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上野駅で路上ライブ / 2020.3.11の話【路上ライブな休日】

2021年3月1日

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気温は20度まで上がったらしい。

コートは羽織らずに家を出た。

最寄駅に行くまでは生暖かい風に包まれた。

春が来たんだ。

そうか、今日で東日本大震災から9年か。

あの時は大学卒業前に最後に地元の友達と屋久島に滞在していた。

屋久島まで津波が来るってなって、船が欠航になって一泊滞在が伸びたんだよな。

あの時はこんなに大変な惨事になるなんて思ってもなくて、泊まっていたロッジの旅人ノートに滞在が伸びたぜー!などとテンション高めに書いてしまって、あとで不謹慎だったな、と反省した。

ネットの電波も悪くて、情報も何も知らずに朝になって、テレビを付けたら大変な事になってたんだ。

そんな思い出を少し思い返しながら。

18時、上野駅。

コロナの影響かいつもの外国人観光客の団体は皆無。

みんなマスクの内側にどんな感情をひた隠しているのか、少し気になった。

ケータイの液晶パネルが壊れて、それを治すためにやって来たのだけど、ついでにギターも持って来た。

待ち時間に、駅の近くに座って、歌った。

やっぱ歌ってる時が一番、心が休まる。

歌いだすまでは、怒られるんじゃないか、止められるんじゃないかと不安になって、あたりを歩く人全員が俺を嫌って睨んでいるように感じてしまうのだけれど。

じゃらんとGコードを鳴らせば、全部どうでもよくなれる。

おれは歌うのがすきだし、こんな具合に、道端に座りこんで熱苦しい言葉を使ってあがいているのが俺らしいな、と思った。

卒業という自分の曲をやった。春になったらいつも歌う歌。中学時代の思い出の歌。もたれかかって聴いてくれていたお兄さんが500円入れてくれた。ありがとう。なんか届いていたら嬉しいな。

最近、悶々とした気持ちになることが多くて。

寒くて家にこもりがちな冬は、こうなるからあまり好きじゃないのだ。

特に誰かが聞いてくれる訳でもないのだけれど、こうして声を上げて歌ったら、久々に気持ちが楽になった。

路上ライブは俺にとって心の解熱剤みたいなもんなのかな。

これから暖かくなったら、本格始動だな。

ケータイを受け取って、帰る。

今日のチップは500円。ありがとう。

そんなところです。



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