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荒野の先に見えた太平洋と、冷えたコーラの暖かさの話

2019年8月1日

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今日の旅の一曲!shingo02の “sunday AM"!
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生きて日本行き飛行機の出発するコロンビアはボコダまで、一ヶ月後までにたどり着かないといけないおれは、背水の陣で、チリに出稼ぎにやってきていた。

最初の街、砂漠のオアシスの街カラマで2日間滞在したおれ。

1日3000円ほど稼げたが、ヨーロッパ並みの宿代と食費、そしてバスのチケットを買うと全く貯金は出来なかった。

この日は、そんなで泣く泣く買ったバスチケットで、一気にアンデス山脈を駆け下りた海岸線の都市、アントファガスタまで向かうことに決めたのだ!

「ハーイ、ドゥーユースピーク、イングリッシ…

「ノーッ!!¥;&;)/&:);@;@@;@?);@;)&:&@:@!????」

いつものように英語はまったく話せない(というか話す気もない)チケットセンターのお姉さんにすごい勢いでスペイン語でまくしたてられて焦ったおれ。

単細胞生物レベルのスペイン語スキルと、グラミー賞候補も噂されるほどの迫真のボディランゲージジェスチャーを駆使して…

なんとか!午後12時発のバスを購入!

いや、ほんとのほんとに、南米では英語話す人、全然!まったく!おらん。

日本でスペイン語話す人を探すぐらいの感覚!

まぁ、南米はブラジル以外、どこの国の人もスペイン語を母国語としてるし、ヨーロッパからの旅行者でも結構スペイン語話す人が多い。

マジで彼らの感覚では、スペイン語こそ世界共通語であって、

「英語?あぁ、アメリカ人が話すやつね。え、なんで私たちが英語なんか話さないといけないの?バカなの?」

という認識である。

アフリカの、アラブ圏で散々、スーダンやエジプトの人は英語喋ってくれないぃぃ!!とか嘆いてたおれであるが、

いや、今思えばまだ数字とかハウマッチとかくらいはニュアンスで理解してくれてただけ、良かったな…。

そう考えると逆に、第二外国語である英語をみんな最低限話せるインドとか、フィリピンとか、イスラエルとか、ほんとに凄すぎるな。

頭良さすぎだろ。

まぁまず、英語が第一言語だなんて思ってる日本人の感覚が、ここでは場違いなんであって。

世界が変わると価値観もここまで変わると思うと面白い。

言葉の壁と、認識の違いは、南米来て一番感じてる事だなぁ。

こういう、価値観の違いを、どんどん感じて、自分の中で噛み砕いて、尊重して考えられる人になりたいなぁなんて思うのだ。

そんなことを考えるふりをしながら、バス停でおれらと一緒にバスを待っているのであろう犬の写真をブログにあげたりして、女の子に

ゆうきくん、わんちゃん好きなんだ!優しいんだねっ!

とかコメントしてもらおうと企んでいたおれであったが…。

んーー…遅い!

なにやら、出発時間の12時を10分過ぎても、20分過ぎても、バスはやってこない。

30分過ぎる頃には、同じバスを待つ地元の人たちも、さすがに焦った顔してキョロキョロ辺りを見渡してる。

「¥;@4@4&:)/)&@@@!!」

突然、さっきのチケットセンターのお姉さんが、困った事になったわ…。みたいな顔をして出てきて、辺りの乗客たちにおおきな声で、なにか説明してる。

それを聞いた乗客のみんな、慌てて荷物をまとめて、バスセンターを後にしだす。

…へ?

説明はもちろんスペイン語。なにが起こったのか、みんななにを聞かされたのか、なんのために生まれてなにをして喜ぶのか、まったく、わからんおれ。

1人豪雨に撃たれたアンパンマンみたいな顔をして青ざめて突っ立っていると、

「こらぼうや!何してんだい!急いで行くよ!!」

みたいな事を言って、乗客の中の、二人組のおばちゃんが手招きして呼んでる。

「え?なに?バス停の場所チェンジになったの?」

英語で尋ねるも、もちろん通じるわけもなく。

とにかく、大きなスーツケースを引く、ヒョウ柄パンツにギラギラのサングラスで決めた、"大阪のおばちゃん選手権2016″チリ代表みたいな、二人組のおばちゃんの後に続く。

