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【グラーツ/オーストリア】めんどくさい悪臭男とイケメン爽やか大学生の話

2020年5月13日

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今日の旅の一曲!A sunny day in Glasgow の “In love with useless “!
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グラーツ4日目ぐらい(適当)。

昨日、路上ライブもヒッチハイクにも大失敗し、ダメだおれはもうダメだ!とブログで嘆いていた真性かまってちゃんのおれ。

もう全て諦めたように郊外の森にテントを張り、買ってきた赤ワインを浴び、一時のインスタントな現実逃避と、そこからまた現実に戻っての「おれなにやってんだろ…」感を交互に繰り返し、生きた心地せぬまま朝が来る。

どうせ今日も雨なんだろ…とテントのジッパーを開けると…

む!晴れてる!!

しかし、ここで

「やったぁぁ!!晴れてるぞ!!路上だ!!頑張るぞぉぉ!!」

と張り切ると、また途中で雨が降ってきたり、街に出てみると祝日でお店どこもクローズでした!などなどの緊急事態の時にとてつもなく落ち込むおれ。

期待すると裏切られた時に倍つらくなるので、

「べ、別に晴れてるからって嬉しくないんだから。どうせ今日も大した事ないよ。あぁとりあえず街まで行ってみよ。とりあえずね。」

などと、いろいろ保険をかけてブツブツ言いながらテントを片付ける。

こうやって書いてみると、こんな事を考えたところで一体それがなんの保険であってどんな事故対応をしてくれるのか全くわからんが、とにかく"おれ"という生き物がひどくめんどくさいという事だけは確信を持って言える事である。

そんなで、なんとなくそわそわしながら街に向かうと、おおぉ!!青い空の下、どこも休日明けで張り切ってオープンしていて、メインストリートには通行人や若者達、カメラを抱えた旅行者達も出歩いている!


はやる胸を押さえながら、この間目をつけていたストリートの、路上ができそうな空きスペースを目指すんだけれど…

うぎゃぁぁ誰かもう先にやってる!

見ると、ラテン系の肌をした女の子が、マイナスイオン100リッターぐらい出しながら雰囲気ある歌声とギター一本だけで歌ってた!

素敵な声。

純粋にいい音楽だと思ったので、おれの中では1000円ぐらいの価値がある一ユーロコインを入れると、彼女は曲を止めて、

「あ、ありがとう。あなたも歌うの?」

「うん、場所を探しているんだ。」

「どこから来たの?」

「日本からだよ!世界を旅してるんだ。」

「そうなのね。この坂を行ったところに、お店のない空いたスペースがあるわ。あとはこの奥の橋の上。この場所も含めて、メインストリートは警察からのパーミッションが必要だから、やめておいたほうがいいかも…。」

と、ギターバッグの中のパーミッションの紙を指差しながら、笑顔でいろいろ教えてくれる。

優しいな、ツーリストバスカーが自分達の歌い続けている街に突然やってきても、こうやって親切にポイントまで教えてくれるだなんて。

多分おれみたいなビンボー旅人バスカーがよく訪れるんだろう、別れ際彼女は

「気持ちだけで嬉しいわ、そのワンユーロはあなたのために使って!旅で必要でしょ?」

なんて言ってくれる。

まぁ当然「あ、なら…!」なんてもう一度拾い上げる事なんてできず、ナイスソングだからいいんだ!なんてカッコつけてニコリと笑い、その場を去った。

去ったあとで、

おれ、たった一ユーロでなにカッコつけとんやきっしょー!

とか思ってまた

うぎやぁぁぁあ!!

となる。

そのあと、紹介された石畳みの坂の上のスペースを見に行ってみるも、ここも他の、一人でドラムにギターにフエになんでもやっちゃうおもしろバスカーさんが陣取ってて、歌えず。

