!

日本人的感覚なら、もちろん心配してお客さんにすぐ電話をかける、まではするだろうが、

わざわざLINEアカウントを探してメッセージを送ったりなどするだろうか?

おれが従業員側なら、『電話でないならしゃーない。こっちにできることはここまでだ。』と、まずLINEにメッセージするなどという発想すら浮かばなかったと思う。

仮にその方法を思いついたとして、そんなのはマニュアルにないし、お客さんの電話番号を勝手に検索するなど個人情報保護に反する!とか会社からめんどくさいこと言われそうだ。

自身のアカウントが見知らぬ外国人のお客さんに伝わってしまう自分自身へのリスクもあるしで、実行しなかっただろう。

でも彼女は、そういった自身の保身と、『お客さんが明日日本に帰れないかもしれない』というリスクを天秤にかけた結果、『それでも可能性があるなら連絡しよう!』と、個人的な親切心から実行に移してくれたわけだ。

その優しさに感動したし、そういう優しさを行動に移すことを許容する香港社会の器の大きさ、みたいなものにも感動した、なんか心温まるそんな出来事であった…!!

まじで、時間に余裕があったなら感謝の讃岐うどんでも持っていきたいところであった…!!(感謝うどんは香川県民にとっての菓子折り的なものなのだ。)

『本当に本当にありがとうございましたっ!!』

なんども英語で感謝を伝えて、病院を後にしたのでありました。

そんなで、ホテルに帰還し父ちゃんからタクシー代をしっかりせしめ、

ようちゃん
ようちゃん

おまえ今朝お土産代としてお小遣いもろてたのに、まだもらうつもりか!
このヒモ!すねかじりのゴミ!

などとようちゃん氏に罵倒を浴びせられたりした後は、おれ一人で街へ!

みんな明日の帰国のための荷支度もあるし、ホテルで休むと言っているのだが、

時刻はまだ18時!

貴重な香港旅の最終日!!最後の最後までいろんなもん見てやるんだっ!!

一人トラムに乗ってティンハウ駅から30分。

怪しげな雰囲気の集合住宅地みたいなところで降りると…

な、なんだここ…!!!

なかなかディープな雰囲気だ。

これが南米や南アジアなら即着ぐるみはがされて強盗に合いそうな感じだけれど、ここは香港。

地図だと、この建物のエントランスから中に入ったところだよな…え、まじで入っていいのかなこれ…?

恐る恐る、マンションの住人にまじって通路を進むと…

すげぇぇぇぇ!!!!!!!

これが、香港の隠れ名物、モンスターマンションかっ!!

今はなき九龍城塞の違法建築マンションを思わせるような圧倒的な存在感!!

入り組んだ住居の窓と鉄格子の重厚な質感と、アンテナと室外機、異様なまでの生活感が視界いっぱいに広がり、

まさに巨大なモンスターに飲み込まれるような気分になってくる…!!

ようちゃん氏は、

ようちゃん
ようちゃん

モンスターマンション?あんなもんただの集合住宅や。
わざわざ見に行くやつアホちゃうか。

などと言ってたほど、香港人からしたらありきたりな生活風景のようなんだけれど、

そんな『ど』がつくほどのローカルな景色こそ、おれ達旅行者が求めている景色なのだ!!

モンスターマンションの中庭には、小さなベンチがいくつかあって、

仕事終わりっぽいくたびれたスーツのおやじが、たばこを吸いながら缶ビールを飲んでた。

香港は屋外での飲酒は日本と同じく違法ではない(オーストラリアなど野外飲酒禁止の国は意外と多い)のだけれど、

『酔った姿を外に見せるのは恥』と考える文化が香港人にはあるらしく、こうやって外で酒飲んでる人はあまり見ない。

なんだか新鮮な感じである。

かしこまった姿ではない、生身の香港人の生活風景みたいなのを感じ取れて、おもしろい。

そういや、マンションの外にコンビニがあったな。

ここは、ローカルの人たちに習って異文化理解を深めるとしようか…(ただ飲みたいだけ)

缶ビールを開けながらベンチに座り、静かにふけていくモンスターマンションの夜に浸る。

微かなドブの匂いと、人々がうごめく生活臭。

圧倒的人口密度のマンション各室から聞こえてくる子供のはしゃぐ声、親父のくしゃみの声、おばちゃんの笑い声を聴きながら、マンションの隙間から見える霧がかった空を眺めたりする。

各家からの室外機の水滴が重なり合って、それが下の部屋のとたん屋根を叩いて、まるで雨が降っているみたいにパチパチと音を立てる。

その雨がしたたり、川のように凸凹のコンクリートに水の流れを作り、血管のように建物を伝っては排水溝へと消えていく。

これは一体。

モンスター、というよりまるでビオトープのような、はたまた熱帯雨林のジャングルの奥に迷い込んだような、

大自然が作るひとつの生態系をのぞき込んでいるような感覚だ。

人工物の全てを濃縮したみたいなみたいなそんな場所なのに、そんな不思議な感覚を得た。

生きている。モンスターマンションは生きているのだ。

この灯りの一つ一つに、学校に通い仕事に終われ将来のことを人並みに心配しながら愛する人を大切にしたりする、おれ達と変わらない普通の人たちが、まるで細胞のように一つ一つの部屋で、生きているのだ。

なんだか生命感を感じる、不思議な力強さのある場所だった!

ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

ってな感じで、モンスターマンション、すごく良かったんですよ!!

ただのマンション見てなんがおもろいんや。日本人はよーわからん!

ようちゃん
ようちゃん

ティンハウ駅に帰ってきて、ホテルで療養中の両親に晩御飯でおかゆを届けたあと、

遅くまでやってた中華料理屋みたいなところ(まぁ全部中華料理屋みたいなところなんだが)で最後の晩餐!

やっぱエビ餃子はどこで食べてもうまいな…!!!

『このソースをかけるとおいしいわよ!無くなったらまた出してあげるからね!』

店員のおばちゃんににこやかに話しかけられる。

『どこから来たの?日本?あら私も一度大阪にいったことがあるのよ!』

香港人のこのコミュニケーションの距離感が、旅しててすごく心地よいと思う。

日本人や韓国人はシャイだ。旅をしてても、見ず知らずの人と必要最低限の会話はほとんど起きない。

レストランに入っても、こんな風に声をかけられることもなく、それはそれで快適なんだけれど、旅人としてはちょっと寂しい。

逆に、インドやアフリカでは街を歩けば『チーノ!なにしている!』と声をかけられまくり、一度捕まったら最後、食事もままならないくらいに永遠と質問攻めにあったりする。

フレンドリーで愉快、飽きることがないんだけれど、頼むからちょっと一人にしてくれ!って思う(笑)

そういう意味で、香港人のこの、相手のプライベートを邪魔しすぎることなく、しかし心の壁は作らずにフランクに誰とでも接してくれる距離感が、すごくちょうどいいのだ。

外国人慣れしている感じというか、そういうものを香港人から感じる。

それは国際都市として英語が使えて身近に国際交流があって、日本人にありがちな外国人に対する拒否反応みたいなものが皆無である点が理由だろう。

そして、親切で、誠実で、余裕のある人が多い印象だ。

さっきお土産を買ったスーパーで、お会計時に小銭が1ドルだけ足りなくて、大きいお札を使おうとしたのだけれど、その時レジ打ちのおばちゃんが、

『細かいのが足りないの?オクトパスカード(ICカード)を出しなさい!差額をオクトパスで支払いにしてあげるわ!』

とやってくれて、その親切さと英語の上手さに驚いた。

昼にパスポートを取りに行くときに乗ったタクシーでは、45ドル(900円)のお会計で50ドル(1000円)だして、

『釣りはいらねぇぜ。』

とかっこつけたのだが、タクシーの運ちゃんに

『いやいや待て待て!!こんなにもらえへんて!ちゃんとお釣り持っていきな!』

と言って受け取りを拒まれたのだ。

5ドルくらい良いのに~と思ってたら、実はおれ、50ドル札と間違えて100ドル札を渡してしまっていたらしく、

しっかり55ドルのお釣りを返されたのであった!

これ、ほかの国だとまずありえない対応だと思う。

(馬鹿な外国人が紙幣間違えてかっこつけてて草www遠慮なくもらったろwww)

ってなるのはほぼ確実だろう。

LINEをくれた病院の受付の人といい、本当にたくさんの親切をうけた旅だったなぁ。

日本に親しみを持ってくれている人も多いし、治安も日本とさほど変わらないし、

日本人にとってはすごく旅行しやすい場所だなーと思う。

(唯一、物価の高さを除いて、ね)

ありがとう香港、また来るぜ!!!!

翌日早朝!!

無事熱も引いた父ちゃんたちを連れて、香港国際空港へ。

これにて5泊6日の香港家族旅行、終了である!!!

4時間後、一週間ぶりに帰ってきた日本の地。

超巨大だった香港国際空港と比べると、あまりにものどかな高松空港の姿。

出国前は40年ぶりの飛行機に興奮して、空港ってだけで『うわ~すごい~』などと言っていた母親も、

『高松空港は小さいな~』などと得意げになっている。

『ようちゃん、いろいろ迷惑かけてごめんね。でも楽しかった!また絶対行こうな~!ようちゃん!』

そういってリムジンバスに乗り込む両親を見送る。

いや、ようちゃんだけかい!な表情のおれ氏。

香川の田舎で生まれ育って、定年退職までずっとこの地で暮らしてきた両親。

自由に世界の旅などやってきて、今も実家のことなどすべて投げ出して東京で暮らしているおれとは、

ほんとに血ぃつながっとるんか?ってくらいに対極の人生を歩んできているわけである。

そんな両親に、この世界にはもっといろんな面白い場所や、楽しい経験の機会が、まだまだたくさんあるんやで!ってことを、なんか見せてやりたかったのだ。

この経験が、このあとの老後を楽しんでもらうための材料に少しでもなったのであれば、良かったなぁと思う。

ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

トラブルも多かったが、両親も喜んでいたな。
歳も歳だし、今香港に連れて行くことが出来て良かった。
フッ…いい親孝行になったぜ!!

ホテル代も食事代も全部出してもらっといて
なに自分が連れてきた風なこと言うとるんやこのヒモカスが!

ようちゃん
ようちゃん



以上、6部にわたってお送りしてまいりました香港家族旅行記でした!!

そんなところです。


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