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【デリー/インド】混沌デリー到着の話

2020年2月22日

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ゴアを出発した長距離電車は29時間という天文学的な時間をかけてゆっくりと首都デリーを目指し、北上していた。

四等車両のスリーパーシート、その三段ベッド(という名の板)の一番上で、呆然と白い天井を眺めながらただ時がたつのを待つおれ。

窓も見えないシート、ただゆっくりと移動していく青い点をケータイのグーグル地図で眺めることだけが生きる楽しみとなっていることにふと気付き、生きるとはなんだろう?おれは何のために生まれてきたのだろうか?と繰りかえされる自問自答。

高尚な瞑想が巡り巡って、あぁかわいいなぁと鈴木ちなみのインスタグラムを恍惚の瞳で眺めていると、電車はゆっくりと速度を落としていった。

時刻は午後6時。
そう!予定通り1時間遅れで、この世の果てのように思われていた、混沌デリーについに到着したのである!!!

混沌。

デリーには、この言葉が実によく似合うのだ。


一歩駅を出れば今にも崩れそうな雑居ビルたちに無作為に掲げられたサインボード、行き交う人、車、バイク、馬車、トゥクトゥク、そして牛。

駅前の大交差点にごった返すそれらは全てがバラバラで、統一感のかけらも無い動きのままで、しかし絶妙なバランスでそれぞれの方向へアクセルを吹かす。あって無いような信号機の赤が寂しげに揺れる。

鳴り止むことの無いクラクションと商人たちの喧嘩の声、それを茶化す声。

道端には真っ黒に汚れた手を無表情に差しのばすおばあちゃん、おじいちゃん、泣くことも忘れてコンクリートの上にじかに寝かされている赤ちゃん、腕の無い人、足の無い人、そして彼らを邪険にはねのけながら旅行者に群がるトゥクトゥクドライバーは、本当は歩いて1分の大通りまで2キロはあるから200円で乗っていけと腕を掴む。

どこを歩いても人、人、人。溢れるゴミも、ぐちゃぐちゃの電線も、群がるカラスも何もかも、人の生活の動きの中で慌ただしく散らばって収集がつかない。

一秒たりともその怒号が、躍動が、そして立ち込めるアンモニア臭が消えることは無い。

もたつけば永遠に渡ることができ無い交差点のど真ん中で、土ぼこりに巻かれながら、野良犬だけがやけに落ち着いた、いやしかしなにか疲れた顔をしてる。

北京の2倍とも言われる汚染された空気を肺いっぱいに吸い込めば、むせ返るほどの人々の熱気と異国情緒を感じる。

うぉぉぉお来ちゃったよ!

おれは2年ぶりに、インドの首都デリーに帰ってきた!

客引きの親父に言われるがままにチェックインしたパハールガンジの路地裏の安宿で、夜中まで鳴り止ま無いクラクションを子守唄に、おれはいつにもなくぐっすりと眠った。

次の日!

値段が安かって前の旅の時にお世話になった日本人安宿のサンタナに引越しし、デリー駅の窓口で新しい電車チケットを買った。

バラナシへの寝台列車。450ルピーなり!
一泊するのにゲストハウスでも400ルピするので、一泊浮くと思えばかなり安い!

明後日には、前回の旅で二日間の入院生活を送った暗黒都市、バラナシ入りだ!

そこからネパール、ポカラへのバスが出ていると聞いた。
クリスマス過ぎには、この度の第一目的地、ネパールには入れる計算だ。

あぁしかしとにかく寒い!
ビビるほどデリーは寒い!!

南のゴアから来たのもあるけれど、アロハシャツでバカンス帰りの飛行機が知床半島に不時着してしまったような、そんな寒さだ。

なんとなくだけれど、ネパールではこの何倍もの寒さに凍えている人たちがいるのかなぁなんて思うと、ちょっとそわそわした。

よし!
早速歌おう!

夕方、歩いて1時間のインド門という、パリの凱旋門のぱちもんみたいな観光地にやってきた。

二年前にインドを訪れた時に、バンドマンのそう君という大学生と出会い、そう君のギターでここの公園で歌ったんだ。

その時、そう君が歌ったインドのバラードにうん10人という人だかりができて、凄かった。

インドの曲のレパートリーの無かったおれはカヤの外で、すごく羨ましかった。

そう、いつかここインド門で、路上ライブリベンジしたいなぁと、そんな風に思っていたのだ。

夕日に照らされて黄金色に色づく長方形の門。その下には無数の屋台やおもちゃ売り、写真を撮って売っているというデジカメを抱えた青年の勧誘がしつこい。

手頃な場所を見つけて、その横でスナックを売っていたお兄さんから30ルピーのお菓子を買う。
代わりに、ここで少し歌っていいか?と交渉。

にこやかに首を横に傾ける。
インドではイエス、が首を横に傾ける仕草なのだ。

ギターケースからギターを取り出す。

なんだなんだ??と人が集まってくる。

路上ボードを掲げるころには、10人くらいの人が集まってくれてた。

たくさんの人に囲まれて歌うヒリヒリしたライブ、バンガロール以来でちょっと緊張したけど、思いっきり1回目のストロークを鳴らす。

うん!スモックで靄がかった、しかし快晴の空に、音が伸びていく!

いいぞ!!

やるぜっ!!!

そんなところです。

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インド

Posted by gamoyuki