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【福島・猪苗代】ヒモ彼氏、香港人彼女の運転手として福島を旅する話。

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ぼっちシンガー
ぼっちシンガー

ボンジュール。ぼっちシンガーです。
路上ライブで世界一周の旅を終え、現在は東京で音楽活動中。
香港人彼女、ようちゃんと暮らしているよ。

11月のとある日。

偶然に3連休ができたおれ氏ようちゃん(香港人の彼女)。

3連休の2日前、急遽ようちゃんから命令が下された。

「福島に紅葉を見に行くからあなたも来なさい!

ようちゃん
ようちゃん



「ふ、ふぁい!」

「山奥だから車で行かないといけない!運転をするんです!」

「は、はい!!」

なにやら、福島には紅葉の綺麗なスポットが点在しているらしく、その運転手として駆り出されることとなったおれ氏。

今回の記事では、秋の福島の紅葉ハンティングの様子を、

美しい紅葉の写真おれ氏の華麗なるヒモっぷりを交えてお伝えしていきたいと思う。

東北って未知のエリア。

おれ氏の想像する東北の都心部。

福島に行くぞ!とようちゃんに言われて思ったこと。

「福島?ってどこ?」


「お前それでも日本人か!?東北だよ!」

「ぼ、僕ちゃん日本は茨城より北に行ったことがないものでして…」

「日本もろくに言ったこともない癖に偉そうに世界を語るな!!」


そう、四国(香川)出身のおれ氏にとって、東北ってまじで未知の領域なのだ。

西日本の人間からしたら、東日本なんて東京までしかまず行かないし、北に行きたいなら北海道行っちゃうしな。

韓国や台湾の方が近いし安いくらいだから、海外よりも遠い場所って印象だ!

おれ氏は、

(なんかテレビで見る感じ、東北って言葉もすげぇなまっていて公用語は日本語じゃないっぽいし、

なまはげが未だに生息しているらしいし、ちょっと怖いよね。

しかもプールみたいに大きな鍋をショベルカーでかき混ぜて作るいも煮が主食で、それ以外の食の文化にも乏しそうだしな。

ちゃんとレストランとかあるんか…?)



などと考えながら、同じく東北の人達からも、


「四国って、外界から遮断された島だから

旧石器時代からの生活を守り続ける先住民族たちの住む未開のエリアって感じだよね。

特に香川とか、うどん以外の食生活にも乏しそうだし。

コンビニとかあんのかな?」


と噂されている事など知る由もなく、そわそわしながら旅当日を迎えた。

四国の都市部繁華街の様子。

郡山まで新幹線に乗る。

埼玉の大宮駅から新幹線に乗る。

新幹線に乗りなれていない低所得貧困層おれ氏。

ようちゃんにICカードを授けられる。

「このICカードを使いなさい。タッチしたら改札通れるように料金も払ってあるから。」

「ありがたき幸せ。さぁとどろけこだまよ!!我々をまだ見ぬ北の大地まで導きたまえ!」

「おおお!!はやい!!音速を超えて、今おれたちは風になる!!」

「はずかしいからちょっと黙れ。チケットを彼女に用意してもらっておきながらよくそんなカッコつけられるな。」

香港人であるようちゃんは外国人用の3日間新幹線乗り放題パスというものが利用できるらしく、

ちょいちょい新幹線にのって旅をしているので慣れたもの。

一方新幹線もない四国出身のおれ氏、終始大興奮。

もっと乗っていたい気分であったが、大宮からわずか50分ほどで郡山に到着した。

くっ…!!!東北には新幹線が本当に通っていた!!

大都会四国にもないというのに!!

郡山駅からレンタカーを!


そんなで、郡山に到着。

駅前のレンタカーは高いので、駅から20分歩いたところにあるニコニコレンタカーへ。

ちょうど12時をまわっていたので、お昼を食べることに。

訪れたのは大三元と言うラーメン屋さん。

なんと今年の福島ラーメングランプリで一位に輝いたという名店だ!