その程度のこと、これくらいはよくある事なんだけれど、最近心がへこたれ気味である。トボトボといつものマックまでやってきてはコーヒーを飲みながら、

はぁ、やっぱメインストリートはパーミッションがないと出来ないんだ…

とか、

あんな素敵な歌を歌うバスカーさん達に混じって、得体も知れないおれなんかが…

とか、思考をめぐらしてはなんかどんとんと、黒い穴の奥に落ちていってしまうのである。

あぁ空はこんなに晴れているのに、結局おれはなにも出来ないんじゃないか…。

永久的閉塞感…

しかし!そんな事をもごもご考えるんだけれど、おれは単純なので、ほんの小さなきっかけで心がコロコロと変わる。

Wi-Fiをつなぐと、メッセージが入ってた。

インドで出会った、世界一周ハネムーン旅の、ももさんとしょうこさんとのグループ会話だ。

昨日、この気分の墜落について、キモオタかまってちゃんのおれはグチみたいに2人にこぼしてたんだけれど、それに対してしょうこさんからメッセージ。

「その旅してる意味を考える時間も、大切なものなんじゃないかな?」

「その悩む感覚は、旅してるからこそ出会えたものなんだよ」

という風に、おれの気持ちを読み解きながら書いてくれてた。

そんな急ぐ事ないぜ 明日はまだ来ない
インド洋の向こうでのんびりやってるはずさ

なんて、あの頃作ったおれの歌の歌詞もそえて。

たった一通のメッセージ、でも見守ってくれてるような、優しいメッセージに背中をトンと、叩かれたような気がした。

本当に単純で、悪い方向にも、いい方向にも豆腐メンタルである。

(そうだよな…間違ってなんてないんだよな…

こうやってあがいてる今にこそ、意味があるんだよな…!!)

なんてまた熱くなってきて、またバッグを背負った!

時刻は午後2時!

ここから、寒くなる6時くらいまでが勝負だ!

場所選びは難しい。メインストリートは止められる。かといって、脇道で、人通りが多くて、歌えるスペースがあって、住居がない場所…

条件を満たしてくれる場所はなかなか見つからなかったんだけれど、トラム沿いの、横断歩道の前。

あたりの店のBGMや車の音が少し騒がしいけれど、とりあえず、"なにもやらない"という選択だけは、今日は絶対したくなかったおれ。

とりあえずやってみよ!とギターを置いてみる。

ううううむ!!ショッピングストリートでもなんでもない、車通りもあって騒がしい場所である。みんななにも見えてません!と決め込んだように前を通り過ぎていく…。

30分くらいやってみたが、ちくしょう、やっぱ無理か、と諦めかけたその時。

奥で立ち止まって、見てくれてんのかタクシーでも待ってるだけなのかようわからんかった髭をたくわえた恰幅のいいおっちゃんがいたんだ。

しばらくするとトコトコと歩いてきては、なにやら折りたたんだ紙切れをニコニコしながらケースに入れる。

3センチ角くらいに小さくたたまれてて、なんだこれ?と、"???"を三万個ぐらい浮かばせながらとりあえず、ダンケシェン!と言う俺。

え?いやいや、なんか広告のビラかなんか入れられたんやろ……

え!

折りたたまれたそれを広げると、そこには10ユーロ札が2枚も…!!!

ひ、ヒェェェ初めて見た10ユーロ札!

驚きで心臓飛び出しながら、必死に押し戻してもう遠くまで去って行ってしまったおっちゃんの背中に、もう一度、ダンケシェーーン!と小声で呟いた。

やっぱり、動けばなにか起こるんだよ!やるぞ!次だ!

続けて、メインストリートから一本入った細道にて!

裏路地って感じで人通りは少ないけれど、石壁に音が響いて気持ちよく歌える。

あたりの店に迷惑かけないようボリュームは押さえながら、しかし、まったりと流れるように歌えた。

こうして気持ちが入ると、お客さんもたくさん立ち止まって見てくれる。

ベビーカーを押すお母さん、休憩中かな?レストランのロゴの入ったエプロンをつけたおねぇさん、旅行者っぽい、子供を肩車した若いお父さん。

みんな深呼吸するようにはたと立ち止まっては、柔らかなスマイルとともに1ユーロコインや2ユーロコインを入れてくれる。

うれしい!

一時間くらい歌った。そろそろ移動するか、とギターをおく!

20分くらい前から、隣の軒先に腰掛けて聴いてくれてる若者がいた。

「もう終わるの?」

と話しかけてきてくれる。

「そろそろ移動しようかなぁなんて思って。」

「そうなんだ。いい音楽だね。僕もギターを弾くんだ!良かったら一曲歌わせてくれない?」

「もちろん!」

「あ、これよかったら飲んでよ!」

彼の名前はバレンタインと言うらしい。

近くの大学に通っている大学生で、さっと冷たいミントティーなんか差し入れしてくれる爽やかイケメン好青年であった!

