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修道院のアーティストコミュニティでおれ氏、ぶっ飛ぶ話

2019年8月1日

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今日の旅の一曲!七尾旅人の “Rollin’ Rollin’ “!
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………………..

エボラ3日目!!

おとといこのエリアの中心都市である、ここエボラに到着したおれ!

到着した日は祝日だったため、ストリートは閑散としており、路上が出来なかった。

が、昨日もう一度ストリートに出てみると、歩行者専用道路に、ズラリと、とまではいかんがショップが軒を連ね、平日だがぼちぼち人も歩いていた!

大きなストリートでは無いが、これくらい人がいればやれる!

とにかく財布の中身がヤバいおれ。

やるしかねぇ!!と、午前中に1時間半、午後5時からもう一時間半と歌ってみた。

最後にもう一本!と思っていたんだけれど、午後7時を過ぎると、やっぱ田舎だからか?次々にショップはクローズしだして閑散としてしまう。

おまけに見た目にはただの不良中学生、みたいなモヒカンピアスの若者が、「お金が無いのです、恵んでください。」なんてダンボールボードを掲げておれの歌ってるすぐ近くで物乞いをしだす。

最初はボードを抱えて座ってるだけだったんだけれど、次第にエスカレートしていって、

「なぁくれよ!?お金が無いんだよ!」

「なんでダメなんだよ!?いいだろ!?」

なんて喧嘩腰に道行く人たちを通せんぼしながら声をかけだして、通行人は怪訝な目をして足早に通り過ぎていくだけ。

もちろんみんな、避けるようにおれたちの周りから遠ざかって歩く。

くそう!なんなんだよこいつは…

とか思っていると、モヒカンピアスに通せんぼされて苛立つ顔をしていたおばあちゃんが、くるりときびすを返しておれの前間でやってくると、

「ナイスソングよ!」

と、顔は全く笑わずに一ユーロコインを入れてくれる。

背後のモヒカンに見せつけるように。

それを見ていたモヒカン、もちろんこっちにやってきて、おばあちゃんに言う。

「なんでこいつにはやって、おれにはくれないんだよ!?」

「なにもせずにお金なんてもらえると思うんじゃ無いわよ!」

「うるせぇなぁばばぁ!!」

「うるさいのはあんたよ!!」

全部ポルトガル語だから予想だけれど、こんな事言いあってる。

おばあちゃんが去った後、

「なぁ、これだけ入ってるんだ!おれにもちょっとくれよ?なぁいいだろ!?」

なんておれのギターバッグを指差し、にたにたと笑う。

彼がいつも物乞いをやってる場所を借りて、遠い外国からやってきたおれは歌わせてもらってる。

場所代として、ちょっと渡してやるかな?

なんてちょっと考えるんだけれど…。

おばあちゃんの本当に伝えたかった事ってなんなんだ、って考えるんだ。

「ノー!おれもこれで食っていかなきゃいけ無いんだ!」

彼はつまらなそうな顔をして向こうに行った。

そんなで、昨日はそんな事もありゆっくり歌えず、それでも25ユーロほどのお金をゲットする事ができた!

なんとか今日も朝からしっかり稼いだるでぇぇ!とやって来たわけであるが。

一時間ほど歌ったころ!

「よう!」

と昨日のモヒカンピアスがやってくる!

ちくしょう!例によっておれのすぐそばで、半ば恐喝というか、たかりのような方法でお金をせびっている!

冷めた目で避けるように歩く人たち。

(そんな事をしたって敵を作るだけだ。

ちゃんと自分の技術で、人を幸せにした時初めてお金はもらえるんだよ!)

ポルトガル語が話せたなら、そう言って諭してやりたい。

結局その後、彼の他に向こうで物乞いをしていた太ったばあさんも便乗してやってきて、一緒になっておれの前で道行く人たちに声を駆け出して、辺りはカオス状態。

クソ野郎!人の邪魔ばかりしてお金をもらおうったって、そんな人生甘くねぇんだよ!

