アルーシャでタンザニア最後の路上ライブとナイロビも最恐都市らしい話
タンザニア・アルーシャ発、ケニア、ナイロビ行き。
朝10時出発のバスを待ちながら、おれは震えていた。
それは会いたくて会いたくて震えているわけでも変なおもちゃを仕込まれて撮影に挑んでいるわけでもない。
ナイロビだ!!!!
ナイロビである!!!
このバスに、乗ってしまうと、ナイロビにいっちまう!!!!!!!!
どどどどどうするおれ!本当に行くのかっ!???
え?なんでそんなに行くのを躊躇しているの?遅漏なの?とちなみちゃんとそういう雰囲気の時に聞かれたらまずいので説明しておこう。
・・きっかけは、キリマンジャロの麓町、モシにいる時だった。
久々に、なんかバックパッカーっぽい安宿を見つけて泊まってみると、本棚に見慣れたカバーの本が!!!!
こ!これは!!!!
地球の歩き方じゃないか!!!!!!
地球の歩き方、それはバックパッカーのバイブル、加藤鷹にとってのバイブのような、これを読まずして旅には出られないというバックパッカー御用達の伝説的なガイドブックである!
おおおおお!!!こんなところでお目にかかるとは!!
ガイドブックもなんも持っていないおれにとって、また友達のいないおれにとってこれはここからの旅の貴重な情報源となる!
そしてなにより、この宿に昔日本人が泊まっていたんだな、という事実が、アフリカ大陸に入って日本人はおろか外国人観光客にほとんど会っていないおれを勇気付けさせた!
あれだ、雰囲気的には、山で遭難してて、もうだめだ、食料も水もつきそうだー、ってときに、遠くでのろしが上がってて、そののろしの揺れから暗号を読み解くと、
「ご飯作って待ってるよ!ちなみより♡」
だった時みたいな気分だ!
まぁ地球の歩き方があったからといっておれに友達ができる訳でもなければ、その発行年は6年前であり、当時、ぼうけん女子のおしゃれ一人旅で日本を飛び出したのであろうこの本の持ち主の女のコも、エジプトのダハブあたりでそれっぽい風貌の知識だけは豊富なベテランヤリチン旅男にそそのかされて、
「私、あなたがいれば地球の歩き方なんていらない!あなたの歩く道がわたしの歩く道だからっ!わたしを、この世界のどこまででも連れてってね!」
なんて言って、
「おれもさ、じゃあその歩き方、もうゲストハウスに置いていきなよ。きっとカップル2人旅を妬んでブログでネチネチ妄想してるような友達のいないキモ男のためにもなるよ。」
「うん!そうする!旅男くん、優しいんだからっ!」
「ははは!そうかな?きっとキモ男のことだから、うわぁ女のコの匂いがする~なんて言って喜ぶよ!よし、じゃあ、先にシャワー浴びてきなよ。」
「うんっ!待っててね!」
……とかゲロうらやまな過程を経て、今は2人仲良く何処かをまわってるんだろうが。
うるせぇ関係ねぇよおれに必要なのは情報だけだおれは本脳とは無縁の現地密着型旅人なんだよこのやろぉくやしくなんてねぇぞぉぉ!!!!
おれは無我夢中でページをめくった!
オラオラオラオラ!!!!
次の町の治安は!?物価は!??パンツの色は!??!??
教えてくれ!!教えてくれよっ!!ウワァぁ女の子の匂いがするっっぅ!!!!
しかし、そんな妄想気分もつかの間、次いく国ケニアの首都ナイロビの項目を眺めているときだった。
えぇーと、ナイロビは、、と。・・
✴︎ナイロビでは、用事もないのに出歩くことは極力避けたい。この町では、昼夜問わず殺人は決して稀なことでは無い。
✴︎ダウンタウンにはどんな事情があっても決して近寄ってはならない。いつどこで強盗・窃盗が起こっても全く不思議では無い。
✴︎比較的治安の安定しているビジネス街でも、一人きりで出歩くことは避けたい。短い距離であっても、必ずタクシーの利用を。
✴︎え?一人でナイロビ?自殺しに行くんですねわかりますwww
✴︎お尻の穴だと思ったあなたは友達がいない。
うぉぉぉぉおおおお!!
まじで!?おれ友達いねぇじゃねぇかよ!!!
え、そしてナイロビそんなに、そんなに危ないの!??
そこには悪魔の忠告書でも書くような勢いで、おどろおどろしい内容がこれでもかと書かれているではないか!!
おれは知ってる。
地球の歩き方は決して大げさなことを書いて、なんかあったときのための防衛線引くようなやわなガイドブックではなく、長年冒険好きのバックパッカーの気持ちをくすぶる挑戦的な記事を掲載し続けていることで有名だ!
(そのせいで2年前おれは南インドの田舎町シンジーで遭難して死にかけている)
そんな歩き方がこんなに慎重に言葉を選んで記事を書いてるなんて、言うなれば吉田沙保里が自宅に電流鉄線と3メートルの二重塀を取り付けて、セコムからガードマン200人ぐらいよこすぐらいの、そんぐらいのあれである、、、!!!
