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【マドリード空港/スペイン】ついに南米へ!!の予定がまさかの搭乗拒否!?うそやんゲロ吐きそうおえぇの話

2020年5月13日

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今日の旅の一曲!フラワーカンパニーズの “東京タワー"!
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………………..

ついにマドリードの空港に到着したおれ!!

ヨーロッパの醍醐味である格安ビールと涙の別れを交わし(1缶30円くらい)、午後一時、おれは余裕を持ってチェックインカウンターへ向かう!!!

3ヶ月滞在したヨーロッパをついに離れることとなるのだ!

コロンビアで無駄に二回も乗り継ぎののちの、行き先はペルー、リマ!!!

乗り継ぎ時間も入れると合計24時間の飛行機の旅の始まりだ!!

まぁ、そうは言ってもそんなに意気込むことでもない。おれはもうすでにこの旅で、もう何度乗ったかわからんくらい飛行機に乗っている。

複雑な巨大空港の国際便だろうと第3国トランジットだろうと、この玄人旅人にとっては朝飯前。"動画ファイルナビゲーター"の無料サンプル動画を探し当てるくらい簡単なことである。

そんなで、

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と、慣れ親しんだ手順を踏みながら、意気揚々とコロンビア、アビアンカ航空のチェックインカウンターへ到着だ!!

「ごきげんようセニョリータ!おっぱい当てゲームのダウンロードを… あ、じゃなくて16時の便のチェックインをお願いできるかな?」

「かしこまりました、ミスター。」

にこやかなスマイルをくれるお姉さんにスムーズにパスポートの提示を終え、唯一心配していたギターの機内持ち込みの許可も

「それは問題ございません、ノープロブレム、サー。」

と軽やかに許可してもらう。

(ふふふ。すべて順調。やはり、おれほどの玄人旅人になると、時間のマネジメント力が違うよね。空港なんかでも一度も焦ったことはないからね。構内を慌ただしく走り回る奴らの気が知れないよね。)

と、いい気分になって、

「ありがとう、セニョリータ。」

とかえしながら、乾いた風になびく髪をさっとかきあげて(くさ!)と思っていた時である。

「それはノープロブレムなのですが、プロブレムは別にあります、ミスター。」

「ほう、なにかな?

“チェックイン荷物に、忘れ物がありますわ。…わたしも一緒に、テイクアウェイしていただかないと"

とかかな?ふぅ…困った子猫ちゃんだ。」

「断固として違いますわ。

…あなたはリターンチケットを持っていないので、飛行機に乗れませんわ。」

かわいい困り顔で、カウンターの中からおれを覗き込んでくるお姉さん。

「ほ、ほう。そんなかわいい顔してもダメだよ、リ、リターンチケットが…なんて、そんなに僕にここにいてほしいんだね…」

「舌を噛んでこの命断とうともそんなことは思わないのですが、残念ながらあなたは本当に乗れないのです、サー。」

ほう…

リターンチケットが…ないと…

つまりそれは……

「あの、つまりそれは搭乗拒否というやつですか?」

「イエス、サー。」

ふむ。

ひ、ひ、

ひやぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁびぁぁやぁぁぁ!!!!!!!!!!!

搭乗拒否!!!???え!!?乗れないの!!??9万円もしたのに!!??チケット!!!え、ぇぁぇぇぇ!!!??

恐ろしい事態が発生した。もうマジで頭が真っ白に、そして禿げ上がってしまって動けなかった!!!うそやん!!ペルーはビザなしで何事もなく入国できるって書いてたぞ!!!??え!?なに!!??ふざけんな突然!!!!

「お、おか、おか、おかしいです!!!ジャパニーズパスポート、ビザもなにもいらずに入国できる、ペルー、書いてたの見た私!(ソースは2ちゃん)」

「VISAがいらない代わりに、ペルーを出る飛行機のチケットを見せないと入国出来ないのです。」

「うそだ!!おかしい!!おれはバスで、陸路でコロンビアまで抜けるんだよ!!そんなのまだ買ってるわけないじゃないがっっうぐっ!!うぐっ!!!!」

「それなら、リファンドできる飛行機のチケットを買って、後でキャンセルするしかないです。」

「そんな!!キャンセル料だってかかるのに!絶対使わないのに!!そんなのミーニングレスだよ!!」

「しかしこれはルール。こちらとしては、出国チケットを見せていただかない限り搭乗を許可は出来ません。」

お姉さんは見た目こそ同情を寄せるような猫耳たれ眉困り顔で萌えたんしているが、鬼人のごとき言葉をマシンガンのように打ち付けてくる。

もうマジで涙目。おれのライフはもうゼロ。

お姉さんに「すぐリファンド可能な飛行機を調べて貰ってください」と案内された、アビアンカ航空のチケット販売所。

「大丈夫よ!すぐ調べるから待ってなさい!てやんでいべらぼうめ!」

と心強い言葉をくれた受付の、目の上が青いおばちゃん!

