スポンサーリンク

【分かりみが深すぎる中年入門書】Pha「パーティーが終わって中年が始まる」を読んだ感想の話

スポンサーリンク

ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

ナマステ!ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅などを経験し、現在は東京で音楽活動中。
旅と音楽、その他好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ。

『めっちゃandymoriっぽいタイトル!』

この本を見つけたとき、そんな自分の大好きなバンドの曲『Life is party』が頭に浮かんだ。

文章を試し読みした時に

思えば自分は、若い頃からこうした衰退の気分が好きだった。  昔素晴らしかったものは、既にもう失われてしまった。大事な友達は、みんないなくなってしまった。すべては、どうしようもなく壊れてしまった。そんな物語を好んで読んできたし、そんな歌詞の歌を繰り返し聴いてきた。喪失感と甘い哀惜の気分を愛してきた。

パーティーが終わって、中年が始まる / PHA より引用

なんて文章が目に入ってきて、なおさら『まじでandymoriっぽい…』って感動して買って読んでみた。

「パーティーが終わって中年が始まる」という名前の本だ。

なんか変な入り方だったんだけれど、著者Phaさんの生き方や考え方、物事のとらえ方が押しつけがましくなく、

しかし今の自分の現状に重なる部分も多くて、共感しっぱなしで。

読んでみてすごい良かったので、感想文を書き残しておきたいのだ!


『若さ』というパーティが終わる、が悲しむことはない。

著者Phaさんは、40代半ばのライターであり、20代から30代にかけてシェアハウス運営など世間一般と外れた自分らしい生き方を全力で楽しんできた人だ。

しかし40代を迎えた今、そんな自身の感覚に変化が始まる。

本書「パーティーが終わって中年が始まる」では、安定して腰を据えられる場所を探し、かつてのように変化を全身で楽しむことが難しくなってきた、壮年期な中年の「みずみずしい喪失感」を描き出している。

中年なのに壮年期。喪失感なのにみずみずしい。

こうして言葉を並べてみると変な感覚なのだけれど、まさしくそういう、中年初心者な人たちが直面する様々なしがらみを、ゆるく軽くひょうひょうと分析している。

まるで夏の自由研究で枯れていくアサガオをただただ観察するような、淡々とした語り口で自分の衰えを描いた、「なんとなく続いているけど、どこか空虚な日常」を冷静に見つめるエッセイだ。

普通、こういうテーマだと「昔は良かったなぁ」とか「もう若くないなぁ」といった懐古的で悲しげなムードになることが多いけれど、この本はどこか違ってて。

衰えや変化に対して特に感傷を抱かず、でも無理に前向きになるわけでもない。

そのバランスが絶妙で、読んでいてとても心地よいのだ。

夜行バスと時間の流れ

Phaさんが夜行バスで感じた非日常の楽しさとか、若い頃に感じた「どこにでも行ける感覚」が薄れてきたって話。

非常にわかる。めちゃくちゃわかる。

空港なんかもそうだけど、みんなどこかに向かっている途中の、けっして日常ではない、どこにも属していない場所という雰囲気がいいのだろうか。うとうととしたと思ったら、サービスエリアで目を覚ます、というのを何度か繰り返すと窓の外が白んでくる。普段だったら絶対に起きていない、朝五時や六時という時間に目的地に到着して、こんなに早く着いても時間を潰すのに困るんだよな、とかぼやきながら、駅前で唯一開いているマクドナルドで安くて苦いコーヒーを飲む。そんな夜行バスの旅が好きだった。

パーティーが終わって、中年が始まる / PHA より引用


若い頃って、終電逃してもノリでそのままどこかへ行ったり、急に旅行に出かけたりしてた。

深夜高速をかけていくバスは、まるで銀河の果てを突き進む宇宙船のように、途方もない旅をしているように感じてた。

その孤独感と好奇心が心の奥から高ぶって、「おれ、これからどうなってしまうんだろう」なんて不安に押しつぶされそうになって、曲の歌詞とか車内で永遠に書いて過ごしてた。