お、恐ろしい・・!!
ヨハネスブルクもなかなかな世紀末都市だったが、下手したらもっとじゃないのか、、??
おれはまよった。
もうナイロビは行くの止めよう。
こんなところ自分から行って死んだなんて事があっては、元も子も温水洋一の髪の毛もない。
そんな風に思っていたのだけれど、
いや!!そうだっ!!
おれは思い出してしまった。
ケニアの次に行くエチオピア。
ここは陸路での入国の場合、必ず先にVISAを取っておかなければならないというめんどくさい国である。
ケニア国内で、エチオピアVISAが撮れる場所と言うのは・・
ナイロビのみだぁぁぁぁあ!!!!!!
うぎゃぁぁあ!!!
エチオピアへ脱出できるVISAをもらってなかなかの確率で死ぬか、
エチオピア脱出を諦めて行き場をなくしてケニア永住か!!!
究極の選択!!!アルティメットウォッシュである!!!!!あ、チョイスである!!!!!
そんなで、噂の真偽を確かめるためにおれは、行く街行く街で地元の人たちに、
「てかさぁナイロビ行ったことある?本にちょー危ないって書いてるんだけど、実際どうなのよー??」
と聞いてみてたんだけれど、みんな
「いや、本当に危ないぞ!おれは昔ナイロビの学校に行ってたんだけれど、路地に入った途端、ここから先に行きたいのなら、金全部出しな!って言われて、なら通らないよ!ってきびすを返したら、後ろにも同じような奴らがいて、通るなら金出せって・・結局ナイフで脅されて全部もってかれたよ。」
「おれのかあさんはナイロビに出稼ぎに行ってるんだけど、なかなかタンザニアに帰ってこないんだ。なんで帰ってこないの?お金稼げないの?と聞くと、給料日を狙って何度も強盗にあっちまうとかで、なかなか貯金が出来ないんだとよ。。ムカつく話だぜ!」
「昔彼女を連れてナイロビまでドライブに行ったんだが・・夜、人けのない路地に車が迷い込んでしまって、男達に囲まれて窓ガラスを割られ、有り金全部取られちまったよ。まぁ彼女が無事だったからまだよかったが。」
とかなんとか。
……..!!!
ナイロビに行ったことがある人たちは、みんななんかひとつエピソード持ってんだよ・・
なんだよ!!!
ど言うこと!?!?
いやぁぁあこれはまじで生死を分ける洗濯になりそうだぁぁぁあ!!!
まぁそんな過程を経て、おれは今ついにバスに乗ろうかのらまいかというところまで来てるというわけで決して遅漏というわけではないからねちなみちゃん!
必死の弁解で随分と疲れたおれ。
はぁ、とりあえず落ち着こう。
アルーシャ最後の日の日記でもつけて落ち着こう。
昨日は、あれだ、タンザニア最後の日だからって、もちろんギター持って出かけたんだ。
タンザニアでは、でかいポット抱えて苦~いアラビカコーヒーを手売りしてるおっちゃんらがいたるところにいるんだけれど、そのおっちゃんの溜まり場みたいな場所を発見!
一杯5円でおちょこになみなみ注いでくれるんだ。
ありがとうおじさま!こんなにいっぱいっぱいまで注いでくれてグッドサービスだねって
あづっっっっ!!!!!熱っちー!!クソジジイ溢れてんじゃねぇかこのやろう!!!
そして手に重度の火傷を負いながら殺気立ってちびちびやってると、周りの他のおっちゃんらがいつものようにギターに興味津々で話しかけてくる!
「ギターひくのか?」
「どこから来た!?チーナか!?」
「レゲエは好きか!?ヒップホップは歌えるか!?!?」
そして、木の下のコーヒー休憩所は木漏れ日のカフェライブ会場へと変わる!!!
うーん!!
タンザニアのひとの、このめんどくさいくらいにオープンなところ、多分離れたら恋しくなるんやろな~、ケニアはどんななんだろ?
コーヒー奢ってもらって、ありがとう!とでていく。
そのあと、路上の場所を探して街を歩いていたら、
細身の男
「へいへい!ジャパニーズ!おれの事覚えてる!?サファリに行く前に話たよなあ!ハウアーユー!?」
おれ
「(全然全く覚えてないだれこいつ?)おおお!こんなところで会うなんて奇遇だね!元気してたかい!?おれはファッキンファインさ!」
ションボという名前のこの男。
どうやらおれがサファリに行った時事務所にいたスタッフの一人らしい。
うん、全く覚えとらん。
「なに!?ストリートライブする場所を探してる?よし!おれについてこい!いい場所を知ってるんだ!」
「(いいわ自分で探して見つけたいんだよめんどくせーな)おーけおーけー!」
….. 思った事を言えないおれのダメなところである。
結局彼はなぜかアルーシャのサッカースタジアムまでおれを連れて行ってくれた。
地元アマチュアサッカーチームが試合をしていて、ここの観客席なら腰掛けて歌えるよ!と言う。
付いてきた俺がばかだった。
あほか!こんなとこで歌えるかいな!