しかし!!

「リファンダボーなチケットは最安でも1タウザントユーロ(12万円)からね…。キャンセル代は1割かかるわ…。」

とバツが悪そうに戻ってきた。

うそやん。

絶望。

おれの手持ちのユーロは300ユーロだけ。

クレジットカードは実家に届いているやつのナンバーでネットでは使うことはできたが、実物は持ってない。切る事が出来ないので、店では使えない。

ネットで取れば…と思ったが、おばちゃん曰く、ケータイの画面表示ではダメで、予約後数日後に送られてくる、名前の入った正式書類を見せないといけないから時間がないよ!と…。

「とにかく別の航空会社もすぐ当たってみなさい!!行くのよ!!ほら、いけ!!」

なかば強引に空港に放りだされたおれ。

ごたごたで時間も経ってしまっており、チェックインカウンターがクローズするまであと30分!!

ど、どうすりゃいいんだよ…!!ウソだろ…!!!!

大混乱である!!いろんな考えが浮かぶ。

(ちくしょう!!!ペルー行きで搭乗拒否なんて聞いたことねぇよ!!係員によって対応が違うとかじゃねぇのか!!?こっそりさっきのお姉さんとは別のレーンに並んで…

いや、ダメだ、めっちゃ並んでる!!それでダメならもうほんと乗れねぇわ!!

…え、もう乗らなくていいか?

日本帰っちゃう?

まぁそれもいいか…

いやいやいやまてまて!!!9万円もしたんだ!!!南米行ってやるってあんだけ意気込んでたんだ!!!やるだけのことやるしかねぇだろ!!!!

と、とりあえず他の航空会社だぁぁぁぁ…!!!)

おろおろと吐きそうな気分で空港内をうろちょろするおれ。インフォメーションデスクで、それならトラベルエージェンシーがなんとかしてくれる!と案内される。

大急ぎで、クソでかい空港の反対側にあるその代理店へ向かって走る走る…!!!

「最安でも、400ユーロだね…。」

走りに走ってたどり着いた旅行代理店で絶望的な額を聞かされる。

ま、まじか…。

300ユーロしか持ってないおれ、完全終了。

もういいや…。戻って、もう一度粘ってみて、突き返されたら、もう諦めよう…。

もう日本帰りなよって、そういう事なのかな…。うん、きっとそうなんだよ…。ぐすん。

豆腐メンタル、しかも絹の方のおれは、完全に意気消沈、暗黒世界な表情で旅行会社のブースを出ようとした…

その瞬間であった!!

「…君。トランプをしてみようか。」

は?

エージェンシーの、キザなスーツのおっちゃんが声をかけてくる。

おれは頭にはてなが3万個ほど浮かぶ。

この場に及んでおれをトランプ遊びに誘うとは、一体どんな神経していやがるんだ!?それともおれが真のデイュエリストだという事を見抜いて、勝負を仕掛けてきてるのか?すまない。今はとてもじゃないがそんな気分じゃないよ…。

訳もわからず立ち尽くすおれに、もう一度語りかけてくる。

「つまりはさ、これはすこし危険なゲーム、トランプみたいなものだよ。航空会社にこれは絶対にばれちゃいけないんだ。それがジョーカーさ。君は本来後で行わないといけないリファンドの、キャンセル料の分だけ今払えばいい。キラッ」

クールにウインクしてみせるおっちゃん。

「なるほど、キャンセルする、リファンドの…トランプ…

…………えっ………………、

す、すみません全然分かんなかった!クッジューエクスプレインアゲイン?」

「え!?あ、だ、だからさ!これはトランプのようにだね…」

おっちゃんはひどくこのトランプの例えに酔っている様子で、それが邪魔して何を言っているのか理解が遅れたがたが!

どうやらどうせ捨てチケットを買うなら、後々キャンセルした時に発生する分だけ今払ってもらったらこっちでキャンセルしとくよ!特別に入国審査で見せるチケットの券を出すよ!でも本来は絶対やっちゃいけない事だから、航空会社や入国審査ではキャンセルしてる旨は伝えちゃダメだよ!

という事らしい!!