彼が歌うのを聴き、ありがたくそのミントティーをちゅうちゅうしながら、一服!

最後に前回もやった橋の上でも歌ってみることにして、立ち上がるんだが、

「よかったら付いて行っていいかい?音楽を聴くの大好きなんだ!」

と、彼も付いてきてくれる。

橋の上ではほとんど人通りもなく、ただ俺が大声あげて一人盛り上がってるだけのような状態であったが、彼は隣に座って、なにを語るでもなくずっと心地好さそうにきいてくれてて、うれしい。

30分くらいして、いよいよ人通りが皆無になったので、片付ける。

「もう終わるのかい?このあとなんか用事ある?」

静かに聴いてくれてた彼が立ち上がり、尋ねた。

「よかったら、音楽を聴かせてもらったお礼に、この街をいろいろ紹介させてよ!日本人がこの街で音楽をやってるのを見つけて、僕もうれしいんだ!」

「おぉ、それはいい!ん?日本好きなの?」

「うん、なぜなら僕のファザーは日本人だからさ。」

「えぇ!!そうなの!!??」

な、なんと!

ここに来るまでほとんど語ることはなかったのでかなり驚いたが、なんと彼のお父さんは日本人、しかもそのお父さん、オーストリアで一二を争うほど有名なここグラーツのオペラ座のオーケストラでバイオリン奏者を何年も務める有名な方なのだそう!

彼の名前もバレンタイン・長谷部と言うらしく、お母さんはカナダ人、生まれはここオーストリアというなんともインターナショナルなイケメン大学生であった!

しかも、な、なんと!

「フットボールで、ドイツでプレーしてる日本人にも、ハセベって選手いるよね?」

「あぁ、日本代表のキャプテンさ!」

「彼は僕のリラティブらしいんだ。」

「ははは!同じハセベだもんね!たしかにそれもありえる…

ええぇぇぇ!!!??マジで?」

「父親曰くね。僕は会ったことないけど。」

なんとお父さん方があの!日本代表長谷部誠選手と親戚関係にあるらしい!彼はさらっと言っていたけど、すごい家系だ…!!

そんなで、そんな彼に連れられて、午後7時のグラーツの公園にやってきたおれたち。

木々が生い茂り、小さな池がある森の中みたいな公園、その中心に木の温もりが優しい洒落たカフェがあった。

「オーストリアの人たちは心から森を愛してるんだ。だから最近、こういう自然の中のカフェが若い人達にも人気だよ」

オープンデッキのテーブルを見渡すと、自然派の服装やラスタヘアの若者、賢そうな大学生たちがのんびりと紅茶を飲んだり、巻きタバコをくわえあったりしてる。

気温の下がりだした森は少し冷えたけれど、森の木々を揺らす風の音が心地いい。

うむ、一人では絶対に見つけられんような素敵な場所に連れて来てもらえて嬉しい。

爽やかなミントティーを飲んだ。

彼はずっとオーストリアで育ったため日本語はしゃべらなかったけれど、音楽に浸ってた頃の物静かな雰囲気とは逆に、話し出すと大学生らしい興味津々な態度で話かけてくれ、いろいろ語った!

EUの経済の話や地球温暖化、オーストリアの歴史に難民問題と、日本人のおれが普通に暮らしていく分には全く知れなかったろうリアルな話をたくさんしてくれた。

中でも印象的だったのは難民問題についての話。

EUの中でも最大の受け入れ国であるドイツを目指してやって来るシリアやイラクからの難民。

オーストリアも、その移動ルート上にあるため、多くのアラブ人達が各街にやってきては、駅前などに無期限に滞在し、時にその生活苦から窃盗や物乞いを始めたりと問題を起こすそう。

人権の尊重と、それに対する反発にオーストリア国内も揺れている。

しかし、彼は言う。

「オーストリアは本当に裕福な国。去年、東欧を旅したんだけれど、それらの国はどこも、駅前にはたくさんのベガー達がいて、それを実感したんだ。同じEUの国の中でも、こんなに格差があって、僕たちはとても恵めれている国に住んでいる。それなら、恵めれている僕たちが、世界で最も悲惨な目にあっている人たちを助けないでどうする。難民を助けるのは、僕たちにとって当たり前の事だよ。」