そして、何かを勘違いしている彼に丁重にお断りを入れて、もう日も暮れかけていたので、適当な小さな交差点の歩道で、ギターを置いた。
偶然だけど、到着した時、バスの車内からこの場所は見てて、この壁の落書き?がおしゃれで、歌ってみたいなーとかぼんやり思ってた場所だった!
日が暮れるまで歌って、結果は5700シリング、約300円!
アフリカではなかなか稼げた方だ、ありがとー!!!
隣のペイント屋のおやじが、俺の路上ボードの文字をスワヒリ語に訳して書いてくれた!
おおおありがとう!
全く意味わからんけど。
ションボは結局俺が歌う場所まで付いてきて、ずっと見守ってくれてた。
なかなか楽しかったし、彼が声をかけてくれなければここにたどり着くことはなかったかましれない、これも運命だなぁと気分を良くした俺は彼をバーに連れてってやった。
1.5ドルとちょっと高いが、一本ずつ大ビンを手に握って、乾杯した!
酔いに任せて話をした。
彼もケニアの専門学校かな?そんな感じので英語を勉強していたらしくて、例外なくナイロビで強盗にあったと言っていた。やめてー!!
他にもいろんな話をした。
家族や子供の数の話、仕事の話、ただの下ネタ。
なかなかいい友達ができたなぁとか思ってたんだけれど。
最後にもう帰るわってなって、彼が、一人じゃ危ないからってホテルまで送ってくれたんだ。
すると、別れ際。
彼が急にシリアスな顔をして立ち止まる。
「ぼくは君のためにたくさんのことをしたんだ。どうして君はチップを払わないんだ?」
あーーーー!!!!!なんかいい友達が出来たとか思って、今日の稼ぎ全部使って安くもないビールも奢ったっていうのに!!
なんかすごく悲しくて、腹が立った。
まずお前が勝手に付いてきただけだろうが!おれは一度も路上ライブする場所を教えてくれなんて言ってねぇんだよ!
そんな思いが一気に込み上げてくる。
「ビールおごったろ!?タバコも沢山やった!日本人はみんな金持ちに見えるかも知れないけれど、おれだってギリギリでやってんだよ!今日必死こいて歌った金、全部使ってビール買ったんだぞ!?」
引きつった顔で言うと、彼はそんな強引な言いようではなかったが、最後まで、せめて帰りのバス代に1000シリング出してよ!とか言うてきてた。
絶対払うか!と頭にきて、挨拶も早々に振り切ってホテルに入った。
バタン。
なんだよ!なんなんだよ!結局金かよ!
「いい音楽だったよー!」
なんて声をかけてくれてたのも、結局おれの気分良くして金が欲しいだけだったのかよ!!
一時間ぐらいは、怒りが収まらんで、汚い小さな一人部屋の中で、もんもんもんもんと天井を眺めてた。
でも。
しばらくして、落ち着いて、考えてみる。
おれの中にはいつもおれが二人いる。
暑苦しくて感情的なおれと、それを、痛いなこいつって、ちょっと冷めた目で見てるおれ。
わざわざホテルまで送ってくれたんだ。
歩いて五分とかなもんだったけど、夜の街を一人で帰るのは確かに危険だし。
その分のチップとして1000シリング(50円)ぐらい、出したっても良かったんちゃう?
いや、金額じゃなくて、おれが、どんな人との心のわだかまりも取り払えると信じてた音楽を通して出会った人に裏切られたのが悔しいんだ!
金の対象としか所詮見られてないのかって事が悔しいんだ!
でもそれって、彼の人間性に問題があるってより、お前の勝手な思い込みだろ?
音楽で誰とも仲良くなれたり、親友になれたりとか、寒いわ。
結局彼らの仕事は旅行者から金を取る事。しゃーないやん。
ぐるぐると、思考回路が絡まっていってまいっちまう。
その通りかも知れんな。
音楽は人付き合いの苦手なおれの、最後の最後の武器なんだ。生きていく術であり、宗教であり。
それでも越えられなかった、「日本人は金づる」というイメージ。
結局そんな彼を信じてたおれが悪いんやし、別に彼は良かれと思った事をやって、その報酬を求めているだけやから、悪い事でもなんでもない。
あーーーーくそ!タンザニア楽しかったなーとか思ったのに、最後の最後で嫌なもん見ちまった!
まぁええわ、ほんま、ほっとんどいい人ばっかりやったから、ちょっとは、そんな人達の国で旅行者としてどう在るべきかを考えるいい機会になった。
と思おう。
深い。
どこまでも深いよタンザニア。
大好きなインドに、なんか似てるな、ここは。
何が正しいのかはわからんけれど、それも全部含めておれはこの国が好きだ。
ありがとうタンザニア、また来….
「早く乗れ!!!!!出発の時間だ小僧!!!置いてかれてぇのか!!」
えっいきなり現実!!!??
すみません待ってー!!!
ブルルン、プシュー!!!!!!!!!
バスは、恐怖の街ナイロビへと走り出してしまった・・!!!
そんなところです。。。。
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