…であるからして!!時間ないだろ!?後でうちの方で処理しといてあげるから!!分かったかい!?!?」

「と、と、とりあえず60ユーロで偽の出国チケットを用意できるってことだね!!?」

「そうさ!まるでトランプゲームのようなものさ!キラッ」

「もうそれしか方法はない!!よろしく頼むよ!!!後15分しかない!!!!!!!!」

偽の出国チケットのために60ユーロ(7000円)も払うなんてバカらしいが、60ユーロケチって9万円ドブに捨てたんじゃ元も子もない!!

お願いすると、助手のお姉さんとものすごい速さでパソコンカタカタ電話ペラペラし、ものの3分ほどで、リオデジャネイロ行きの、本来は400ユーロ払わねばならないチケットが出てきた!!!

「ありありありありがとぅぅぅ!!時間がないから!!!!すぐ行くよ!!!グラジアス!!」

「あぁ!!キャンセルの事は絶対にいっちゃだめだよ!!それがジョーカーだからねーー!!!お前のしょうもないブログにも絶対書いちゃダメだからね!!!ハバグットジャーニー!!」

「もちろんさ!!ありがとう!!!!」

うぬ。ほんとにありがたい!!

おれはサラリーマン時代はサービス業だったんだけれど、効率性考えたり、お客さんのこと思うとやってあげたら喜ばれるだろうなって事でも、こういうリスクのある事は、「これはルール!」という圧力で出来ない事ばかりだった。

なにか問題が起きた時に「責任はだれにある!」って追求されることばかりを恐れて、お客さんがほんとに望んでいるサービスを提供できないっていうのはもったいない事だ。

おれを、お客さんを思って、機械的にならずにほんとにおれが必要としていたものを提供してくれたおっちゃんに感謝!!

とか!!かっちょよくまとめてる時間もなくっ!!!!

タカタカタカタカタカタ!!!!!!!!!!!

息を切らしながら、また反対側の、チェックインカウンターまで走る走る!!!

エロ本を机の上に出しっ放しにしてるのに気づいた中学生のような焦り具合でかけつけ、

バンッ!!!

「ど、どや!!!!!とったで!!取ってきたで!!!!!」

と今の偽チケットを見せつける!!!

「はい。確かに!出国ゲートはあっちです。飛行機の離陸まで一時間です!急いで!」

なんとか!!なんとかギリギリチェックインは終えた!!!

出国するためにはここから荷物検査、身体検査を通過し、出国ゲートをくぐらないといけない!!

いつもたらたら待たされる荷物検査であるが、今日はこの上なくスムーズで、ドイツではハーモニカからタンバリンから全部ひっくり返されてお尻の穴から肛門まで緻密に調べ上げられたギターバッグも、ここではレントゲンみたいなやつちらーっと眺められただけですぐ通過した!!

よっしゃぁぁぁ!!!!

パカラパカラッ!!!

ちんたらと歩く能天気な人たちをオラァどけどけどけぇぇ!!!と蹴散らしながら、

うそ、「す、すみませぇぇん!」と丁重にかわしながら、おれは出国ゲートまで走る走る!!

ひ、ヒェェェなんて遠いんだ!!!

マドリード国際空港はヨーロッパでも屈指の大型空港である!

免税店を500メートルぐらい走って、幾多ものエスカレーターをくだって、最後はなんとゲートまで行く地下鉄にのって、つ、ついにゲートが見えた!!

はぁ…はぁ…!!

小学校の時以来となる大激走の末、なんとか出国審査の列に並んだおれ!!

ここで違法滞在がないかなど調べられて、問題なければ出国スタンプを押してくれて、初めてスペイン出国!となるのだ。

そう。違法滞在がなければ…。

ドキドキドキドキトギトギトギト!!!

おれの心臓は津山ハードコア祭りのバスドラみたいに高鳴り高速回転していた!!
実は、おれはヨーロッパからの出国に関して、大きな秘密を隠し持っていたのだ…

EU圏内に滞在する外国人の滞在可能日数は、シェンゲンルールというもので90日と決められていて。

おれは飛行機の関係もあって、これをまさかの10日間、うっかりちゃっかりオーバーてへペロなのだ…!!!!(てへ、ぺろ♪)

いや、なんかシェンゲン協定ってやつも結構曖昧らしくて、1ヶ月ぐらいのオーバーステイならなんにも言われないよ!とかネットでよく出ていたし、日本人は、オーストリアだけは半年間の滞在が可能という事になっているし!おれオーストリア3週間いたから、大丈夫だし!

で、でも、もしつっこまれたら、オーストリアの出入国時にスタンプなど一切押されてないし、それどうやって証明するんだ…?