イライラして日本語でそうこぼして、でもおれのやり方が正しいかって言われると自信もなくて、彼らを救う事もできずにただ無関係を装って歌ってる自分も、本当は似たようなもののような気がしてきて、苦しくなった。

いろんな感情にまかれながら、ギターをしまった。

結果は15ユーロ。

市街地を後にして、マックでコーヒーを飲みながら、考える。

今日は金曜日。今夜はそれなりに盛り上がるだろうし、出来れば明日、土曜日まで街にいて、少しでも稼いでおきたい気持ちはある。

でも、どうせあいつらまた同じようにやってきて邪魔をするだろう。

今日みたいな雰囲気の中で歌うのはつらいしなぁ…

地図を見てみる。

ここから北に100キロほどの場所に、サンタレーンという街がある。

マックやショッピングモールもあるし、地図で見る限りはそこそこの大きさの町。路上も出来るかもしれん。

今からヒッチハイクを始めれば、運が良かったら夜にはたどり着けるんじゃないか…??

いこう!!行くしかねぇ!!

なにか、ストンと胸に落ちるものがあるのだ。

こういう時は思いついたが吉だ!

おれはバッグをまとめて、北へ向かう幹線道の入り口までトコトコ歩く。

時刻は午後四時!相変わらず眩しすぎる太陽に背を向けて、おれは親指を立ててみた!

ちくしょう!郊外の一本道である。みんなスピード出してるからつかまんねぇかな…

とか思いながら一時間、ついに!

「モンテモーまでなら行くけど、乗ってくかい?」

「うぉぉ、全然うれしいです!お願いします!」

乗せてくれたのは、イタリアからの移民だというおじさん。サンタレーンまでのちょうど中間に当たる街、モンテモーの実家に向かう途中なんだそうだが…

「君はギターをやるのか?」

バックシートに積ませてもらった、おれのギターを指差して尋ねる彼。

「そうだよ!ギターを弾きながら世界を旅しているのさ。」

「そうか。おれも昔はドラムをやっててね。ニューヨークでバンドをやってたんだ。」

「ニューヨークで!?すげぇ!!」

「君はなんでサンタレーンに行きたいんだ?サンタレーンはただの街だぜ?モンテモーにはね、僕らがプロデュースするモナストリーがあるんだけど、もし君が覗いてみたいなら、案内するぜ!」

「モナストリー?……は”修道院”か。プロデュース?なにの?」

「うーん、言葉で説明するのは難しいんだけれど、簡単に言ったら、古い建物を使って、いろんな表現の場にするコミュニティって感じかな。音楽だけじゃなく、様々なパフォーマンスをするアーティスト達が集まってるんだ。カナダ、スペイン、フランス…」

「おぉ、なんだか面白そう!!」

話を聞くと彼は、仲間と一緒に20年前、廃墟同然だった修道院を改修して、アーティスト達が集まって自由に創作活動をやったりライブをしたりできるスペースを作ったんだそう。

偶然今日の夜、そこで活動するアーティスト達のライブもあるそうで、ぜひ見てみないか、と誘ってくれる。

嬉しいお誘いなんだけれど。

一瞬、頭をよぎるのは自分で決めていた予定のこと。

今日中に都会のサンタレーンまで行って、明日、土曜日に路上ライブで稼ぎたい、そのためには、小さな街であるモンテモーは、出来れば素通りしたい…

なんて思うんだけれど…

イスラエル最後の夜のことをふと思い浮かべた。

音楽を聴いてくれていた地元の女の子が、ご飯に誘ってくれて、でもなんだか独りよがりな自分が出て、「用事があるからいけない」と言った。

後ですごく後悔した。

おれは何のために旅してんだよって。

こういう出会いのためだろ!?って。

「また今度」なんて観念、旅人にはないんだ!

「ぜひ!あなたがいいならぜひ見てみたいです!!」

「そうかそうか!もちろんだ!モンテモーという街はね…」

おじさんの語るモンテモーの歴史なんかを聞きながら、約30分一本道をぶっ飛ばして、モンテモーの街に入る!

