ペナン島のペナント
朝9時にクアラルンプールを出発したバスは、
パムオイル畑のジャングルを突っ切る高速道路を進む!!
向かう先はペナン島!!
昔、世界ふしぎ発見かなんかのテレビのクイズの景品で、「LOOK.JTBで行くペナン、コタキナバル8日間の旅をプレゼント!」とかよく言うてた、あのペナンである!
子供の頃は、あんなに毎回レギュラー出演している野々村真でもたどり着けない、世界の果ての秘境リゾートのような感覚で見てたけど、まさかのそのペナン島に行くのである!!
うーん、世界に行けないところなんて無いんだな。問題なのは行くか行かないか、足を踏み出すかどうか、それだけだったんだ。野々村真もスーパーひとしくん収集なんかにやっきになってないで、もしレギュラー出演が決まった頃からイカダかなにかに乗ってマレーシアを目指していれば、今頃ペナンどころか中米カリブ海、セントヴィンセント諸島くらいまで行けてるのではないか?だとしたらあの番組は、人の夢や希望を逆手にとって視聴率を上げようとする悪徳旅行代理店番組だなぁ
などと不毛なことを考えていると、バスは海を渡り出した!
LOOK.JTBがプレゼンするほどの極楽リゾートだ、さぞかし素晴らしい景色なのかと思いきや、
うーん、なんか思ったより海は汚い。
そして、到着!!!
乗り合いタクシーのおっさんに半ば強引に詰め込まれて、市街地へ!
適当な宿にチェックインして、街をギターをかついでまずはひたすら歩き回ってみた。
街は以外にデカくて、ビルの見える都市部と、宿のまわりは古い街並みが並ぶダウンタウンみたいな感じで別れてて、
なんだここ、超レトロな街やん!
古い建物をそのまま残しながら、温もりのある雑貨店とかが並んでて、街のいたるところにアート作品があって。
日本で言うたら岡山県倉敷の美観地区みたいな感じだな!
あのArtSchoolの木下理樹が岡山でのライブで、「僕は美観地区のあまりの美しさに三時間その場で立ち尽くした経験がある。この美しい街が僕は大好きだ。ずっとここにいたいくらいだ!」と力強く語った次の瞬間に照明スタッフのライトの照らし方にキレて「もう帰りますよ!?」と語ったことで有名な美観地区ですね。
そして、偶然通りかかった道で、なにやら壁に向かって人だかりが出来てる!
その先には
む!!
この絵、オーストラリアのタイ料理屋にも写真が使われてたやつや!!
ヤベェすげぇ有名なアートを偶然発見しちゃったよ。やったー!!
と無邪気に喜ぶフリをしてインスタの写真を撮るカップルを眺めては、くそ…!!おれはなぜこんなおしゃれスポットでもぼっちなんだ…!!と絶望してみたり、
夜になって無料開放の中国タカラヅカみたいな駆け出し役者たちの演劇を鑑賞したり。
粗削りな部分もあるけれど、みんな輝いてる。夢見る若者に拍手を。
たくさんネコを手なずけているホームレスに嫉妬して、彼が寝ているスキに戯れてみたり(もちろん猫と。ホームレスとでは無い。)、
してました。
うーん、いい場所あれば歌おうと、ギターを持って5時間ぐらい街を歩き倒したけど、素敵な場所なんやけど路上ライブをするにはなかなかつかみどころのない、難しい街だ。
というのもこの街には大通りがないので、人が一箇所に集まるところがないので場所を確保しづらい。
うーん、明日いいとこ見つかるかなぁ、とか思いながらホステルに戻ると、入口のベンチに、昼間のレセプションがギターを持って座っている。
その隣には、ふくよかな笑顔の素敵なお婆ちゃん。
ぼくがギターを持っているのを見て、カム!カム!シングトゥギャザー!と誘われたので、すかさず参加。
お婆ちゃんの名前はママロック。若い頃はシンガーとして飲み屋やレストランなどいろんなところで歌って暮らしてたそう。
僕が、みんな知ってるだろうとカントリーロードを引いて歌い出すと、ものすごい笑顔で、ハモりで参加してくれた。
そして、むかしの古い歌をレセプションのギターとともに歌ってくれた。
オペラ歌手の様な、芯のある美しい声で歌うおばぁちゃん。その顔は感情が高ぶるあまり泣き出しそうなほど表情が溢れ出していて、表現力が半端じゃない。一瞬にして、その歌の世界に引き込まれる。
おばぁちゃんが歌い終えると、道行く人たちは皆拍手を送り、隣の別のゲストハウスからアイルランド人の旅行者がいい歌だから聴かせてよ、とやって来たり。
みんな音楽が大好きなんだな。
と思うと嬉しかった。
それからみんなで、歌ってて、
僕が騒音に気をつけてちょっとボリュームを抑えてたりすると、もっと自信を持って歌いなさい、という。
10時過ぎてたので、日本人なら気を使うところだけれど、レセプションも歌え歌え!と言うので、感覚の違いなのかなぁと思い大きな声で一緒に歌わせてもらった。
周りの人たちは苦情を言うどころか遠くからも拍手をくれる。
ばぁちゃんは、
「私は時々歌ってると泣きそうになるの。それは悲しいからじゃ無くて、心の奥の本当の自分を歌で表現しているから。歌というものは常にそういうものよ。」
と話してくれてた。
適当に選んだ宿やったけど、素敵な夜になってよかった。
ところで、クアラルンプールから一瞬に旅をしているボルネオ島出身のアフェンディ。
かれが、夜8時のバスでペナンに到着する予定なんだけれど、0時を過ぎてもいまだに連絡がない。
まさか、事故!?事件!!??
昨日2人で行ったディナーのこれが最後の写真になるなんて、、、
いやいやそんなばかな!
とりあえずもう少し待ってみよう。
そんなとこです。
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