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【グラーツからヒッチハイク/オーストリア】中指を立てられて泣きながらヒッチハイクする話

2020年5月13日

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今日の旅の一曲!韻シストの “on and amp:on"!
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………………..

グラーツ5日目ぐらい。

朝、インター近くの茂みの奥から獣のようにのそのそと起き出してきたおれ!

手際よく片付け、徒歩5秒!!レッド突撃隊の出会って10秒で合体シリーズにも勝る速さで、ヒッチハイク開始である!!!

ふはははは!!!

お利口さんのおれは、今日こそはヒッチハイクを成功させてやるぞという気合いから、前日のキャンプを郊外のインター近くで行っていたのだ!!
おれは中学生のころからいつも部屋で秘密の本を読む時にも、部屋中に隠しカメラが無いかまでしっかりとチェックを行うほど用意周到な男だったのだ!!これぞできる旅人!ヒッチハイクの匠とはこのおれのことであるわ!!!

と、おれは順調な1日の滑りだしに、当時流行っていた素人ドッキリ番組の隠しカメラに見られているんじゃ無いかと気が気でなかった思春期時代など思い出しつつ、部屋の隅からティッシュ箱の中までしっかりと安全を確認した状態で勉強机の鍵戸から土手で拾ってきたあらぬ雑誌を取り出していたあの時のごとく、威風堂々と車道へ向けて親指を立てるのであった!

高々と掲げあげたボードに書き込んだ"ザルツブルク"の文字!

ここから200キロほど北に位置するオーストリア第3の都市である!

さぁ止まれ!革命をもたらしたまわんこの東の国よりの武者を、いざザルツブルクへと迎え入れるのじゃ!!!

そんなで、気分は討ち入り前の明智光秀(役・福山雅治)で盛り上がりながら一台一台におぞましいほど気合の入ったスマイルを送る!脳内BGMは(なぜか)マツケンサンバである!

しかし…!!!

びゅぅぅうん!!!

ブッブーーー!!!

ヒャァアハハ!!!

一時間半が経過するも…

全く止まらん…!!!

スピードを落とすことなく、跳ね飛ばす勢いでかけて行く車…ほとんどの人たちは無表情で目も合わせてくれ無い…

通り過ぎざまにたまに鳴らされるクラクションは、彼らは「がんばれー!」のつもりなのかもしれんが、音が大きすぎて「ヒィィィ!!」と、びっくりして泣きそうになる…

あ!!止まった!!

と思って駆け寄ったけれど、沿道に寄せたトラックの運ちゃんは、

「違う違う!電話するだけだ!」

とめんどくさそうに窓の向こうで、手で追い払うような仕草…。

あぁ…一台一台と車を見送る度に、黒ひげゲームで一本一本と針が刺されていくように、チクチク痛む…。

ちくしょう…やっぱりおれにはヒッチハイクは向いて無いのかな…?

うまくいかないとすぐに落ち込む泣き言マスターのおれは、いよいよ、

(はぁ…やっぱり、路上で歌って稼いだお金でバスに乗ったほうがいいんだ…そうなんだ、おれにはヒッチハイクなんて難しかったんだよ…)

などと、諦めモードで元気をなくしていると…

フォォォォ!!!

猛スピードでなんかやんちゃそうなクルマのにいちゃんが、バカにしたように叫びながら、中指を立てて走り去っていく…!!

もゔいや…

(もうやめよう…ヒッチハイクなんて、旅の達人しかやっちゃいけないんだよ…おれみたいなポンコツゴミ箱旅人は、おとなしくバスに乗るべきなんだ…そうだ…おれには無理なんだ…)

おれの心はいつものようにポッキリと折れていた。

(今イヤホンで聴いてる音楽が終わったら、荷物をまとめて街に戻ろう…)

そう泣き言を連ねていた、

その時!!

ブルルン…

「乗ってくかい?」

「えっ!!?ザ、ザルツブルク…?」

「イエス!カム!」

や、やったぁぁぁぁ!!!!

本当に、諦める直前だった!

社用車のおっちゃんが止まってくれる!!

つ、ついにここヨーロッパで、ヒッチハイク成功だ!!!

促されるままに荷物をトランクに入れさせてもらい、嬉しさと興奮とで涙目になりながら慌てて乗り込む!!