ビルなんかない、商店やバーやレストランががいくらか並ぶだけの、小さな街。

車は白壁に囲まれた、古めかしい建物の横に付けられる。

「到着だ!どうぞ入って!」



風見鳥がくるくる回る塀の下のゲートをくぐると、吹き抜けのテラスが広がってて、その奥に、今夜の会場かな?ライブステージみたいなのが設置されてた。

ステージのスピーカーからは宇宙の呼吸の音のような不思議な音楽が流れてて、数人の若者たちが一本の巻きタバコを回しながら、目を閉じて聴き入ってる。

「みんな!紹介するよ、彼はユウキ!日本人で…僕も今あったばかりでよくは知らないんだけど、旅人さ!」

「あ、あの、ユウキです。日本人で旅人で…ユウキです。よろしくお願いします。」

「とにかく、ゆうきなのね、よろしく。」

彼らに軽く挨拶を済ませて、おじさんが敷地内をいろいろ案内してくれる。

壁沿いに幾つか部屋があって、それぞれドラムやアンプの置かれたライブスタジオや、いろんな工具やマシンが置かれたクリエイター室など、”表現”するためのあれやこれやが設備されてた。



このひし形は、前にぶら下がってる二本のワイヤーを使って作られたそう。毎回できあがる形は変わるらしい。不思議なマシンだ。

「それじゃ、僕は帰ることにするよ!」

「えっ!?今日のライブは見ないの?」

「家の用事があるものでね!あ、もし今日ここに泊まりたかったら、3ユーロで寝床と、シャワーは浴びられるよ!もしくは僕の家に来てもいいよ!ライブは見られないけど…どっちがいい?」

「おぉ、ありがたいけれど、彼らのパフォーマンスを見てみたいから、ここに泊まらせてもらうよ!ありがとう!」

ガッチリ握手して、別れた!素敵な出会いだ。ありがたい!

彼が帰ってしまって、いつものようにひとりぼっちのおれ。

うむ、せっかくやしここの住民たちと仲良くなりたいな!

と、アクティブがもさんでかかんにステージ前の彼らの方に向かってみるんだが…

「もうちょっとローあげて!聞こえないよ!」

「そこ!右右!」

さっきまでのまったりな雰囲気とは打って変わって、なんだかステージのサウンドチェックやらでみんな忙しそうである。

ここはおれも空気を読む大人。

仕方なく一人椅子に座り、いつもの一人空気積み木遊びなどして時間を潰すも、いたたまれなくなりあたりを散策。

すると、コンクリ壁のなにもない小さな部屋で、なにやら女の子2人が部屋の対角に立ち、なぜか大縄跳びを回しているのを見つける。

お互い無言で、真剣な眼差しで見つめ合いながら、腕で弧を描いて縄を回す。

部屋には縄がコンクリに跳ねる音だけが聞こえている。

ピシャリ!ピシャリ!…

な、なんかシュールな雰囲気…

おれの頭の上にはハテナ三千個とハエが30匹飛んでいた。

(なんで??誰も飛んでないのに彼女らこんな真剣に回してるの?…えっ!?まさかおれに見えないだけで誰か飛んでるのか!?!?透明人間!!?あの透明人間シリーズのロケ現場か!??モテナイ君が透明人間になって学校のマドンナにイタズラするやつ!!やばい!!え!?じゃ彼女らがこの後…き、きやぁぁ!!!)

おれはそのシュールな雰囲気に浸っているフリをしながら、突然彼女らの衣服がはだけて学校中が大パニックになるのをドキドキしながら待ちつつ、入り口でつっ立っていると…

「あ、あら、ボンディア!…あ、あなたもジョインしたいの?」

女の子の一人が、おれの異質な性癖が醸し出すオーラに気づき、声をかけてくる。

若干、だれ、このハエたくさん飛んでるアジアンは…?的な、彼女らの不審な目を感じて、おれ氏もパニクる。

「ボ、ボンディア!え、なに?と、飛べばいい!??」

「あ、と、飛びたいの?」

「え?な、縄持てばいい?」

「あ、ど、どっちでもいいわ!」

「あ、え、じゃぁ飛ぼうかな!」

「あ、と、飛ぶのね!うん!トライよ!」

わ、わけわかんねぇぇ!!!!!!!!!

彼女らがなぜ縄を回しているのか!?なににジョインするのか!?透明人間シリーズだとしたら撮影の邪魔にならないのか?もしやおれこのままAV男優デビューするのか!?

様々な疑問が浮かび、発売日翌日になぜか父親から「もう香川には帰ってくるんじゃない!」とメールが入るところまで危険予測をしたが…!!

うるせぇうるせぇ!飛べばいいんだろ!?おれは小学校の時運動神経抜群で縄跳びの達人と言われていたガンちゃんと出席番号順の時隣だったんだぞ!!おれをその縄に招いたことを後悔しても知らんからな!この世の終わりまで飛び続けてやるワァァァァ!!!!