でも、今は「明日があるし」とか「普通に考えてみんなやらないし」とか考えちゃって、気軽にそんな冒険ができなくなってきてる。

歳をとってくると、この世界に自分だけ、とか感じちゃう幼さとか、それを歌詞にしちゃえるキモさとか、そういうイタいやつではいられなくなってくるのだ。


そして、「冒険してる~!」っていう高揚感を上回る、体の衰えにも原因があるのかもしれない。

20代半ばで世界中の旅をした際に、似たようなことをいつも感じていた。

ベトナムで乗った24時間の長距離バス、ぼやけた頭で眺めた暮れ行く田園地帯の夕景、

ペルーの山岳地帯、キンと冷えた朝に立ち寄った田舎のパーキングエリアで食べた温かいスープのおいしさ、

危険なことで有名なアフリカの都市に夜明け前に到着したバス、バス停で朝を迎えて空が薄明るくなった時の安心感。

夜行バスだからこそ味わえる、「旅してる!」って感じ。大げさに言うと「生きてる!」って実感するのだ。

そりゃしんどいんだけれど、「飛行機でひとっ飛びしちゃえるやつらには味わえない楽しみがあるぜ」なんて考えてた。

でも、最近になって、東京から鳥取まで12時間のバスに乗ってみたときのことだ。

とにかくきつかった。

あれだけ好きだった音楽を聴きながら眺める車窓の景色も、夜の高速のメロウに流れる対向車の光に照らされての読書も、あのしんどさには勝てなかった。

「飛行機にしとけばよかったかな…」なんて10万回くらい思った。

このエッセイを読んで、昔は本当に「何でもできる」って錯覚してたんだなって気づかされた。

自分のやっていることや、感じている「イタさ」は、すべて正解だって実直に信じることが出来ていたし、しんどくても、それ以上の経験を得られる喜びで胸が満たされていた。

そういう刺激が無限に続くと信じてた若い頃と違って、今は、そういう経験値もある程度飽和状態になってきて。

できることとできないことの分別も無駄に見分けられるようになってしまって、冒険心や野心をうまくスキップする、スルーするスキルも身に付いてきてしまった。

『感度を失う事。』それこそが、大人になるってことなのかもしれない。

持っていたから失える。この本を読んで思った中年の楽しみ方。

若いころは、「経験」や「お金」や「出会い」や、それらを得られる喜びが人生を豊かにしていた。

20代のころはとにかく新しいことに飛び込んで、未知の世界を味わい、手に入れることで満たされていた。

けど、気づけばそれらを一通り手に入れてしまって、もう新鮮味が薄れたって感じる瞬間。

中年期の楽しみ方って、そういう“持っているからこそ失える”余裕にあるのかもしれないと思ったりする。

この本のなかでも、たくさんの「これまで体験してきた素晴らしい経験」や「出会ってきた素敵な音楽や楽しい人」っていう過去の話はたくさん出てきたけれど、

「これからやりたい事」みたいな未来の話はほとんど出てこなかった。

昔は、人は未来しか変えられない!過去を振り返るなんて愚かだ!と意気込んでいたけれど、

もしかしたら過去に浸ることもまた、これからの人生の楽しみの一つなかな?

当記事の書き出しで、”衰退の気分が好きだった”って文章を見て「めちゃandymoriっぽい」って思ったって書いたけれど、そのバンドの、僕の大好きな「ハッピーエンド」っていう曲で、こういうフレーズがある。

”はしゃぎまわった友達が笑わなくなったのは誰のせい?わからないが。”

このむなしくも切ない歌詞だって、夕暮れの門限ぎりぎりまでかけまわってはしゃぎあった友達と過ごした、

あの経験があるからこそこんなにも胸に刺さるのであって。

20代で体験した若さや青春をもう二度と戻れないと懐かしむことも、それを自分が経験した後だからこそ胸を焦がせる、一種の贅沢な嗜好品のようなものではないだろうか?

衰退を、哀愁を素直に受け止める。虚無に落ちていく自分に浸る。

そういう一種のニヒリズムを味わい、楽しむことは、、もしかしたら歳を重ねる事の特権なのではないかしら。

なんだか、そんな風に思うと、パーティーが終わって中年が始まるのも、悪くはないな、なんて思えたりもする。

読んで安心する中年入門書…

以上!最近読んだ本「パーティーが終わって中年が始まる」で感じたことを書き出してみました。

なんかまとまりのない感想文になってしまったが、とにかくphaさんの気取らない、いい意味で凄みのない気の抜けた文章を読んでると、ちょっと勇気が出るのだ。

「なんだ。みんな不安なんじゃないか。」なんてね。

歳は取りたくない、などと言いながら、今も一秒一秒僕たちは未来に進んでいってしまう。それはもう自動で流れる工場のベルトコンベアみたいなものだ。

永遠にあの頃みたいにはいられないって、最近やっと気づけたんだ。

「僕たちはどう生きるか?」って真剣勝負で力んで生きるのも素晴らしいんだけれど、何か爪痕を残さなきゃ!とやみくもにもがき続ける時代は過ぎて、

もっと自然体に、流れに身を任せてもいいのかなって。

別に何か残せなくても、しょせん人間なんてこの地球上の動くたんぱく質の一粒に過ぎないのだし。

おれが今後どう生きようと、大して誰も興味ないしね。

なんかそんな風な、ポジティブな虚無感と、いい具合の脱力感に包まれた本だった。

若者から中年にさしかかり、そのマイナスな変化にがんじがらめになりそうな時は、

また、たまに読み返してみようと思った。



そんなところです。



パーティーが終わって、中年が始まる 単行本 – 2024/6/5pha (著)
●ツイッターで更新情報や、日々の純情な感情を実況中継中!フォローしてね!


●ブログ村でランキングに参加中!今3万位くらい!下のリンクをクリックして、底辺に沈むぼっちシンガーをせせら笑いに行こう!
にほんブログ村 その他日記ブログ 30代男性日記へ
にほんブログ村
●Youtubeで楽曲作品公開中。チャンネル登録お願いします!そ、そこをなんとかっ!●ツイッターで更新情報や、日々の純情な感情を実況中継中!フォローしてね!


●ブログ村でランキングに参加中!今3万位くらい!下のリンクをクリックして、底辺に沈むぼっちシンガーをせせら笑いに行こう!
にほんブログ村 その他日記ブログ 30代男性日記へ
にほんブログ村
●Youtubeで楽曲作品公開中。チャンネル登録お願いします!そ、そこをなんとかっ!