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『機嫌のデザイン』って本を読んで、目標とする理想のおじさん像が俺の中で確立した話

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

ナマステ!ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅を経験し、現在は東京で音楽活動中。
旅と音楽、その他好きな事だけを鼻息荒く語るよ!

老害にはなりたくないなぁ…

僕と同じ30代のおじさんファーストエディションな皆さんは、最近そんなことを感じるんじゃないでしょうか?

「いいから黙って俺の話を聞けー!」

などと横柄な態度をとる上司や、ニュースなどで話題になる年配の人たちの迷惑行為を見て、

若者のようにただ単純に「うざ…」とか思えない自分がおるんや。

30代も後半に入ると、そういうおじさんたちを見ては

「いつか自分もこんな風になってしまうのだろうか…?」

って、自らの未来への心配が勝ってくるのだ。

周囲に迷惑をかける老害にはなりたくない!しかし自分らしく人生は楽しんでいたいし…

一体どんなマインドセットで俺たちはじじいになっていけばいいのかっ!!!

そんな風に思い思い悩むことがしばしばあるんだけれど、最近いい本に出会った。

『機嫌のデザイン』って本がよかった。

それがこの本。その名も『機嫌のデザイン』

秋田道夫氏というデザイナーのおじさまの考え方や物事のとらえ方を、インタビュー形式で聴きだしたような内容の本になっているんだけれど。

まず、タイトルがいいなって思って手にとってみたのだ。

機嫌の良さって、勝手に降ってわいてくるものじゃなくて、自分で管理するもの、自分で作り出すものだと年々思うようになって来たのだけれど、

そういう大人のマナー的な息苦しい作業を、「デザイン」って言葉で軽やかに楽し気に表現しているなー、なんて思って。

なんかおしゃれな響きやん?おれも自分の機嫌をおしゃれにデザインできるおやじになろ!とか思ったわけよ。

そして内容が「おれの一流のやり方を教えたるぞお前ら聞けぇぇ!!」みたいなおじさんの話だと全く読み進められなかったと思うんだけれど、

この秋田氏の人柄がめちゃくちゃ、もう12時間煮込んだおでんのじゃがいもかってくらいに、

柔らかくてほくほくしてんのよ!!

逐一、インタビュアーの人に「この話、おもしろいですか…?」とか確認とったり、

断言は避けてあえて抽象的な言葉を使うことで、反対意見を排除しない話し方だったり、

とにかくいい意味で「そのへんにいる普通のおじさん」なのよ。全然すごい人に見えない。

でも、それはこれまでトップデザイナーとして世界で仕事してきた経験や自信からくる落ち着きであって、

「葬送のフリーレン」でフリーレンが魔力を抑えてあえて自分をしょぼいヤツに見せてるのと一緒で、

自分を信用し自己承認できているからこそ、よく見られたい!こう思われたい!っていう他者承認を必要としていないんやろうな。

とにかく、そういう飾らない話し方の人だからこそ、その考え方や思想がすっと、反骨精神なしに響いてくるのよね。

そして文章の書き方というか、氏の言葉選びの節々にアートを感じて、

読んでいて研ぎ澄まされる感覚になってくるのもまた、愛らしいのよ。

自分を柔らかく、気持ちをリッチに
人生のデザインは、濃い目の鉛筆でサラッと書く

『機嫌のデザイン』より引用

氏いわく、人生の満足度を保つコツは、気持ちの豊かさをいかに保つか?であり、

収入やステータス、世間体に縛られず、幸せとは何かを決めすぎずに、今の自分を受け入れることが大切だと話す。

そんな考えを、「自分を柔らかく、リッチで濃い目の鉛筆で描く人生」と形容して話してるんだけれど、じんわりと言葉の意味が心にしみ込んでくる感じがするんよね。

まるでダリの時計のように、とろんと自分自身のプライドや見栄が溶け出していくようなイメージが広がり、

くっきりと、しかしなめらかな書き心地で、消そうと思えば消える鉛筆で書いたラインのような、押しつけがましくない様子を感じる。

なんか、本を読んでいるんだけれど、その言葉のひとつひとつを小さな写真立てにでもかざって、

窓際に置いて飾っておきたいような、じっくり言葉に浸っていたい文章なんですよ。

人畜無害なおじさんになるために参考になったフレーズ

別にかっこいいイケおじにならなくていいんや。

宮沢賢治の小説のように、誰からも過度に期待されず期待せず、しかし自分の美しさをちゃんと持ってて、しかしそれを強欲に見せびらかしたりなんかしない。自分で自分を嫌いにならなければ、それでいい。