ピシャ…

勢いよく飛び込んだおれは、抜群の運動神経の悪さで一回目で縄を足に絡めてこけた。

……………

数秒間の沈黙の後、

「あ、あはは!そ、それじゃぁ私たち練習に戻るわね…!」

と苦笑いする彼女ら。

へらへらしながらビビッドレッドの顔をして元の場所に戻る…!

うぎゃぁぁぁはずかしい!!!なにこれ!?え!?なにこれ!??おれただのやりたがりのでしゃばりみたいになっとるやん!彼女ら練習!?どいうこと!!?

もうわけわからんで発狂しながら、遠目に眺めていると、その後彼女たちは、お互い縄を持ってピンと張り、両手に絡ませて折りたたむように近ずいて行ったり、次は2メートルくらいのカットされた木材の端と端を口でくわえ、手を使わずに移動させて柱にかけていったり…

まぁこうやって書いてみても全くわからん謎の行動を、彼女は “練習” していた…!

ただ2つ分かったことは、彼女たちも今夜のステージでパフォーマンスをするパフォーマーであること、そしておれが超空気を読めない企画ものAV好きということだけだ。

す、すみませんでした…

静かにフェードアウトして逃げてきたおれ。

傷心気味でまたステージ横のベンチに戻ってきて、空気一人ジェンガなどやりながら、しかし徐々にここの雰囲気がつかめてくる。

どうやら今夜のパフォーマンスは、何組かのアーティストが出演するよう。

それぞれバンド形式で音楽をやる人もいれば、映像のショーを見せる人、さっきの彼女たちのような謎のパフォーマーもいて、それぞれがそのスタイルにあった部屋でリハーサルを行っているよう。

奥の、バンド部屋の方から、心地よいギターリフが聞こえてくる。

なんだかおれもギターを弾きたくなって、一人吹き抜けの空を見ながらポロポロ弾いていた。

すると、

「やぁ、君はご飯は食べたかい?」

さっき忙しそうにサウンドチェックをしていたおっちゃんが声をかけてくる。

「いや、まだです。この辺にスーパーとかあれば買いに行こうかな…」

「よかったら、ご飯を作りすぎてしまったんだ。一緒に食べよう!」

「え!ほんとですか!!」

おっちゃんはここの管理者らしい。

パスタとライスに卵が入ったような、洋風ソバ飯みたいなのをおれにもよそってくれる。

あ!そうだ!と思って、バックパックから赤ワインを取り出す。

エボラに行くとき乗せてもらったスキンヘッドのおっちゃんにプレゼントしてもらったワインだ。ワインオープナーがなくて開けられず、ずっと持ってきていたのだ。

テーブルクロスのひかれた庭のベンチに、プレートを並べワインを注ぐ。

「いただきます!!…う、うぎやぁぁうまぃぃぃいいい!!!」

久々の米、卵、なによりだれかと囲む食事が、飛び上がるくらいおいしい!

「君のワインも、これはすごく美味しい!これはきっとなかなかいいワインだね!?」

「前にお世話になった人にもらったんだ!彼の地元のワインらしい」

「へぇ!よく知った人だったんだろうね!」

おれはワインの良し悪しはよくわからないのだけど、きっと今日この瞬間開けるために送ってくれたものだったんだ。と、なにか運命を感じる。

スキンヘッドのおっちゃんに、改めてありがとうと心の中でつぶやく。

食事後もおっちゃんといろいろ話をした。ここの修道院の歴史のことや今のスタイルでの活動を始めたきっかけ、音楽の話や政治の話。

ワインも回っていい気分。

後からやってきた、音響のにいちゃん達も一緒になって、おっちゃんが巻いてくれた一本のタバコを回して、みんなで空を見上げた。

ふぅ、と空に向けて吐いた白い煙が、少し冷えた風に流されて、ゆっくりとゆらめきながら、消えてく。

午後8時の太陽はようやく赤みがかった柔らかな光で、修道院の十字架を優しく照らす。

まるで水の中にでもいるようにあたりは静かで、無音映画のように飛行機雲が音もなく伸びていく。

「いい場所ですね…音もなくて、光は柔らかで…まるでここだけ違う世界のようです。」

なんか感動して、つぶやいた。

おっちゃんたちがにこりとして、

「あぁ、ここはいいスピリットを持ってる。」

と言ってたのがなんか印象に残った。

見た目や聴覚だけじゃなくて、第六感、スピリットを感じられる場所か。この感覚、大切にしようと思った。

パフォーマンスのスタートは10時であった。

しかし、おれ最低!

