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【報道写真展『反抗 香港は、今』に行ってきた】香港民主デモに対しての解説・個人的意見の話。

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

ネイホウ!ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅を終え、現在は東京で音楽活動中!
このブログでは旅や音楽、世界の文化について語るよ。


さて、今回は香港デモについての話と、とあるレポート記事を書いてみようと思う。


先日から、東京・恵比寿で香港デモの写真展『反抗  香港は、今』が開催されている。

クラウドファウンディングで多数の協力を集めて開催が決まった報道写真展で、
日本人の写真家、柴田のりよしさんが開催する。

「反抗 香港は、今」と題した写真展は、十〜十五日、渋谷区恵比寿南一、アメリカ橋ギャラリーで開く。入場無料。

東京新聞 香港デモ1年 「自由の危機知って」都内のカメラマンが写真展 より引用。https://www.google.co.jp/amp/s/www.tokyo-np.co.jp/amp/article/34145


今回はこの写真展に香港人の彼女と訪れたので、そのレポートと、今香港で起きている事態の概要や、個人の想いなども合わせて記事にしてみたいと思う。


まずは、香港でデモが起きている理由と現状について、書いてみたいと思う。

複雑な問題を、無理なく理解できるように簡単に要約して書いていこうと思うので、細かなニュアンスの違いなどあるかもしれません。ご容赦ください!

香港で今、何が起きている?

まず、日本人からしたら

(香港でなんかデモが起きて大変そうだけど、みんな何に怒ってんの?)

と、内容をよく知らない人は多いと思う。

実際僕も、2014年の雨傘革命時には「香港がなんか大変そう。」くらいにしか事態を理解していなかったと思う。


しかし、香港人である彼女に出会って、この問題について深く調べるようになると、香港デモは

人々の自由と人権を守るための戦い

であり、

日本人も決して無関係ではない問題である

ということがわかってきた。

香港デモを超簡単に説明すると、

都合よく国民を管理しておきたい中国共産党

VS

民族のアイデンティティや、自由な思想、経済を持てる権利を維持したい香港人

という感じ。

国民を徹底管理したい中国共産党

諸説あるが、現状中国は社会主義を掲げる国家であると言われる。

社会主義とは、

国が経済をコントロールするから、国のために働いてもらい、平等に賃金を与えてみんなで幸せになろうぜ

という理想を持つ考え方だ。

その理想を共産主義と言って、実現すれば貧富の差のない平等な社会となってみんなハッピーなんだが、ソ連崩壊の歴史が語るように、この共産主義を完全に実現した国はないと言われる。


そのデメリットの一つが、社会主義は国民の自由と人権を奪いがち、という点だ。


共産主義を実現する上では、国民が好き勝手に経済活動をしたり、政治に口を出したりする事は政府にとって害となる。

そのため、ソ連では個人資産を持つことを規制したり、海外(資本主義国家)への渡航を禁止したりして国民を徹底的に管理してきた事が、国民の不満爆発につながった。

現在中国では、自由な経済活動もある程度できるし、個人資産も認められているので従来の社会主義国家とは少し違うのだけれど、

それでも根幹にこの理想があるので、国民の管理に関しては徹底的にやっている。

”管理国家”中国の概要

まず、情報統制がとてつもなく厳しい。

中国では、政府に対する反発的意見を持つことは絶対タブーとされており、違反すると国家政権転覆罪として逮捕される。

そして、反政権的意見が国民に芽生えることが無いよう、情報が徹底管理されているのだ。

中国国内では、政府にとって有害な情報が流れる恐れがあるGoogleやyahoo!!などの世界の主要な情報発信サービスは一切使用できない。

FacebookやTwitterなどのSNSも、他国の人達からの影響を受けやすいので禁止。

テレビも中国当局によって徹底管理されており、反日教育に代表されるように、日々愛国心をあおる発信がなされている。
香港デモが過熱していた2014年には、反政府的な意見を持っていたとされるTVジャーナリストやコメンテーターが相次いで拘束された。