ルーマニア人で、出稼ぎにオーストリアにやってきているというおっちゃん。

英語はほとんどしゃべらなかったが、ジェスチャーで、

「暑くはないかい?」

「タバコ吸うかい?」

「音楽聴くかい?」

なんて、ニコニコと気を使ってくれる。

突然乗り込んできて、タダで乗せさせてもらってるって言うのに、まるでお客さんを招待したように、気にかけてくれるんだ。

なんでそんなに優しいの?なんて聞くと、

「ルーマニア、ノーマニー、ノープレイストラベル、バットグットピーポー!」

ガハハハ!と豪快に笑った。

ルーマニア、全く知らない国だけど、一回行ってみたくなった。

車はすごい速さで高速を抜けていき、30分ほど走ると、こっちの方が近道なんだ!と、下道に降りて山沿いの一本道をひた走った!

その景色が、美しすぎてまいる。



どこまでもどこまでも続く草原は眩しいくらいに緑色で、所々黄色や赤や、カラフルな花がふわふわと咲いていて、そよ風に揺れている。

その先には、これぞアルプスって感じの青い切り立つ山々が並んでて、頂上は雪がかってる。




所々に、柵がされた広大な土地で、なんの心配もなさそうに牛や馬がだらけきって寝てたりする。

その奥には、丸太で建てられたコテージ風の大きな家。この辺りの牧場主の家だろうか。この景色に抱かれて毎日を過ごせるというそれだけで、その暮らしがとても羨ましい。

まさに、映画の「サウンドオブザミュージック」そのものの美しさ!

あの、なんていったか、伸びやかなテーマソングでも口ずさんでみたくなったけれど、にいちゃんが気を利かせてかけてくれているルーマニアのちょいエロなダンスミュージックが流れてて、メロディを思い出せない。

まぁいいや、と思って、そのアップテンポなリズムに乗ってみるんだ!



2時間半ほどのドライブの末、山間を抜けたところに小さな街が広がってるのが見えた!

「ザルツブルク!ハハハ!」

にいちゃんが笑う!

ありがとうー!!と、嬉しくて何度も握手して、車を降りた!

ほんとに嬉しかった。めちゃ大げさだけれど、闇の中からにいちゃんがおれを救ってくれたような気さえする。

ありがとう!

降ろしてもらった住宅地あたりから20分くらい歩くと、中心に、絵に描いたような中世ヨーロッパの雰囲気の城壁がそびえ立つ、美しい街が広がった!!




おおお!ここがザルツブルクか!!!!

おれがここザルツブルクに行くことを決めた理由、それは、サッカー日本代表の南野が所属するチーム、FCザルツブルクがある、といういつもの薄~いネームバリューだけで来たのだけれど。

なんだここ!ものすごい歴史ある街って感じ!!

街自体、大きくはないし、高いビルもブランド街も見当たらないんだけれど、美しいアルプスの山々に囲まれて、まるでこのエリアだけ500年前とかからタイムスリップして来たような雰囲気が漂う!

市の中心を分つ川の流れはまったりと緩やかで、そのゆるさに促されるように温かな木漏れ日に照らされて上品なハットのおばあちゃんや観光客の親子連れが、ゆっくりと歩く。

よっしゃ!歌うぞ!歌うぞ!

と、張り切ってバックパックを担いだまま小さなメインストリートを闊歩する!

んー…けれど、本当に第3の都市とは思えないほど小さな街で、限られたスペースにたくさんのショップが立ち並んでて、やれそうな場所を見つけられない!

歩道だけの橋にはたくさんの人が歩いているんだけれど、いい場所にはすでにだれかがやっているのだ。

車道が通ってて少しうるさいんだけれど、市街地に続く大きい方の橋の上にギターを置いてみるが…

うーん、全然だめだ!

一時間ほど歌って、5ユーロぐらいしか入らない。

その後、川沿いのウォーキングコースのような所でも歌ってみる。


人はぽちぽち歩いてるけれど、こんなところで路上ライブするやつなんておらんのだろうな、みんな横目で冷めた視線を送って通り過ぎていくだけだ…

どんどんと、いつものように気持ちも落ち込んでしまう。

なんだろう、オーストリアに入って、一応生活していく分ぐらいには稼げてて、悪くないはずなんだけれど、なぜか心の底から焦ってしまう。

こんなんじゃだめだ…

なんて。

切羽詰まった状態の旅の中で、無意識に自分を追い詰めすぎてるんかな?