さっきの一服の後、酔いに任せて、日の暮れかかるあたりの街をちょっと散歩したんだが、ワインの飲み過ぎか、超気持ち悪くなったおれ。

ふらふらと公園の茂みの中に入り、

ちょ、ちょっと横になろ…

と芝生の上に寝転がったのだったが…

はっ!

気づけば11時すぎ…

まだ冷めぬ酔いのまま、のろのろと修道院に戻ると、最後のパフォーマーがすでにライブを始めてた。

ステージにはスクリーンが設置され、深夜の幹線道沿いみたいなところを、袋を頭に被った男がひたすらゆっくり歩いていくだけの、これまた謎の映像が流れてる。

スピーカーからはうなりのような、音楽、というか、音。

ごぉぉおおおぉぉ…

と、怪しげなサウンドが延々とループしている。

ステージのスクリーン脇に座った1人の青年がミキサーみたいな機械をいじいじしていて、そこから作られている音なのだろう。

最初はインパクトが濃すぎて、戸惑ったが、心を鎮めて聴いていくうちに、ぐんぐんと別の世界に引きずられていく。

酔ってたのもあるんかもしれんが、すごい引力だ。

ごぉぉぉおおおおおお!!!!

拍子も音程も感じさせないそのうねり続ける轟音に、すごく原始的な、起源的なものを予感させる。

ドラムでリズムがついて、ギターサウンドやベースの低音が合わさり合う、そのもっと前の、まだ作曲者の中で曲のイメージとして生まれる前の、心を支配する音。

いや、あるいはもっと前、イメージがカラフルに輝いて脳内に降り注ぐ前の、でも爆発の予感がして、その時を静かに待つような、誕生前の宇宙の音。

スクリーンに映された映像はずっと変わらない。街灯がポツポツとついただけの深夜の道を男がゆっくり歩く。

画像は荒い。まるで夢の中のように、ざらざらとぼやけたりする。

時折車のライトが男の横を走る。

映像は無音なんだけれど、タイヤ音のように徐々に響き出す地鳴りのような低音が聞こえて、かと思えば、湿度でぼやけたエンジンの音のような、細かい粒が広がる。

不思議だ。音が形になるのだ。

ハッとして、映像から目を離して、あたりを見渡してみる。

かすかに聞こえる他のお客さんの息遣い、話し声、満天の星空の、振動なきオーケストラ。

全部が、それぞれの形として目に見える。

風の音は柔らかな波のような形、話し声は消波ブロックのように固く、ドスリ、ドスリと転がっては、砂になって溶ける。

スピーカーからの音楽は相変わらず、永遠に続く螺旋階段を下から眺めるような、気が遠くなるような形をしてて、一段一段に派手な原色の色がついてる。

不思議な感覚。

ふと、昼間の縄跳びの掛け声の、ワンツースリーの声なんかが脳内に、遠い遠い子供のころの記憶のように蘇って、水面に投げ打った石ころが立てる波紋のように、その音は二重、三重に広がっていったりする。

それらの、映像なのか音なのかわからないものは、一秒たりとも同じシーンにならない。

全てが斬新なストーリーで展開して、わっと驚かされるような形や、色をしておれに襲いかかってきて、すごいなぁ、なんて思った時には忘れてる。

あれ?どんな映像だったっけ?なんて。

音楽がゆっくりとフェードアウトして行って、映像が真っ暗になって、照明がつけられた。

かがやがやと話し声や笑い声が聞こえて、終演後の、元の空気に戻っていくんだけれど、おれはぺたんとお尻をついたまま、しばらく起き上がることができんかった。

変な世界にトリップさせられる、不思議な音楽だった。


ふわふわした頭のまま、体に力が入らんで、クラゲみたいな身体で二階の、マットが置かれただけの寝室に、寝袋を広げて倒れこんだ。

すぐに眠りについたはずなんだけど、それすらもよくわからないような、延々としたループ再生で、さっきの音楽は鳴り続けてた。

不思議な夜。

こういう奇跡にもっと、出会いたいな。

心からそんな風に思ったんだ。

そんなところです。

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