まずその情報も人づてに聞いただけなんだけど、ほんとなんかな…??

そしてオーバーステイをこうも大々的にブログに書いたりなんかしたら「れっきとした犯罪です!通報しますた( ^ω^ )」なんて叩かれるんじゃねぇのか!!!!???

様々な不安を抱きつつ、ついにおれの番がぁぁぁ!!!!!!

大丈夫なのかぁぁぁはぁぁぁ!!!!!

ガコン!!

「行ってよし!」

よっしやぁぁぁぁヨーロッパ出国!!!!

ってかえぇぇ!!???全く、前回の入国時の日付も何もチェックせず、質問もされず、ただただスタンプ押されただけ!!!!!

いやぁぁ、あれだな。審査員め、おれの見た目で判断したな!こんな小綺麗で良質なお召し物を身にまとった紳士が違法滞在なんて…などと決めつけたんだな!!?はぁぁーっはっは!!!人は見た目ではないのだよ!!ガッハッハッ!!!

そんなで、ボロ切れ雑巾みたいな、いかにも密入国風なアジア人にも疑いの目を向けることのない、人を見た目で決めつけない心優しい出国審査官のおかげでついに出国ゲートを通過したおれ!!!

長い通路を走って走って!!!

よ、よかったぁぁ………。

ギリッギリ!!閉まり始めたゲートのシャッターのわずかな隙間にスライディングで

しやぁぁ!!

っと飛び入って、

「はぁ…はぁ…おねぇさん、忘れものだぜ?」

とキャビンアテンダントにウインクでもしたいところであったが。

たどり着いた時にやっと搭乗ゲートが開いたぐらいで、全然間に合ってた。

ものすごい形相で走ってきたおれはとても恥ずかしかった。

ついに乗り込んだアビアンカ航空の大型ジェット機は、予定どおり4時に、ゆっくりゆっくりとその巨体を進め出したかと思うと、ごぉぉぉ!というジェット音とともにスピードを上げて走り出し、ついには強い圧力とともに空へ浮かび上がった!!

うおお、行くのだなぁ…

ふと、そんなことを思う。

おれは南米へ行くのだ、と。

もともと旅の資金は貯めてて、バスキングで稼ぎながら世界を回る!ってスタイルでは無かったんだけれど、その全財産入ったキャッシュカードをアフリカ入国2時間で盗られて。

その瞬間は、もうだめだ!と思ってた。

おれの旅、終了ー!と。

まさかまさか、このあと南米までたどり着けるだなんて夢にも思っていなかった。

でも、なんとかアフリカを縦断し終え、路上で稼ぎながらイスラエル、ヨーロッパとまわってこれた。

ヨーロッパではしんどいことの方が断然多くて、楽しい思い出ばかりじゃない。

入って早々、ローマではギターを盗られ、ドイツではバックパックを盗られた。

路上がうまくいかなくて、からまわりして塞ぎがちになることも多かったし、テントで雨に打たれた夜なんか、まじで日本に帰りたかった。

でも、極限状態の中で見られる世界の美しさや、人との出会いがあった。

ローマの道端で寝てたおれにカフェオレをくれた売春婦のママ、バックパックを盗られたおれに寝袋をプレゼントしてくれたウラムの女の子、フラメンコに連れてってくれたペニーさんや家に泊めてくれたポルトガルのママ…

終わってみれば、たくさんの人たちにもらった愛が、まるで花束のように鮮やかにこの胸を満たしてる。

最後、スペインの世界の果てで過ごした夜の事、おれは一生忘れられないだろう。

最初は先進国の無関心さに心閉ざしがちになったりしたけれど、石畳の洒落たストリートで、音楽を愛する人たちの前で歌い続けた日々が、終わってみて初めて、ものすごく贅沢な時間だったように感じる。

嬉しかったのだ!

音楽に不可能がないということを、身をもって体現できた気がした。

ありがとう、ヨーロッパ!

愛してるぜ!!!!!!

長い長い8時間のフライト、飛行機は雲の上を西へ西へ、太陽を追いかけて浮かんで行く。

そのせいでずいぶんと長い夕暮れが窓の外から見えていたけれど、ついに太陽がその姿を遠く水平線の向こうに消そうとしている。

おてんばな太陽が去り際にこぼしたオレンジの宝石のように、光を浴びた雲がキラキラと輝いてた。

名残惜しそうに最後まで、強烈な光を見せつけながら、ついには空は真空の世界のような濃い青に包まれる。

まるで追いかけてた、大切な人を乗せた電車が走り去ったような、そんな刹那があった。

そんなところです。

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