何でもない住宅地にポツリあるお店なんだが、わらわらとお客さんがやってくる。

少し待ってやっと運ばれてきたタンメンは、野菜たっぷりで透明に澄んだスープ。

うむ、シンプルなのに奥深き味わい。美味じゃ。


そういえば今回は行かなかったけど、喜多方ラーメンで有名な喜多方市も福島にあるらしい。

福島グルメは、どうやらラーメンが熱いみたいだな。

東北め、ご飯もちゃんとうまいじゃないか。

『蛇の鼻』で紅葉ハンティング。


そして、その後車で30分ほど北へ。

ようちゃん氏待望の紅葉で有名な蛇の鼻(じゃのはな)という公園へ。



「あかーい!!!!きれー!!!!」

「うん…そうですね…」

園内には小さな池があって、それを囲む道の沿道にモミジの木がずらっと並んでいる。

ちょうど紅葉シーズンで、真っ赤な葉っぱがルビーみたいに光に輝いている。

うん…まぁしかし、田舎育ちの俺氏にとって、紅葉なんていつもの秋の光景。

赤い葉っぱを見たところで、

「うん、赤いですね。で?」

としか思えない、四季情緒感受性ゼロの冷凍人間なのである。

しかし、ようちゃんは香港出身

亜熱帯で冬のない香港、しかも都会ど真ん中育ちのシティーガールであるようちゃんは、

日本の田舎の、四季を感じさせる紅葉の景色に毎年大興奮している。

さっきの新幹線でもそうだけれど、俺たちは都会と田舎、日本と香港と、

育ったバックグラウンドが違いすぎるので、同じ物を見ても反応が違いすぎる事がよくある。

例えば都会の駅前のタワマンを見ても、


「やべぇ高えぇぇ!!ブログ収入がもう少し増えたら一度は住んでみたいものだ!」

「そう?香港では高層マンションは不便だから人気ないぞ。一軒家の方が憧れるわ。
まぁどっちにしろお前みたいな底辺ブロガーには到底無理な話だけどな。」


と価値観の違いに戸惑うばかりか、月々の運営費を換算すると毎月マイナスなこのブログの存在価値を疑われる事態にまで発展するから、驚きだ。


とにかく、おれは紅葉よりもコイの餌やりの方が楽しかった。

「がははは!!群がれ無様な愚民ども!!このぼっち様の前に餌を乞いひざまずくがよい!!」

「彼女に買ってもらった鯉の餌でよくそこまで偉そうに出来るな!このヒモ!」

俺氏一人、夕暮れの湖畔へ。


「ハンドルもっときって!!あっ!切りすぎ!!スピードもっと出して後ろ詰まってる!!あっ!ブレーキ!!危ない!!!」

「ええいうるさい!!!」

免許を2ヶ月前に取ったばかりのようちゃん。

練習のためにその後2時間の会津若松までの道中を、ようちゃんがドライブした。

悪魔が取り憑いたかのように暴君乱舞するミラを、俺氏の的確で迅速な運転指導でたしなめ、

なんとか人一人二人はねたぐらいの被害に抑えて命からがらたどり着いた。

「それじゃ!私は会津若松を観光するからまたホテルで!」

と、ようちゃんは到着と同時に颯爽と飛び出していった。

残された俺氏、ホテルまでの道中で猪苗代湖(いなわしろこ)という巨大な湖な立ち寄る。


日の暮れかけた湖畔に、トワイライトの空が薄く映っている。

遠くの山肌にはすでに雪が積もっていて、冬の訪れを感じさせる。

誰もいない砂浜を歩き、どこからか流れ着いた大木に腰掛け、イヤフォンで音楽を聴く。


(ふっ…!孤独を愛し、孤独に愛されし男の、大自然とのコミュニケーション。

一杯のコーヒーと、鼓膜を撫でる音楽さえあれば、僕には何もいらないのさ。)


一人旅のロマンチズムに酔いしれ、自分に浸る感が鼻につく系ツイートを誇らしげにたしなめる。

しばしの自己満足に浸った俺氏。

「さむ!」

初冬の東北の気候か、はたまたフォロワーのみんなからの視線からか、底冷えする寒さに震えた俺氏。

帰るか…


いつものようにだれからのいいねも付かない事を確認した後、大人しくようちゃんが予約していたホテルへ。

ホテルはリサーチの鬼と化したようちゃんのおかげで、窓からは湖が見えるレイクビュー高層階の広々ルーム露天風呂付きというこの世の富の全てをかき集めたようなラグジュアリーな物であったが、(なんと天皇陛下も訪れた事があるらしい由緒正しき場所のようだ)

なんとGOTOで一人3000円ほどで泊まれた。

夜、会津若松からホテルの最寄駅に到着したようちゃんを迎えに行き、お城がライトアップされていて綺麗だった事や、帰りの駅が思ったより遠くて歩くのが大変だった話を聞く。

ようちゃんは会津若松で


豪華な輪箱飯という、海鮮丼みたいな郷土料理を食べたらしい。

片や、夕飯はスーパーで半額のお惣菜にビールな俺氏。

くっ!!こういうところに、富裕層と底辺層の旅の楽しみ方の違いが露骨に現れる!!

