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【世界で一番人が優しい国】内戦が続くスーダンの本当の姿を伝えたい話。

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

サラマレコ!ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅などを経験し、現在は東京で音楽活動中。
旅と音楽、そのほか好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ!

この記事を書いている2023年4月。

アフリカ北東部の国、スーダンの情勢があわただしく報道されている。

軍同士による戦闘が激化し、多数の外国人居住者が各国救助隊によってスーダン国外へ退避しているそうだ。

きっとほとんどの日本人からしたら「スーダン?どこそれ?」って話なんだろうけれど、

僕は数年前にこの国を旅した時に現地の人々に良くしてもらった経験があり、この情勢悪化を心配しながら見守っている。

というのも、意外かもしれないがスーダンは「人が世界一やさしい」事で旅人界隈でも有名な国なのだ。

内戦続きで不安定な情勢が続くスーダンの、その本当の姿を皆さんに知ってもらい、

スーダンの問題に少しでも関心を持ってもらえたならいいなと、そんな思いでこの記事を書いていこうと思います。

スーダンで何が起きているの?

首都ハルツームを訪れた際の写真。 現在大規模な戦闘が起きているという。

まず、現在スーダンで何が起こっているのかについて説明しておきたい。

僕が調べる範囲でまとめると、今起きているスーダン情勢は、

「軍部による権力争いと、それに巻き込まれる罪なき一般市民」

という構図が浮かび上がってくる。

現在首都ハルツームを中心に戦闘を繰り広げているのは、スーダン軍事政権と、元々その傘下にあったはずのRSFと呼ばれる軍事組織である。

元々スーダンではアル・バシール大統領による独裁政権が長く続いていた。

現在のスーダン軍トップであるブルハン将軍と、RSFのダガロ司令官はともに軍としてバシール政権を支えていたのだが、2019年の民主化運動でバシールが失脚。

その際、 ブルハン将軍率いる軍の一部はバシールを裏切ってデモ隊側につき、バシール政権打倒に貢献した。

一方のRSFは最後まで政権側として戦っていたことで、同じスーダン軍内で分裂が起きたのだ。

バシール政権後、民主化を目指し発足したはずの暫定政権だったが、2021年に軍部のクーデターで民主派が排除され、再び独裁政権化してしまう。

しかし、不安定な状況にコロナ渦による経済低迷も相まって、軍のトップであるブルハンが率いる政権への不満は高まっていく。

盤石になれない軍事政権に対し、元々は軍の傘下の一つに過ぎなかった RSFが対抗馬として力をつけていく。(RSFにはロシアのサポートを受けているという噂もある)

そんな、仲たがいする軍内部の力関係の拮抗がついに衝突に発展。首都ハルツームを中心に市民をまきこんだ大規模な戦闘が起きているのだ。


罪なき一般市民からすると、本当に気の毒な状況だ。

せっかくバシール政権を倒して民主化すると思ったのに、またしても軍による独裁が始まり、

さらにはその権力争いによる、(国民にとっては)不毛な戦いで、住む場所を奪われ命を脅かされているのだ。

この戦闘にどっちが勝っても待っているのは軍による強権政治で、未来は真っ暗。

スーダンに真の国民の為の政治がおこなわれる時代は、果たして来るのだろうか。

詳しいスーダン情勢の内容についてはこちらの記事を参考にしました。

本当のスーダンは、世界で一番人が優しい国。

南部アルカダリフで現地のおじさんと音楽で盛り上がる。人々は陽気で、とんでもなく旅人に優しい。

このように不安定な情勢が長年続くスーダン。

ニュースを見るだけだと、「危険で危ない場所」と言う印象が強いが、実際にこの国を訪れてみて、その印象は180度変わった。

とにかくスーダン人はとことん優しい人が多いのだ。もう、びっくりするぐらいに。

街を歩いていると、全く見ず知らずの人に良く話しかけられるのだ。

道やバス停で迷っていたら「こっちだよ!」とわざわざ案内してくれるし、

田舎町の砂漠を歩いていた時などは、「乗ってきな!」とあたりまえのように馬車で街まで乗せてくれたりした。

そのほか「チャイをのまない?」と若者に声をかけられごちそうになったり、

家においでよ!と言われて若者の家に招かれ、現地の食事であるフール(※)を囲む輪に入れてもらったりした。

(※つぶした豆や生野菜がはいったおかず。大きなボールに入ったフールを、ちぎったパンにつけてみんなでシェアして食べる。 日本でいう「パーティでピザ取る」みたいな感覚か。 )

北部ワディハルファ。ロバの馬車に乗せてくれたおじさん。
首都ハルツームでフールパーティに招いてくれた学生たち。
道端のチャイ。ミルクは入らず、大量の砂糖を入れた甘々な紅茶。
フール。見た目はアレだが…うまい!これは一人用だが、大きなボールでみんなでシェアする場合もある。



