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【ルックバック】なんとなく見に行った映画がすごい良かったので感想を語りたい話。

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

なんがでっきょんな。ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅などを経験し、現在は東京で音楽活動中。
旅と音楽、その他好きな事を鼻息荒く語るだけのブログだよ。

あなたにとって『いい映画』ってどんな映画だと思いますか??

泣ける作品?日常を忘れてストレス発散できる作品?

僕個人的には、いい映画とは『見終わった後に価値観や行動を変えさせられる映画』だと思ってて。

例えば、僕が一番好きな映画、ナチスドイツ時代のユダヤ人親子を描いた『Life is Beautiful』という作品を見た後は、

(過酷な環境下でもユーモアを忘れずに楽しそうに生きる人こそ、本当に美しい生き方だなぁ…)

なんて思って、キツいときこそ『だるい』とか『しんどい』とか、マイナスな感情はあえて周りに振りまかないようにしよう、と生き方を改めたものだ。

いい映画に出会えると、行動が変わる。

そういう意味でも、先日見た映画『ルックバック』はすごく良かった。

自分ももっと、好きなことに一生懸命でいたい。

好きなことを忘れられない、そんな自分のままでいいんだって、そんな風に思って、なんか安心して、

夜家に帰ってから、いてもたってもいられなくなって、深夜だというのに音楽ソフトを立ち上げて、曲作りを始めたりした。

文字通り、行動を変えさせられた映画。

それほどまでに熱を帯びた、たとえば10代の頃に見たりすると人生すら変えさせられたかもしれないってくらいの、いい作品だったのだと思う。

個人的主幹ばかりの感想だけれど、この衝動を書き残しておきたい。

スポーツに燃える青春が無かった俺たちの、『スポ根』作品だ。

『じゃ映画でも見に行くか~』

きっかけは、地元香川からやって来たYoutuberの友達の、そんな一言だった。

せっかく東京に遊びに来たというのに、この日は線状降水帯が発生したとかで関東一帯は豪雨。

屋外の観光地はどこにも行けないので、『ちょうど今日公開のアニメ映画があるんよ!』という彼の提案に乗ったわけである。

『少女二人の青春アニメっぽいやつ』『チェーンソーマンの作者・藤本タツキが原作』くらいしか前情報なくて、上映時間が58分と激短!

『ちゃんとおもしろいのだろうか…?』

など正直少し不安に思いながら、まぁしかしこの大雨ではなぁ、とあきらめ半分で映画館に入ったのだけれど。

見終わった後、まず最初に思ったことは、

『今日、こいつと一緒に見にこれて良かったなぁ』

ってことだった。

この映画は、『スポーツに情熱を燃やす青春』みたいなものを経験してこなかった、

おれたちみたいな陰キャ帰宅部にこそ熱く刺さる、共感できる、『おれたちのためのスポ根青春映画』、みたいに感じたからだ。

主人公の藤野は学校の学級新聞に載せている漫画を褒められてちょっと天狗な女の子。

そんな藤野が、人見知りで引きこもりで、しかし絵がめちゃくちゃうまい別のクラスの女の子、京本と出会って…っていう、『描く人』にフォーカスしたストーリーで。

『もっと絵がうまくなりたい』『私以上に絵がうまいやつがいるなんて許せない』、などなど動機は人それぞれであれ、

そんな二人がとにかく、なにかに憑りつかれたように、『描いて、描いて、描きまくる』姿がすごく印象的なんだ。

『漫画なんて書いててもなんにも意味ないのに』などと、心の奥底に眠る虚無感に押しつぶされそうになりながらも、

そんな葛藤すらも、描き続けることで乗り越えようとする不器用でまっすぐなクリエイターたちの情熱が、返しの付いたのこぎりの歯みたいに、心に深く痛くぶっ刺さって、抜けやしないの。

こんなこと言うと、本当にクリエイターとして食ってる人たちに対しておこがましいかもしれんけど、まるで自分のことみたいだ、って思ったんだ。

ずっとずっと音楽が好きで、音楽でしか本当の自分は表現できないって悟ってから、今まで、ずっと作り続けてきた。

誰にもわかってもらえない『大好き』を、誰にも見られないみじめな気持ちを抱えながら、虚無感に押しつぶされそうになりながら、それでもずっと作り続けてきた。

それは、一緒に見に行ったあいつもきっとそうだった。

いまやYoutubeで生計を立てるくらいに成功して頑張ってるあいつも、一般人には理解できない孤独や不安を、ひたすら作って作って作り続けることで乗り越えてきたこれまでがある。