そんな、秋の風に吹かれる枯れたススキの穂のような、その辺に適当に生えてる人畜無害なおじさんに僕はなりたい。

この本には、そういうおじさんになるために必要そうなフレーズがたくさんちりばめられてた。

印象に残ってるものを、何個か紹介しておこう。

「出かける時にはユーモアと機嫌のよさをポケットに」

『機嫌のデザイン』より引用

紳士がハンカチとスカーフを内ポケットに忍ばせるように、

さりげなくいつでも忘れず取り出せるように、心のポケットにユーモアと機嫌の良さを入れておくのね。

おしゃれで颯爽としててすごく好きな言葉。

よくいうんですよ。「愛用すれども、愛着せず」と。 たしかに愛でることはよいことかもしれません。しかしそこには「愛着=執着」という図式があって相手に見返りを求めたり、依存へとつながったりしますよね。「これでないとダメ」と執着するのは、あまり健やかではありません。

『機嫌のデザイン』より引用

人やモノを大切に。しかし、そこに執着してはならない。

常に自分を満たす原動力の根本は、自分自身の中に持っていなければならない。

それがないと、その人がいないと機嫌を損ねてしまうようなものはなるべく自分から遠ざける。

何も持っていない、簡素でそのままの自分自身で、自分を満たせるようにありたいものだ。

そして、モノに執着してしまうことをただ「それはダメです。」っていうんじゃなくて、

「あまり健やかではありません。」と表現するのがすごく好き。

言い方ひとつで、気遣いを感じるというか、言葉に体温を感じるのだ。

イメージとしては、「言葉を〝七〇㎝の高さ〟に置く」という感じです。 投げつけるのではなく、そっと置く。相手が受け取りたかったら、すっと受け取れるような。そんなイメージで言葉を発したいと思っています。

『機嫌のデザイン』より引用

一読すると「どういう意味?」ってなるけど、一度その、言葉を相手のそばに置くイメージをしてみると、

ずっと脳内から離れない、そんな不思議な表現だと思う。

70センチというのは人の腰の高さに近い高さで、インテリアデザインなどで用いられる基準なのだそう。

受け取り手にやさしく、しかしそれでも手に取れ!と強要するでもないさりげなさ。

誰かと会話する際に心にとめておきたい言葉だなぁと思った。

自信というのは浮くためでなく流されないための重りです。

『機嫌のデザイン』より引用

年を取ってどんどん社会的に認められるようになった時に、気を付けておきたい考え方だ。

舞い上がらずうぬぼれず、かといって誰かに攻撃されたときに「いやいや自分は自分なんで」と自己承認してあげられる程度の心のゆとり。

そういう風に、自信ってものを扱っていきたいなぁと思った。

黄金比によって精緻につくられたものであっても、見る角度によってはその美しさが変わってしまう可能性もあります。逆にいえば美しく見える角度を探り当てることが大切かなと思います。自ら美しさを「見に行く」わけです。

『機嫌のデザイン』より引用

「自ら美しさを見に行く」姿勢って、人生を楽しむうえですごく大事な癖だと思う。

結局物事に対して心を動かされたり楽しんだりするのは、自分の心あってこそであり、

どうせならその辺の石ころの、なんてことない模様の一つにも「なんて珍しい石なんだ!」といちいち感動して暮らせたなら愉快だ。

見えるものすべてに恋をして、一切を没愛して、そういうものに囲まれて年を取る。

一番美しく見えるように、一番楽しめるように、好きに世界を切り取って勝手に感動して。

そんな風に生きていけたら幸せだと思う。

まとめ

なんかこう、書きたかったこと伝えたかったことをただただぶぅわぁぁ!!っと、

70センチの高さに置くどころか誰の手にも届かない太平洋の先にフルスイングするような書き方で紹介してしまいましたが、いかがでしたでしょうか(笑)

自己啓発書でもない、ノウハウやライフハック系でもない、独特なスタイルの本だったんだけれど、

読み終えたときにすっと背筋を伸ばして視野を広くさせられるような、そんな内容だった。

なんか毎日つまんねーなとか、なんか満たされないなーとかって人はぜひ読んでみてほしい。

とらえ方ひとつで、自分を愉快に機嫌よく出来るんだなって思えるはず。



そんなところです。



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