稼ぐ金額が、おれの旅の質とコネクトしてしまってるような…

今いくらだ!?いくらいってんだ!?

なんて、歌ってても焦燥感がどんどんと加速していくんだ…。

なんだかもんもんとしてしまって、一時間くらいつやってギターを置いた。ここでも5ユーロくらい。

正直、宿にさえ泊まらなければ、これで一日暮らしていける。

でも、アフリカなんかから来て、その気薄なレスポンスに物足りなさを感じてるのか?永遠のように感じてしまうこの孤独感を、何かで埋め合わせしたいのか?

一人ギターをしまいながらつぶやく。

「あぁ、おれはだめだ…。」

なんて。

どうしようもない影につきまとわれながら、もう今日は止めとくか。と、スーパーで60円のビールを二本と、パンとオイルサーディンを買う。

ものすごい喉が乾いてて、店を出て早速一本を開けて飲んだ。

軽くほろ酔いで、現実逃避にも似た束の間の穏やかな気分で、川沿いを歩く。

賑わってる歩道の橋の上をふらふら、歩くんだけれど…

む!!誰もやってない!?

多分この街のベストスポットとでもいうべき橋の上、しかしさっきまでやってたツインギターのおっちゃん達は居なくなっている!

え!?だれもやらんのかな!?

おれなんかが歌ってもええのかな!?

ベストスポットを前に、なんだか戸惑ってしまうんだけれと、ええわやったれ!!と、酔いに任せてもう一度ギターを取り出した!

一時間半ほど、暮れかかる空と川の流れの中、歌った!

チップは48ユーロ、約6000円!

お金も、たくさん入れてもらえて嬉しいんだけれど、少しハッとさせられた瞬間があった。

はねたリズムで適当に日本語で歌詞を作りながら歌って、ハーモニカを吹いていた時。

学生っぽい女の子がコインを入れに来てくれた。

アドリブなんで決まりきった進行も何もないので、ちょっとした思いつきでタンッ!と休符をいれて、「ダンケ!」と言って、間隔を合わせて頭打ちでまた曲を再開させた。

すると、緊張気味だった二人の表情がパッと明るくなって、

「ワオ!!!!」

なんて言って喜んでくれた。

嬉しかった。

音楽を演奏してるんじゃなくて、音楽のなかに潜り込んで、音として、言葉として生きているような絶対的感覚がある。

それを、だれかと共有できた気がしたんだ。

そうなんだよな。音楽を楽しむために俺はこの旅をしてるんだ。ただお金を稼ぐためじゃなくて。

頭ではわかってても、心でこうして実感できることは少ないから、この感覚、大事に心に留めておきたいなぁ、なんて思う。

ビールを飲んで、気分が良かったのもあるのかな。

普段、おれは歌う時は声が枯れたら嫌なのでお酒は飲まないんだけれど、すぐギチギチに考え込んで八方塞がりになってしまうおれみたいなやつは、一杯引っ掛けていくぐらいの、気楽さもたまには必要なのかもしれない。

怠惰に飲まれて妥協に慣れてしまわないようには、気をつけないといけないけれど。

音を鳴らして、自分の声で、知らない街の街角で歌う。

ただそれだけのことなのに、永遠のように自問自答は続いて、自分のことを大好きになったり、大嫌いになったりする。

ほんとにめんどくさいくらいに、音楽を愛しく思っているんだ。

日のくれた街を1時間ぐらい歩いて、郊外のインターチェンジ近くに誰もこないような草原を見つけて、テントを張った。

ビールを飲んで、なんとなくこの悶々とした気持ちを吐き出したくて、詩を書いて眠った。

“吹く風になびけずに、空色になじめずに
僕には生きること もう丸ごと 歌うことで

白色になりたくて、黒色になりたくて
高い靴はいたって靴ズレが痛むだけで

夢希望つめこんで 正しさのバスは行く
冷めた目の同級生にも先生にもごめんって吐いた

ただ僕でありたくて、でも殴られとなくて
へらへらと拭きとったぞうきんに染み込んでった

その痛みや 悔しさや なさけなさや
その全部 自分らしさだって

歌っていたいのだ。"

そんなところです。

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↑↑いつか、そんな必要なくエロ本を見られるような、平和な世界が来るといいなぁ…。