だからこそ、ひたすらに描いて描いて描きまくる藤野と京本の姿が、他人事には思えなかった。

劇的逆転ゴールも生まれない、歓喜の勝利も涙の敗北もない、地味な地味な青春だけれど、

その苦悩や葛藤が痛いほどわかって、痛いほど重なった。


この58分間には、それを青春と呼んでいいのかわからずに心の奥にしまっておいたあの頃の俺たちの、『若者のすべて』みたいなものが、高純度で詰め込まれていたんだ。

「じゃあ、藤野ちゃんはなんで描いてるの?」のそれぞれの答え。

『描いても何も役に立たない』

『漫画は見るだけにしといた方がいいよ』

と澄ましたことを言う藤野に対して、『じゃあ、藤野ちゃんはなんで描いてるの?』という京本の問い。

そのセリフを最後に、回想のシーンが流れて、そしてエンドロールが流れる。

その問いかけで終わるラストシーンが、まるで梅雨の日、持ち帰った学校のプリントにシミを作る一滴の雨粒みたいに、

やさしくしっとりと、しかし確実に心に沁みて、数日たっても心の中で反芻し続けている。

その質問に対する答えは作中では描かれていないものの、僕の中ではすっと、

『好きだから。』

って言葉が自然に返ってきた。

『好き』は無敵だ。

『好き』は、市場価値や生産性や採算性や、そういう他人が測りたがる一般論の物差しの、そのすべてを凌駕する。

たとえ誰にも見向きもされなくとも、お金にならなくとも、『自分の好きなこと』がなんなのかを理解して、それを追求する人生は幸福だ。

だから理屈じゃなく、ただ好きだから、藤野は描いてるんだと思う。

石田徹也(いしだてつや)という、僕が昔から好きな画家の話を思い出した。

『何かずーっと描いてて、描くのが僕だって思う。描かないと僕じゃないような…』

自分という人間が社会のなかでどうあるべきか、その存在意義は『描くこと』だけであり、

『描くこと』を見失ってしまったら、自分が自分じゃなくなってしまう感覚を、藤野も京本も抱き続けていたんじゃないかな。

『描くこと』は彼女たちにとって、自分自身なのかもしれない。



一緒に見に行った彼にもその質問の、彼なりの答えを聞いてみると、彼は、

『京本が好きって言ってくれたから』

だと語った。

なるほどそうか、自分が自分たりえる唯一の手段、描くことを、誰よりも褒めて尊敬して認めてくれた京本は、

藤野にとって、自分が自分であることを証明してくれる、いわば神様みたいな存在だったのだ。

その京本を失って、描く意味を失った藤野は、もう描くことをやめてしまうのだろうか?

しかし、ラストシーンのエンドロールでも藤野はひたすらに、描き続けていた。

京本のおかげで、藤野は自分自身に出会えた。

次は藤野が、もうこの世界にいない京本の存在を、描くことで証明していくのだ。

若くして死んだ石田徹也の絵が、彼の死後も愛され続けるように、京本がいつまでも藤野の作品の中で生きられるように、

彼女はすっとこれからも、描き続けていくのかもしれない。

優しくも儚くも力強い魂が、ちりちり、ゆらゆらと燃え行くのをじっと見ているような時間。

最後の京本の問いが、そのメッセージがすごく心に残ってるんだ。

そこでharuka nakamura はあかんて!好きすぎるて!

そんな、一人のキャンプでやる焚火のようにささやかで温かくて、でも生命力に満ち溢れているような、

優しい情景の中で、流れるエンドロール、やわらかなピアノの音が鳴る。

鍵盤の、木のこすれあう微かな振動さえ伝わってくるような、透明度100の音の世界。

うわぁぁめっちゃ良いエンディングソングやん…

このピアノ、すげぇharuka nakamura味あるわぁぁぁ誰なんだろこの音楽…?

とか思って浸ってたら、やっぱりharuka nakamuraだったっ!!

その昔、ポルトガルの海沿いをひたすら歩きとヒッチハイクで縦断してた時があって。

海岸線を歩き疲れて、「今日はもうここでいいか」なんて言って適当な丘のうえにテントを立てて、

どこまでも続く大西洋に沈み行く夕日とトワイライトを眺めながら、harukanakamuraを聴くのが至福の時だった。

酒もマリファナも必要なくて、ただ深く深呼吸をして優しいピアノの音に頭からつま先まで浸りきって、自然の中に溶けていく。

ヒーリング効果、とかチル、とか、そんな容易い言葉で形容してしまうのがもったいないくらいに、

圧倒的な没入感でその音の世界に満たされ、気づけば周囲の海や空、風と波長が合っていくあの感覚。

harukanakamuraの作る音楽には、そんな自然と調和するための儀式みたいな、ある種の『祈り』みたいな、不思議な力があるんだ。

後で調べたところ、エンディングソング以外の挿入曲も全部、彼が手掛けていたらしくて、変に納得した。

前知識も何もない状態で見た短編映画、なのにまるで昔から慣れ親しんだアニメの物語のようにすっと心に入り込んできた。

なんでこんなに感情移入して浸りきれたんだろうか?なんて考えてたんだけれど、

この没入感の要因の一つには、haruka nakamuraの音楽があったのかな

harukanakamuraを聴きながら眺めたポルトガルの夕日。

後から知ったんだけれど、エンドロールに流れる出演者・製作者の名前にもこだわりがあるらしくて。

普通は登場人物とその声優さんの名前が最初に流れてから、後でクリエイター陣の名前が流れてくるわけだけれど、この作品はその順序が逆だったらしい。

クリエイター陣へのリスペクトと、「描く人」にスポットを当てた作品だからこその、こだわりが感じられて素敵だなと思った。

ルックバック、なんとなく見に行ったけどすごい良かった。

以上、なんとなく見に行ってみたけどすごく良かった映画『ルックバック』の個人的感想でした。

自分主観で好き勝手語ってしまったが、浸りきって語りたくなるような映画っていうのも、いい映画の条件なのかもしれない。

藤野と京本の、そしてクリエイター陣の皆さんの、創作に対する情熱とはかなさと、悲しさと楽しさに触れて、

触発されて体が火照ってくるような、自分も好きなことに情熱を燃やし続けたいって衝動に駆られるような、

そういう青春のエネルギーに満ち溢れた作品だったように思う。

なにか『好きなこと』があって、それに熱中し熱狂した経験が少しでもある人には痛いくらいに刺さる作品だと思うし、

自分の好きなことがなんなのかわからない人や、好きなことに自信を持てないような人にも、見てほしいなって思った。きっとなにか感じるものがあると思うから。

そんな風に、誰かに進めたくなる作品だった。



そんなところです。




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