しばらく歩いた。

途中、工事中で地面がでこぼこの場所があって、おばちゃんの1人のスーツケースが、地面にめり込んで引けなくなって。

「あっちゃー!あたしゃもうだめだわ!あんたたちだけでも先に行きなさい!私は置いて!ほら!行きなさい!」

とジェスチャーしてくるのを

「おばちゃん!!諦めちゃだめだ!Wカップに行くんだろ!?このヒョウ柄に虎のマフラーで、道頓堀でアメちゃん配るって夢、忘れたのかよ!!?行こう!これくらい、おれが持つよ!」

とおれがBPM80のたくましい肉体で担ぎ上げて運んであげると、

「あら、あんた、いい男じゃないの。私が若かったら、ミナミのディスコ、一晩くらい付き合ってやっても良かったわよ。」

と、にこりと笑ってウインクをくれて。

それ以降なんだか変な一体感が生まれ、まるでダンジョンを進むドラクエのパーティのように、でこぼこの工事現場を抜け、大きな交差点を抜け、北へ向かう幹線道に出たかと思うとそこでタクシーを捕まえ、15分走った郊外のバス停で、降ろされたおれたち。

バス停にはチケットの行き先、"アントファガスタ"の名前が書かれた大型バスが止まってて、慌てて俺たちが乗り込むと、瞬時にプシューー!と息を吐いて、なにごともなかったように出発した。

はぁ…はぁ…間に合って良かった…

とおばちゃん達と見つめ合って笑ったけれど。

なんでバスの出発場所急にチェンジしたん?

タクシー代とかも出るわけないし…。(まぁ、おばちゃんと割れたから200円くらいのもんやったけど。)

頭の上に6億個のハテナとフケを乗せて、おれはバスに揺られた。

お、おおおお海だっ!!!!!

バスはひたすらの砂と岩の荒れた砂漠の景色を見せること3時間!

その砂丘の隙間から突如、どこまでも伸びる青い青い太平洋が見えて、その海沿いに街が広がりだした!

久々に、高いビルや大きなスーパーマーケットなんかみた!

おばちゃん達に手を振って別れたあと、街をぐるぐる歩くんだけれど。

だめだ…宿が見つからん…!!

なにやらアントファガスタは観光地でもなんでもないただの都会のようで、そういうツーリスティックな安宿なんか全然なくて、ビジネスパーソン向けのゲロ出そうなほど高いホテルしか無いのだ。

そんなで、うろうろ、安宿を探し求めて歩くんだけど。

これまでウユニやラパスや、3500メートル以上の高地で滞在していたため、毎日めちゃくちゃ寒かったんだけれど、ここ海沿いのアントファガスタはもちろんほぼ海抜0メートル。

今南米は冬ではあるが、それでもさんさんと照りつける太陽に、歩くたびに汗がにじみ出る。

ふらふらになりながら、3時間ぐらい。

やっと、地元の商店のおっちゃんに教えてもらったホテルで、なんとか1万ペソ、約2000円の部屋を見つける。

部屋に入って、ペタンとベッドに倒れこむ。

あぁ、身体中が火照って、目の前がぼんやりとにじむ…

な、なんか関節も痛いし、力が入んない…

だめだ、風邪ひいた…。

おれはだめなのだ。こういう、温度差のある移動のあととか、標高とか。

なにか環境の変化があるとすぐに体調をぶっ壊す軟弱虚弱体質のおれ。

しかも、自分で"風邪ひいた"と認識してしまうと、どんどん大げさな気分になってきてしまう。

(はぁ…はぁ…どんどんと体が蝕まれていく…おでこが!!おでこが熱い!!おでんみたい!!や、やばい、きっと熱があるぞ…!!90度くらいあるんじゃ無いか!!?ちょ、直角じゃないか…!!ぶ、分度器!!分度器を誰か!!きゅ、救急車~!………)

朦朧とした頭でわけのわからんことを考えながら、おれはベッドに横たわっていた。

いつもなら、完全にこのまま死人のように眠って、体調回復に努める次第であるが…。

ちくしょう…!!歌わなきゃ…!!

