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【エイラット/イスラエル】誰得!おれが路上ライブ旅を始めたきっかけの話

2020年2月21日

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今日の旅の一曲!hair money kidsの “I never forget it"!
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終了

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エイラット滞在7日目!

ついに買ったぜ!!

聖地エルサレムへのバスチケット!

うぎゃぁぁぁ!!!

ついにエルサレムだ。

1年半前、オーストリアのワーホリのために、日本を離れる時には世界を一周してやるぞなんて夢にも思っていなかった。

それでも、イスラエル、エルサレムだけは行ってみたいなぁなんて、考えていた。

メディアから聞こえてくるこのエリアの情報は、イスラエル軍の巨大な戦車がズタボロに民家を踏み倒したり、空爆を行ったり、それに石を投げて応戦するアラブ人の少年の映像、止まない自爆テロみたいな、物騒なものばかり。

特にここエルサレムは、イスラム教、ユダヤ教どちらにとってもの聖地であり(キリスト教でもだけど)、イスラエルとパレスチナ、双方が首都であると主張している、この問題の象徴ともいうべき場所。

大学の時に一本の映画を見た。

「いのちのこども」だったかな?なんかそんな名前のドキュメンタリー映画。

当時、ガザを中心にイスラエル軍がパレスチナを破壊しまくってて、たくさんのパレスチナ人が死に、報復のテロでイスラエル人も死に、とんでもない状況だった。

そんな中で、難病をわずらったアラブ人(パレスチナ人)のこどもがイスラエルの病院で、イスラエル人の医者たちに懸命に治療されるってストーリー。

その子のお母さんはこんな事をこぼす。

「この子が無事健康に育ってくれたら、大きくなったら武器を取り、立派にイスラエル軍と戦ってくれるはずよ!」

圧倒的な軍事力の前に、非力に殺されていく同じ民族の人たちを見ていく中で、そう考えるのは当たり前かもしれない。

イスラエル人の医者たちは葛藤しながらも、

「この子たちにこどもが出来る頃には、ユダヤ人、アラブ人のこどもが手をつないで遊べるような時代になる事を願ってる。」

なんて言う。

これはイスラエル側で作られた映画なので、多少"イスラエル人優しい!"的なイメージの刷り込みはあるんだろうが、必ずしも誰もがパレスチナ人を追い出したいわけじゃないんだなぁと感じた。

この映画の監督のように、軍の行動に批判的な人たちも結構いるんだなぁと思うと、いったい誰が好き好んで戦争やってるのか、ようわからん事になる。

というか、まずアラブ人は普通にイスラエルに入る事もできるんやな・・!というのもおどろきだった。

案外ボーターなんて曖昧で、表向きは対立してても、実際の個人個人ではいろんな考えや価値観でそれぞれ暮らしてるんだなぁと思うと、この争いの真偽が、よく分からなくなってくる。

もうこれは、実際に自分の目で見て感じて見る以外、無いなぁなんて思っていた。

正義感を盾にお涙ちょうだいしたいんじゃなく、ただただ興味として、この世界の実情を知りたかったんだ。

そんなで、ずっと見てみたかった街についに行く事になったんだけれど、案外、普通の街なんじゃないかな?

みんなそれなりにそこで生活してるんやし、できればそんな環境で生きる、彼らなりの普通を感じてみたい。

案外普通で、特にこれと言ってなにもないぜ!なんて、言えたほうが幸せかもな。

それを無理に固定概念で、シリアスに涙ぐむ必要はないし、世界平和!なんて歌うのも馬鹿らしい。

おれが見た事が全て、感じた事が全てだ。

いい滞在にしたいなぁ!!

さて、エイラット滞在も1週間が過ぎた!

前に高級ホテルチックな安宿に一泊して以来、ずっと野宿ではあるが、うむ、エイラット、慣れれば野宿でもなに不自由ない生活を送れる!!

街中どこでも無料のWi-Fiが飛んでいるし、ビーチ沿いの街なので無料のシャワーも浴び放題だ!

入国当初、イスラエルのお金を1円も持っていない状態で始まったエイラットの滞在だが、いまのところうまくいっている!

毎日ビーチ沿いのツーリスト通りで三時間ぐらい声がかれるまで歌っていて、コンスタントに150シュケル(4500円)くらいは入れてもらえる!

本当にありがたい!

イスラエルは、バスキングが文化として完全に馴染んでる感じで、軽快にリズムを刻む歌を歌えば、ビール片手の若者たちがイェェァ!!!とノッてきて、ひとしきり目の前で踊り狂って1シュケルとか落としていってくれるし、