また、国民の行動は国内に2億台存在すると言われる監視カメラで常に監視されており、インターネット上でも実社会でも国民は厳しい監視下に置かれている。

そして、管理社会は多様性を嫌う

全国民が同じ価値観、文化、そして同じ言語を持つ方が管理する上で都合が良いからである。

チベットやウイグルでは人々は独自の文化を失いつつあり、全国で北京語と呼ばれる公用語の使用を強いられるなど、弾圧が強まっている。

その他にも、消費データから「信用スコア」を割り出しその人の客観的な階級を割り出すアリババのセサミクレジットというシステムや、

ポイ捨てや交通違反などで市民をスコア付けし、航空サービスなどの利用を制限するといった方法を用いている地域もある。



こうして見ると、中国とは完全な管理社会であり、日本人からしたら先進国風の北朝鮮、という怪しさを感じるが・・

こういった徹底管理の上で国民をコントロールし、中国経済が急成長を遂げているのは事実である。

国民がその恩恵を受け、管理社会に納得して幸せに暮らしているのであれば、外国がとやかく言う事ではないし、これはこれでいいのだと思う。

しかし…

香港人は管理社会を望まない。

ご存知の通り、香港は1997年までイギリスであり、英国の支援を受けながらアジアと欧米をつなぐ巨大経済都市に発展した。

その歴史は1842年から約150年続いており(1941年から1945年は日本領)、香港人には自分達が中国人である、という認識がほぼ、無い。

かつ、欧米式の自由な資本主義経済と、民主主義的価値観、人権意識が人々には根付いているので、

我々日本人と同じく、中国の管理社会に対して圧倒的な違和感を感じているのだ。


同じく資本主義圏の日本人の私達なら、


「日本は明日から管理国家始めます!
明日からGoogleやYouTubeは禁止、SNSも政府公認のやつ使ってね!監視するから!
アイヌ民族や琉球民族の皆さんも日本人なんだから、自分達の文化や言葉は忘れてね!
あと、今後政府の批判したら懲役25年ね!よろしく!」



などと、政府が突然言い出したら…と考えれば、命がけでデモを行う香港人の気持ちはすんなり理解出来るだろう。


この、望まない管理を敷いてくる中国政府に対する拒絶こそが、香港デモの核心にある、と僕は考えている。



崩壊する一国二制度


上で書いたように、資本主義経済圏で育ってきた人達に、いきなり管理社会やらせろ!と言っても香港人も国際社会も黙っていない、というのは中国政府も理解していたようで、

当局は97年の返還後も、香港に高度な自治と国際参加を認めますよ、という制度を決めていた。


「形上は中国になるけど、香港はこれまで通り資本主義経済で、発言や思想の自由も認めますよ!
最低50年はその権利を持ってて良いですよ!」


という内容を香港人に約束した。

これを、一国二制度(いっこくにせいど)と言う。


しかし、2000年代から中国が力を握り出し、中国側に有利な候補者を香港議会に送り続けたり、反中国的な人物を逮捕する口実の為に新しい法律を作ったりして、徐々に香港の高度な自治を脅かし始める。