他の国でもこんな風に声をかけてくれて親切にしてくれる人もいるのだが、だいたい後で「親切にしたんだから5ドル払え!」などとチップを要求されるのが基本。

家に招かれて食事なんかしたら、睡眠剤で眠らされて追いはぎにあったり、最悪●される可能性だってある。

毎度、現地の人から話かけられた際には、常にそういう危機感を持ちながら、いざとなったら逃げられる準備をしつつ付いていってみるのだが…

スーダンでは、危険な目に合ったり、金銭を要求されたりしたことは、本当にたった一度も無かった。

「スーダン人は世界で一番優しい」

たまにアフリカを旅した人がそんな風に言っていて半信半疑だったのだが、いまでは完全に同意である。

彼らは、自分たちの置かれている状況もこんなに大変なのに、なぜこうも人に優しくできるのだろう?

一節には、イスラム教の教えの影響があるらしい。

イスラム文化圏では、教えにより「旅人をもてなす文化」「分け合いシェアする文化」が色濃く根付いている。

厳しい砂漠環境を生き抜くための教訓で、他のイスラム教国でもそれは強く感じた。

さらにスーダンは、長きにわたるアメリカからのテロ支援国家認定で、訪れる外国人が極端に少ない。

余計に「わざわざ訪れてくれた旅人をしっかりもてなそう」という風潮が強いのかもしれない。

また、隣国エチオピアでは世界最大レベルでストリートチルドレンが多く、街には物乞いがあふれかえっているのに対し、スーダンではほとんど路上生活者を見かけなかった。

これも、 イスラム教国の特徴である、助け合いとシェアの文化で社会的弱者が放置されない文化が影響していると考えられる。

ニュースを見ただけでは「危ない」「貧しい」という印象を持たれがちな、アフリカであったりイスラム教の国。

しかし実際訪れてみるとこんなにも印象が違って見えるのが鮮烈で、いい意味でカルチャーショックだったのをよく覚えている。

なぜそんなスーダンで内戦が?僕らに出来ることは?

ナイル川沿いのナイトマーケットにて

こんなに優しい人々が助け合って住むスーダンで、なぜこうも内戦が続くのだろうか?

個人的には、優しくておとなしい国民性を、政府(権力者)がいいように利用している印象を受けた。

この国を訪れた際に感じたのは、「人」は優しいのに「国」が金儲けしか考えていない、ということ。

レストランで食事をしたり宿に泊まったりする物価は「ほんとにこれで利益でてんの?」ってくらいに安い値段なのに、

入国時のVISA代や他のアフリカではなかった外国人入国管理登録では高い登録料を取られたりした。

国民は質素に細々とやっているのに政府は「いかに金を巻き上げるか」ばかり考えているような感じだ。

アフリカなど発展途上国では、権力さえ持っていれば金が集まってくる。

権力者はその座に居座り、私腹を肥やすのに必死だ。

そんなことしか考えない政権下でも、その優しく健気な国民性から、国民はなんとか支え合って生活していけるもんだから、さらに政権の腐敗が横行しているのではなかろうか?

さらに、権力にしがみつくために軍上層部同士が争いを始める。それで被害を受けるのは国民なのだ。

なんとも悲しい話だ。

アルカダリフ市内

この不毛な紛争を一刻も早く終結させ、スーダンの人々が安心して暮らせる国を作るために、僕達にもできる事はあるのだろうか?

この記事にもあるように、まず僕たちにできる事は「スーダン情勢に対し関心を持ち続ける事」であると思う。

現在は日本人滞在者救出で日本でも注目が集まっているが、すべての外国人が退避した後、諸外国から見向きもされなくなった際に本当の地獄が始まるのだ。

世界の注目を保ち続ける事で、非人道的な作戦を未然に防いだり、戦後の復興支援を得られやすかったりする。

小さなことであるが、スーダン関連のニュースに関心を持ち、意見を発信して、まずはこのスーダン情勢の風化防止に努めたい。

まとめ

以上、スーダン情勢について、思っている事をまとめた記事でした。

スーダンに限らず、エチオピアやイスラエル、パレスチナなど、これまで旅で訪れた事がある場所で現在起きている紛争などのニュースには、僕は人一倍敏感になります。

それは、実際にその国を訪れて、そこに住む人々と触れ合った思い出から。どうしても他人事には思えないのです。

そんな気持ちから、現地に住む人々の生の姿を知ってもらえば、この国で今起きていることに少しでも興味を持ってもらえるんじゃないかと感じ、旅した際の思い出も書いてみました。

この地球上で起きるすべての国際問題を当事者として重く受け止められるほど、僕は懐の深い人間ではないのですが、

少なくとも、実際自分が旅して思い入れがある国の問題に対しては、「関係ないや」と目をそらすことなく自分で考え、発信していきたいと思います。本当に微力ながらではありますが。



そんなところです。

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