ムーディにバラードなんか歌えば、かわいい女の子を連れたにいちゃんが、カッコつけもあるんかな?さっと紳士的に10シュケル硬貨を入れてくれる。

夕日を浴びながら Stand by me を歌うときに、手をつないでゆっくりと歩く老夫婦が、ニコリとうなづいてくれたりする。

その姿が美しすぎて、こっちも心あったかくなっちゃう。



夜になれば他のバスカーたちもたくさんこの通りに集う。

トランペット吹きのおやじやアコーディオン弾きのじいさん。

結構やってるひとは年齢層高めだ。

日本では考えられない事だけれど、こうやって路上で稼ぎながら生きていってるひとはたくさんいて、かれらはこれを生涯の職業と決めた人たちなんだろうな。

そんな中、唯一おれと同世代のバスカー、モウ。

最高にテンションが高くて陽気で、でも飾り気がなくていいやつだ。

昨日路上終わりに彼がやっている場所に見に行ったら、ドイツ人とブラジル人の友達ができてて、みんなで適当にボイパやペットボトルドラムで盛り上がった。

しかし、この時かなり酔っていたモウはなんか感傷的になっていて、

「なんだかわからないがとてもせつない気分なんだ。悪いが一人にしてくれないか・・」

とか浸りきって、笑っちゃいかんけど、キャラと違いすぎてちょっとおもしろかった。

そんなでモウの邪魔をしないよう、横でドイツ人のアレックス、ブラジル人のパトリックと話した。

アレックスもドイツで、ボイスパーカッションでバスキングをやるらしくて、おれが今、路上の稼ぎだけで生活してると話すと、

「ワオ!バスキングをしながら世界を旅するなんて、おれの夢なんだ!そんな事ができるなんてすごいなぁ!話聞かせてよ!」

とめっちゃ憧れの目で見られて、なんか照れくさい。

「いや、稼ぎだけで暮らし始めたのはイスラエルからなんだ。おれも不安で仕方ないよ!」

と言う。

それでもキラキラした目でおれを見てくれる。

なんか、自分の、路上ライブで世界をまわったら、絶対楽しいんじゃねぇか!?と閃いて、ワクワクしてた頃を思い出した。

おれは大学時代からバンド活動に並行して、駅でよく弾き語りはしてたんだけど、そのころは世界を旅するなんてアイディアも度胸も全くなかった。

きっかけは二年前。3年間働いた会社を辞めて、どうしてもインドに行きたい!と、一ヶ月間の往復チケットを買って、インドを回った時。

andymoriというバンドの、"青い空"って曲が、大好きすぎて、その曲の中に登場する"ジャイサルメール"という街にどうしても行ってみたい!そこで、青い空を歌いたい!

音楽にそんな興味ない人からしたらアホみたいな理由かもしれんけど、そんなで初めての本格的なバックパッカーでデリーに飛んだ。

現地でボロボロのギターを買って、ウダイプルとジャイサルメールで、震えながらこの歌を歌ってみた。

すると、旅中ずっと悲壮な顔をしてるのしか見なかった、物乞いの子供達が、キャッキャと声をあげて踊ってくれた。

それを見たお母さんも笑った。

なんてことだ!って、衝撃が走った!

なんてこった、音楽は国境も言語も、ライフステージもなにもかも、軽々と飛び越えて行きやがる!

嬉しかった。

音楽の力を確信したんだ。

もし音楽をやりながら世界を旅できたなら、とんでもない事になるぞ!と、子供が愉快ないたずらを思いついた時みたいにワクワクが止まらなくなった。

んで、元々帰ってからは再就職を考えていたんだけど、やれるだけやってみたい、と思ってオーストラリア行きを決意して。

オーストラリアで働いて、英語をマスターして、貯金ができた分だけ、世界をまわってやろう!

ワーホリを始めた当初は、具体的に世界一周ができるとは思ってもなかった。

アジアと、イスラエルぐらい行けたらいいなぁ~ぐらいに思ってた。

でも、思いの外オーストラリアで貯金ができて、路上ライブやっても1日なんとか食えるくらい稼げるし、これ、なんとかなるんじゃね?なんて思い始めた。

世界一周、いけるんじゃね?

たまらないドキドキとワクワクが全身を駆け巡ったの、覚えてるなぁ。

その頃、今思えばチョー恥ずかしい事やけど、

(“海外を路上ライブしながらまわる!"なんてアイディア、誰も思いついてないだろう!)

と、第一人者きどりで嬉々としてた気持ち悪いおれだったんだけど。

でもネットで調べてみると、ゾロさんや金丸さんや、実際に路上ライブだけで周ってる人も結構いると知って、ちょっと残念やったけど、嬉しくもあった!

“なんや、やっぱ行けるんやん!!"

思いは確信に変わったんだ!

“いける!おれは音楽で、世界をまわってやるんだ!"

そんな、不安と期待が入り乱れて鼻息荒かったあの頃のおれが、目の前で目を輝かすドイツ人の彼に重なって見えた。

こっから先、これで本当に旅していけるのか、おれも不安で仕方ない。

とりあえず次のエルサレムに到着したところで、宗教都市やからな、音楽とか規制があってバスキングできなかったら、その時点で終了だ。

でも、もうやるしか無い。

ルートもやることも決められたガイドブック通りの旅なんておもしろくない!

自分の足で、自分の嗅覚で、世界を見てやるんだ!

そのために今できることを精一杯やって、生きていこう!

なんだかまた熱がぶり返してきて、モウ達と別れた後、ガラガラの声でさらにもう一時間歌った。

腹の底から魂込めて歌う。

声かれてボロボロになったって、なんか気持ちは伝わる。

それが誰かの心を揺らしたとき、わざわざ財布を取り出して、コインを入れてもらえる。

素敵だ!

コインが一枚、一枚と入るごとに、ただただ広い荒野を、一歩一歩と、突き進んでいるように感じる。

靴底は砂に埋もれ、汗がじとりとまとわりつくけれど、それも全部心地いいのだ。

ゴールがなんなのかはわからないし、方向が合っているのかもわからない。

もしかしたら見当違いな場所に迷い込んで、水も食料もつきてぶっ倒れるかもしれない、そんな危険もはらんでいる。

それでも、進むことをやめられない。

音楽が好きだ。

歌っている事が好きだ。

その思いだけでどんどんと深場に潜り込んでいく夜!

足がガクつくまで歌って、この日は258シュケル、7600円。

死ぬほど疲れたけれど、最高のビールだぜ!!

なんとか最後の金、土で貯金3万円くらい、達成したいなぁ!

そんなところです。

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