そしてついには今年5月、香港の治安維持を表向きの理由に、香港への「国家安全法」適用を決定。

これが施行されると、政府は反中国的発言や活動を行う香港人を逮捕できるようになる。

事実上、香港人から思想や発言の自由を奪う決定と言えよう。

最低50年、とされていたはずの自治の約束も果たされる事も無く、香港人は中国の管理社会に飲み込まれようとしているわけである。

日本も他人事ではない香港デモ。

このような香港の現状であるが、これは決して、外国で起きている対岸の火事ではない

香港には現在、二万人以上の日本人が住み、1400近い日系企業が進出している。

進出企業数は世界2番目の多さで、香港というアジアと欧米のハブ都市を失う事で、これら日系企業が受けるダメージは計り知れない。

また近年、中国が日本の地方の土地を買い占め、大勢の移民を送り込む、”日本の中国化”を押し進めている問題をご存じだろうか。

各国に一定数の中国系移民を持つことでその国を内部からコントロールする狙いがあり、オーストラリアなどの移民国家ではすでに大きな問題となっている。

もちろん、日本に住む中国人移民の方たちを人種差別的に攻撃するようなことはあってはならない。

しかし、政府が国民を使って他国への侵略行為を働いているという事は、見逃せない事実である。

今後日本各地の中国化が進んだ時に、元々の日本人と、中国的価値観を持つ勢力との間で、香港で起きているような衝突が起きる可能性は十分に考えられる。

個人的な意見。

この問題について僕個人的には、なんとか香港人に彼らの持つ自由と民主主義を守り抜いてほしいと、そう考えている。

なぜなら、国民の4人に1人が参加した2019年の200万人デモ行進の数字も物語るように、中国政府は香港人の民意を完全無視して政策を推し進めようとしているからだ。

僕は彼女が香港人であり、周囲の香港人の”生の声”を聞く機会が多いのだけれど、今のところ中国側を支持する香港人には一人も出会っていない



ただ一つ、大前提として、僕は中国そのものや中国人に対して批判的な精神は全く持っていない。

超管理社会であろうと、国民がそれに納得して幸せに暮らせているのであれば、それはそれで一つの正しい国家の在り方である、と思う。



しかし、香港の場合は、人々がもともと自由と民主主義の精神を大切にして暮らしてきた。

日本人と同じく、当たり前に世界とつながれて、多様な価値観や考え方を持つことを当然の権利として持ってきた民族である。

その精神やアイデンティティを弾圧して、無理やり従わせる中国当局や香港政府の行為は、健全な政治であるとは思えない。

常に、国家のための国民ではなく、国民のための国家であってほしいと思っている。


写真展に行ってみた。

そんなで、今回香港デモ写真展『反抗  香港は、今』を、彼女と一緒に訪れた。

今回の写真展は恵比寿のアメリカ橋ギャラリーというところで開催されていた。


ギャラリー内に入ると、在日香港人のボランティアの方が案内をしてくれていた。

館内はそれほど広くなかったが、大勢のお客さんで賑わっていた。


現場の緊張感あふれる写真ばかりで、写真の中の香港人たちの必死な思いが伝わってきて、胸が震えた。

中には、小学生くらいの女の子が香港の未来を憂うボードを掲げていたり、逆にかなり高齢の参加者の姿もあったりと、前世代の香港人の関心の高さが感じられた。

ポストイットにメッセージを書いて民意を表明する、レノンウォールをやっていたので、僕たちも書かせてもらった。


写真展を主催している、柴田さんと少しお話をさせていただくことも出来た。

最前線での取材で危険はなかったか、と質問させていただいた時の、「香港はまだ世界からの視線があるから、安心できる。」、という話が印象的だった。

香港は世界中のマスコミの注目を集めているし、メディアの視線があるので、中国当局もあからさまなことは出来ない。

チベットなどは外国メディアがシャットアウトされているので、取材時に中国当局に何をされるかわからない怖さがあるそう。

現地の人々は焼身自殺でしかメッセージを発信できないそうだ。


彼女がクラウドファウンディング参加時にすでに香港デモ写真集を買っていたので、僕はチベットの写真集を購入させてもらった。

90年代の、チベット自治区の人々の暮らしを切り取った写真集で、遠い異国の民家にホームステイさせてもらった時の写真を見返しているような、不思議な懐かしさを感じる写真たちだった。

チベットには死後の体をハゲタカに食べさせる葬式、鳥葬なる文化があるらしい。

中国当局の弾圧の中で、こうした民族の文化はいつまで継承されるのだろうか、もしくはもう消滅させられてしまったのだろうか。

いろいろと考えさせられた。

まとめ

香港での問題についてまとめてみたが、いかがだったでしょうか。

日本人なら持っていて当たり前の、知る権利、発言する権利を、香港人たちは今まさに奪われようとしている。

国際社会として、自由と民主主義のもと生きる国民として、他人事で済ましていいのだろうか。

そんなことを考え、日本から出来る事をしていきたいと思い今回の記事を書いてみました。



もちろん中国寄りの意見に賛同する人もいるだろうし、中国そのものが悪だとは思っていない。

いろいろな考えが法の下許されているのが日本なので、多様な価値観があっていいと思う。

デモに対して批判的な意見を持つ権利もまた、誰もが持っているはずなので。



しかしだからこそ、その当たり前の権利を香港人が奪われるのを黙って見てはいられない。

今後香港は市民の望まない中国化を加速していってしまうのか、または民主派による独立運動などが強まるのか。

香港市民にとって何が一番幸せな道なのかを考えながら、今後もこの問題を注視していきたいと思う。


そんなところです。

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