今のおれはギリギリの生活。1日でも歌わない日が出来ると、次の日の宿は無い、それくらいの気合いでチリにやってきた。

まぁ正味、無くなっても250ドル残されてる米ドルをさらに両替すりゃいいんだけれど、稼ぐために来たのに、物価の高いチリで消費だけしてしまうのはなんだかものすごく悔しい!

うおぉ…なんとしても歌うんだ!生きて日本までたどり着くのでござる…!!!!

大げさな大志を抱いて、重い体を起こし、関節痛のする肩にギターバッグを掛けたおれ!街へと繰り出した!!

この日は日曜日の夕方。街の多くの商店はお休みなのか、扉が閉められてる。

メインのホコ天通りは人通りも少なくて、こりゃ歌えんかな…と諦めかけたが!

なにやら、中心街の先におおきなショッピングモールがあって。

どうやらそのモールは日曜日でも営業しているらしく、そことバス停をつなぐ車道沿いの細い通りを、ひっきりなしにモールの買い物袋を下げた人たちが歩いてる!!

その通り自体は商店街になってるわけでもなければ、車通りも多くて、とてもじゃないが路上ライブ向けとは言い難いんだが…

他探したって、今日は日曜日。こ、ここしかねぇよ!!!!やってやる!!やってやるぞ!!!!

ふらふらになりながら2時間。途中から、立ってるのもしんどくなって、地べたにあぐらをかいて、ギターをかき鳴らした!

冷や汗みたいな、変な汗にまみれて、しかしやり切ったって変な達成感を感じながらギターをしまった。

車の騒音がすごくて、のんびり歌えたもんでもなかったが、日曜日の夜の、幸せそうな家族の姿や、手を繋ぎ歩くカップルがはたと立ち止まっては、ポッケからコインを取り出して、投げてくれた!

結果は9000ペソ、約1800円。宿代には届かんかったけど、まぁ、やらんかったよりいいや。

日が暮れて急に冷えだした、都会の隙間をうろうろ歩く。

道に迷った…どこだここ。

ギターバッグが疲れた肩に食い込んで、関節痛がズキズキ染みる。

昼間の明るい市街地の雰囲気とは打って変わって、夜は人通りも少なくて、薄暗い。

ちょっと角を曲がればナイフ持った男が出てきそうな、ちょっと危なそうな感じもしないでも無い。

さっさと帰らんと!!と、うなだれる体をしばきあげる気持ちで、一分間に3万回くらい後ろを振り返りながら、やっと宿の通りまで帰ってきたおれ。

ホッとして、なんか買うかと角の商店に入った。

疲れ切ってて、甘いものを摂取したかったおれ。

コーラを買おうか迷いながら、ペットボトルの陳列された、冷蔵庫の前に突っ立って死人のような顔で悩んでいると。

「ほれ!」

隣に立ってた別のお客のおっちゃんが、なんでだろ?500ペソ硬貨(100円)を渡してくる。

「え?」

あまりにも唐突で、手のひらに落とされた500ペソ硬貨を眺めながら固まるおれ。

「奢ってやるよ!」

みたいな笑顔で、ウインクしてグッと親指を立てて、おっちゃんは店を出て行った。

優しい…。優しいし嬉しいけど、正味、

情けねぇ…。

と思った。

多分、絶望したような顔でコーラを眺めるおれを見て、こいつ、コーラを買うお金も無いんだなぁ。と思わせちゃったんやろな。

はぁ…もっといい歌歌って、稼ごう。

そして、次は俺が誰かにコーラ、奢ってやるぞ。

とにかくおっちゃん、ありがとう。

ホステルに帰って、優しさのコーラをプシュッと開けて、椅子に腰掛けると、長かった1日にようやくカーテンを敷いた気持ちになる。

途端に体中がコンクリートで固められたみたいに重くなって、ベッドになだれ込んだ。

ハードな1日。

でも、これもおれがおれらしく生きるために、必要な1ページだったのさ。

朦朧としながら眠りに落ちていく中で、そんな事を自分に言い聞かせながら、夜は更けていった。

そんなところです。

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チリ

Posted by gamoyuki