朝からPVの撮影。

次の日。

いつも旅の朝は早く起きてしまうおれ。

一人部屋を抜け出し、早朝の山道へ。

黄色く染まるイチョウ林を歩きながら、不気味な口パクを自撮りしながら動画を撮る。

新曲、「あの青い列車はどこへ向かう」のプロモーションビデオにするのだ。

ひとけのない田舎道が、バックパック背負って歩き旅していたあの頃みたいな、この歌にしっくり合うなって思ってたんだよね。

あ、いやいや別に宣伝ってわけじゃなくてただ時系列に沿って書いていたらたまたま…

まぁ書いたからにはどんな動画なのか気になるよね?一応リンク貼っとくけど…


いや、全然視聴率稼ぎとかじゃないしチャンネル登録とかも全然無理にやらなくても良いけどまぁよかったらライク&サブスクライブ宜しく頼みますそこをなんとかぁぁぁぁ!!!


五色沼へ。


そんなで、付近の住民から

「早朝の山中で一人歌っている怪しい男がいる」


との通報を受けて福島県警が動き出すころ、ホテルに帰宅。ようちゃんを起こす。

本日はようちゃんはさらに北、秋田まで行くことになっている。

「運転手は福島以降は不要!帰っていいよ。」


との判断から、おれ氏はここで契約解除、東京に強制送還となるのだ。

しかし、ようちゃんの新幹線の時間は昼すぎなので、どこか午前中で行ける場所はないかと検索。

近くにある透明度の高い神秘的な池五色沼というところを目指すこととなった。


なんだか、ハート柄の伝説の鯉がいるとかで女子に密かに人気のインスタ映えスポットらしく、キラキラ女子が嫌いなようちゃんの


「あいつら(インスタ映え女子)は朝は化粧や髪の毛のカールに忙しいからな!私らはその隙を突く!ザマァだぜ!!」


という判断から起きて即、早朝8時に出発。

30分ほど山道を走って到着。



ナビにもはっきり出てこない秘境風スポットであったが、到着した時にはかつてのキラキラ女子達が団体で来ていた。(ご婦人会の皆様)

その後も大きな観光バスが何台も来たり出たりしていて、案外有名な人気スポットなんだな…と実感。



お、手コキボートを発見!!


「手コキボートやりたい!!俺が漕ぐから!!」

「手漕ぎな。手コキは一人でやってろ。自分でお金払うならいいよ。」

「もちろんさ。すいません!ボートレンタルを!あ、支払い楽天ペイで。え、現金のみ!??ケータイしかない!よ、ようちゃぁぉん!!!」

「ちっ!!なんで乗りたくもないボートのお金まで払わないといけねぇんだよ!」

池の真ん中まで来て、底を覗くと、なんだか水の色が不思議なエメラルドグリーンの色をしている事がわかる。

なんか火山性物質と石灰岩があれして(適当)、こんな色になった、と看板に書いてあったな。

船着場に戻り、橋ゲタから透明度の高い水をのぞくと、巨大な鯉が泳いでいる。

噂のハートの鯉はいないかな?と探していると、

「あ、お兄ちゃんあそこ!いるいる!」

隣で写真を撮っていたオヤジさんが指を差し教えてくれる!

「えっ!まじですか!」

どかっ!!!

「あー!!逃げた!!」

おじさんの声にテンションの上がったおれ氏、思い切り橋ゲタを蹴ってしまう!!

音に驚いて逃げ惑う鯉達!!

しかし、全速で底へと逃げていく鯉達の中、確かにいたっ!!!

真っ白な体の側面に、貼り付けたような小さな赤のハート模様!!

あいつだ!!!おれも確かに見たぞ!!

気になるのは、この池で共にこのハートの鯉を見る事が出来た二人は永遠に結ばれるという言い伝え・・・


「おじさん、僕も見れました!しかし、僕のせいで逃げてしまい、すみません…!」

「なぁに、君も見られたならよかったよ。気にすることはないさ!」

「お、おやじさん…!ポッ」

「君…!」


♪(タイタニックのテーマ曲)


「何してんの早くいくよ!」

「は、はいっ!」

二人を切り裂く運命の悪戯、ようちゃんの無情な声により、二人の儚きストーリーは終焉を迎えた。

しかしおじさん。あなたはきっといつもこの胸の奥に…!!

おわり

そんなで、そのあと無事ようちゃんを郡山駅に送り届けた俺氏。

おやじさんとのゆきずりの恋に心を痛めながら、帰りは庶民らしく高速バスで一人帰宅。

初めての東北だったけれど、自然と共に暮らす人々のシンプルながらも伝統の詰まった生き方に触れ、美味しい郷土料理も食べる事が出来た。

日本はまだまだいった事ないところが多いな。

これからも休みができたらショートトリップに出かけたみたいと思う。

それではまた、その時まで。

ようちゃん
ようちゃん

人々の暮らしもなにも、ホテルの従業員としか会話を交わしてないし、食事はスーパーの半額惣菜、まず福島しか行ってないくせに東北を語るな!

は、はいっ!!!

ぼっちシンガー
ぼっちシンガー


そんなところです。