すごいなぁと思った。

その、自己犠牲もいとわない道徳的観念にもそうだけど、単純に社会情勢に対して自分の意見を持ってしっかり語れるって言うのが。

自分が大学生だった頃を思い出してみて、その差に驚く。

それは日本という国が、そこまで深刻な問題を負ってない事の、裏返しかもしれんけれど。

そのあと、日本についてとても興味を持ってるという彼に質問されて、福島の問題や北朝鮮についても話をした。

彼はお父さんにも話を聞ける分、ある程度の認識はあったんだけれど、
よく、外国人と話していて日本について聞かれる時、

「フクシマは今どうなってるんだ!?」

とか、

「ヒロシマやナガサキじゃ今も木が生えないって本当か!?」

とか、過度なイメージを持って聞かれる事がある。

自国で経験した事がない分、放射性物資という目に見えない恐怖について、それこそ、北斗の拳レベルのとんでもないところまで想像してしまっている人もいるのだ。

マジで東京オリンピックなんてやって大丈夫なのか!?とか思っている人もいる。

日本人が、アフリカと言ったら貧しくて部族で、危ない!なんてイメージ持ってるようなもんで、実際にはほとんどのエリアでは、おれらは何の変化もなく普通に暮らしている。

日本人として、その恐ろしさについてはリアルな観点で説明しつつ、過度な解釈の誤解は解かないといけないなぁとか思う。

カフェを出たあと、教会の前で参加自由の謎の演奏会をやっているのに飛び入りしたり…

螺旋階段の美しい塔に登って

みんなやってるからって落書きすんなよユキちゃんみのりちゃん!と恥ずかしくなったり…

有名だという昔の大虐殺かなんかを描いた壁画を眺めて
反射しまくりでおれのカメラワークが猿以下だと気付いたり…

して、最後に、

「あ!父さんがちょうど今演奏をやってるんだ!もしかしたら入れるかもしれない!オペラ座へ行ってみよう!」

と、歩き出す彼!

「え!オペラ!?でもごめん、おれオペラ見るほどお金無いわ…」

「大丈夫だよ!父親のおかげで、オペラ座のスタッフとは顔見知りなんだ!」

という彼!

ど、どいうことー!

とか焦りながらとりあえずあとに続く!

警備員さんに

(なんだこのドブ川から拾ってきたサルの人形みたいな男は…)

という目でじとりと睨まれながら、有所正しいオペラ座のゲートをくぐると…

「友達連れてきたんだ!ちょっと通してよ!」

「あらあら坊ちゃん。どうぞどうぞ。」

ひ、ひぇぇ!!!顔パス(言葉は想像だが)!!

なんでも、彼のお父さんは何十年もここで演奏をしているベテランで、彼は子供の頃からこの会場によく遊びに来ていたのだそう。

そして!!!!


おおぉぉ!!!



な、なんてことだ!これがグラーツオペラ座のオーケストラか!!!そして猿以下のカメラワークながもさんにしては、素晴らしい写真…!!!

…そう、これはロビーの壁に飾られていた写真だ。

結局演奏中のホール内には、今日は客席が埋まってるということで入れなかったんだけれど、彼にこれまでの歴史についていろいろ展示されたブースを見せてもらったり、

なんと、他国の大統領なんかが訪れた際に使われる超ウルトラVIP席、その控え室や通路を見せてもらったり、なんとも興奮の止まらない、素敵な経験をさせてもらった!

宿は郊外のインターの近くだ、と言うと一番近いバスを調べて、バス停まで送ってくれた彼。

ほんとにありがとう!!と抱き合って、別れた。

薄暗くなっていく街を見送りながら、バスに揺られる。

今日1日を振り返ってみる。

やっぱりやれば何かが起こるのだ。

やる事を恐れちゃダメなんだ。

すぐ落ち込みやすいクズな心も抱え込んで、一歩一歩歩いてやるのだ。

宿とは言ったが、その郊外の森にテントを置いているのである。

明日朝起きたら、速攻でもう一度このインター前でヒッチハイクにチャレンジしようと思って。

やるぞやるぞ!!やれるとこまでやってやるんだ!!

暗くなってぐんと温度の下がりだした森で、急いでテントに潜り込む。

今日のチップは65ユーロ!

ありがたい!

そんなところです。

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